◆自分脳で考えない、固形脳の会社人間が増殖している
 15〜20年ほど前から、思考停止のような社員が出現してきたらしい。
 「先月の総売上高は、前年同月に比べると上回りましたか?」
月が変わりはや数日、もうデータも揃っただろうと思い、ある営業部長に尋ねた。
 「まだわかりません。コンピュータ(PC)の締めが終わってなくて・・」という返事。
自分の頭で考えるという思考努力をしないから、こんな単純なこともわからない。
 “売上高の把握はPCがやるもの”という、異常なまでのPC依存。一刻も早く自力で売上高の数字や傾向をつかみ、次のステップへ・・という考え方がけし飛んでいる。

◆会社人間の脳が、どんどん壊れている
 結果には必ず原因がある。いわゆる因果関係である。
 そういえば、思考停止型の社員が増殖しはじめた時期は、企業の中にどんどんPCが導入され、経理社員が元帳記入から解放されはじめた時期と一致するように思う。
 五体満足な人間には、考えも及ばないほど、盲人は聴力が発達し指先の感覚が鋭くなる。
 ところがIT社会は、メール依存でマナーを無くし、さらに文章力も幼稚化し、PC依存で自脳思考力を喪失し、管理システムの中に収まり過ぎ、“PC型の金太郎アメ”が増えた。
 盲人の例でわかるが、欠けた何かを補おうとするとき、人間は知恵を絞り、努力をする。
 ところが、値段はバーコードが覚え、勘定計算はレジがしてくれる。釣り銭までレジが計算しチャランと出してくれる。各種チャート(書式)も、ソフトが提案してくれる。
 何から何までITがやってくれるから、使わざるモノは退化するという“廃用性萎縮”が、どんどん会社人間の脳を襲い、思考力や配慮心まで奪い去っている。
 お互い注意したい。