●営業日報にバッドニュース欄を加えよ
 経営のイロハだが、社長はバッドニュース(悪い情報)ほど、一刻も早く把握しなければならない。経営も人間も、ないに越したことはないがどうしても、いずれは自分(社)の不利益になる、マイナス情報に突き当たることがある。
 経営では、自社の商品や人に対するクレーム、あるいは、変な噂や悪評というのは、小さいうちに解決したり、その芽を摘み取らないと、大変な問題に発展することもある。
 たとえば大問題になり知っている人も多い、湯沸かし器による客の死亡事故で、社長が有罪になった事件などは、バッドニュースに対する会社の姿勢が、いかにいい加減だったかわかる。
 そこで考えなければいけないことは、営業マンを名実ともに“情報アンテナ”として活用することだ。そのために、営業日報に得意先や顧客からの苦情や悪評欄をつくることだ。

●「龍角散」の社長だった藤井康男さん(故人)は、「社長に悪い情報が、ほとんど入ってこないというのは、経営危機の兆候だ」と言っていたほどである。
 大阪の大手K社は、鉄鋼製品の伝統的なメーカーである。
 このK社は、子会社のKハウスを会社ごと売り払ったが、このKハウスは、商品である住宅への苦情というバッドニュースが、苦情の巣窟のように集まっていたものだ。
 東京支店の幹部の一人が、自宅を新築した。しかし他社の製品だった。
 ある人が、「なぜ、自社の家にしないのか?」と尋ねたら、「いざ自分の家となったら、自分の会社では建てたくないです」と答えたという。社長はこんなこと、全然知らなかった。