​こんにちは。
林原安徳です。
 
 
通行量や交通量のデータはそこまで売上予測に直結しませんよ、
という話は、以前にも何度か書かせていただきました。 
 
交通量が少なくても、十分に繁盛する立地はあります。
費用対効果に見合わない調査をするよりも、
他に見るべきポイントが沢山ありますよ、という話です。
 
しかし、交通量が多いと一目で見て分かる立地は、
それだけ「お客さんになる人が多い」のですから、
特に計測なんてしなくても、「良さそう」に見えてしまうものですよね。
 
それでも現実には、
 
交通量がいくら多くても、お客さんが来ない
 
というケースがたくさん見受けられます。
 
 
それはいったい、なぜなのでしょうか?
 
 
 
 
理由はひとつとは限りませんが・・・・
 
とりわけ、
 
「間口とスピードの関係」
 
を見落としている場合が多いように感じられます。
 
 
 
一般的に、
 
店前における車の走行速度が「時速50km」を超えると、
間口が「6m未満」の敷地には安全に進入できなくなる、
 
ということが分かっています。
 
間口が狭いと、ただでさえ、進入するのは難しいものです。
ただ、ゆっくり慎重にであれば、極端な話ですが、
「車の幅以上の間口」には進入できなくはないですよね。
 
逆に、間口が数十mに渡る広い状態だと、
進入しにくさを感じる人はほとんどいないでしょう。
 
間口が広ければ、車がそこそこのスピードを出していても、
難なく減速して進入することが可能です。
 
 
その、間口の広さと、スピードの関係について、
大体一般的な走行速度である「時速50km」の時は、
敷地の進入間口が「6m未満」になると、ドライバーは、
「狭くて入りにくい」という感覚を強く持ってしまうのです。
 
 

「間口なんて、物理的に進入可能であればいいだろう」
と、甘く見積もってしまい、6m未満どころか、
4~5m程度の間口しか作らないというのは、
お客さんの気持ちを全く考慮していないことになります。
 
自身がドライバーの身になって考えてみれば、
実際に車を運転して、道路から自店に入ってみて、
「入りにくさ」を感じるはずなのです。
 
 
これを無視してしまうと、お客さんはやってきません。
物理的に入店可能かどうかも重要ですが、
このような心理的制約にこそ、お客さんは非常に敏感なのです。
 
 
 
こうしたことを考えていくと、間口の広さだけではなく、
作りにも十分な注意を払わなければならないことが分かります。
 
例えば、

建物の下をくぐり抜けるような作り(ピロティ式)にするなら、
高さに制限がある分、進入時の心理的制約は、
きわめて大きくなります。
 
ですから、間口の幅は6m以上あって当然ですが、高さについても、
「物理的に通り抜けられればいい」
というように見るだけでは足りません。
 
おおよそ2.5m程度あれば、大型車以外は通れますが、
ドライバーの気持ちを考えれば、「3m以上」が望まれます。
 
 
 
以前、東京のある道路沿いで、
個人経営の和食店が、あるチェーン和食店の、
道路を挟んだ反対側にオープンしたことがあります。
 
同じ業態でこんなに近場に出店してしまっては、
「個人店がチェーンに敵うわけがない」
と考えられるのが、一般的でしょう。
 
しかし現実は、その個人店のオープンからほどなくして、
チェーン店の方が先に撤退してしまったのです。
 
その理由を調べていくと・・・・
 
チェーン店の方は、ピロティ式の建物と敷地で、
車で進入する際、心理的な圧迫感が強い状態でした。
 
一方で個人店の方は、広々とした敷地と間口で、
そうした圧迫感は一切なく、気持ちよく入れたのです。
 
 
このことは、お客さんに選ばれるか否かは、
こうした些細に感じられるポイントに左右されるということと、
 
立地に問題があれば、チェーン店といえども、
営業を続けていくのは難しいということの、証明でもあります。
 
 
どんなに商品力や営業力を高められたとしても、
「入りにくい」「行きにくい」
と感じられてしまったら、人々は、そのお店を選びません。
 
 
お客さんに選ばれるお店を作るためには、
交通量が多いとか少ないとか以前に、
こうした、お客さんの気持ちになれるかどうか。
 
そのことを、大切にしていただければと思います。
 
 
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SORB know-how series Ⅳ


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5)売上予測の方法(3)市場シェア率法.. 43
6)売上予測の方法(4)、範囲限定法.. 53
7)明日はいくら売れるか時系列売上予測.. 61
8)比較法で計算する、売上予測の基本.. 69
9)本格的に売上予測をする、重回帰分析.. 85
10)重回帰分析による売上予測のやり方.. 95
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SORB know-how series Ⅴ


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第1章 安全管理
第2章 お客様サービス
第3章 人の扱い方
第4章 タイムマネージメント
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第6章 衛生管理
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