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08年05月09日

親の扶養義務

民法の中に「直系血族及び兄弟姉妹は、互に扶養する義務がある」という条文があります。親が子どもを養い育てることは、当然のことです。ただ、この条文の中では「互に」という言葉が用いられています。つまり、子どもにも親を養う義務があることになります。
 これも、ある意味では当然のことです。親が年をとり、自分で生活することができなくなったとき、子どもが介護をしたり、経済的な負担をすることは当たり前のことだったはずです。
 しかし、今、家族関係の多様化の中で、この「扶養義務」に疑問を持つ方が増えているようです。その一つの要因として、親子関係のあり方の変化があげられます。

 以前は、養われている立場の子どもは親の命令に従うことが常識とされ、いわばその恩に報いる形で親の老後の面倒をみました。今でも、これが一般的かもしれません。
 でも、最近の親子関係は、むしろ対等の関係になりつつあります。その中で、親は親、子は子という考え方が普通になっています。親の世話にもならないし、親の世話もしないといった考え方が生まれても不思議ではないのかもしれません。
 また、離婚の増加や親族関係の希薄化も要因の一つであるようです。親が離婚をして、片親と別々に暮らすことになっても親子関係を法律的に切ることはできません。離婚後、交流がなくても「扶養義務」は基本的に消せません。子どもにとっては、ある意味、理不尽に思えることも多いようです。

 最近は、「親子の縁、兄弟の縁を法律で切ることはできないか?」といった相談をよく受けます。「扶養義務」があるからといって、すぐに介護をするとか、経済的負担を求められるとは限りません。ただ、心情として法的に縁を絶ちたいと願っている方は相当いらっしゃるようです。
 このようなとき、親族間で負担付贈与契約等の契約を考えていくこともできます。こういった契約をしたからといって、この義務を免れるわけではありませんが、約束をしておくことで何かの時には役に立つことも多いようです。現在の日本の法律では親族の縁を切ることは不可能であることと、「扶養義務」という法律があることは知っておくとよいかもしれません。

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08年05月09日 | Category: 家族関係・相続・遺言
Posted by: sakata
 相続の問題がここ10年で倍増したと報じられていました。私たちの実感としても、ここ2〜3年でさらに急増しているようにも思います。今、相続は「争続」に変わろうとしているようです。財産がある家庭より、むしろあまりない家庭での争いが目立ちます。そしてこの現象そのものが、今、日本の中で人間関係が大きく様変わりをしている証拠とも言えるようです。

 最近のご相談で多いのが扶養や介護などと相続がからむものです。この中に見え隠れしているのが、今の時代の人間関係の希薄さです。そして、コミュニケーションの不足が事態をさらに複雑にするようです。親族の介護が必要となったり、遠隔地にいる親族が介護に非協力的、あるいはわずかな財産を老後どのように運用していくかなど相談内容は多岐に渡っています。

 また、親の離婚や親との確執などがこういった問題をさらに複雑にしてしまうことも多いように感じます。日本の法律では、基本的に親子の関係を切る方法はありません。「親子の縁切る方法がないか?」といったご相談をよく受ける背景には、家族関係に関わる価値観が以前と大きく様変わりしていることが見て取れるようです。

 こういった背景の中で、最近、負担付贈与契約を結ぶ方が増えてきています。負担付贈与契約と書いて「ふたんつきぞうよけいやく」と読みます。簡単に言えば、「○○してくれたら、財産を譲るよ!」と意思表示して、相手も「判った!」と答えることです。
 口約束でも、本来は契約ということになります。ただ、口約束だけでは、もし他の人から、「そんな話は聞いていないので証拠を見せて欲しい!」といわれたときに困りますので、多くは書面にしておきます。

 人間関係のあり方が大きく変わりつつある時代の中で、何を求め、どこを変えたら良いかについて考えなければならないようです。どうしたら、もっと居心地の良い社会を築けるかということが、今の時代の大きな課題ではないかと思います。

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08年05月09日 | Category: 家族関係・相続・遺言
Posted by: sakata