客の出入りがよくない中華料理店があった。
 店主に、こんなアドバイスをした人がいた。
 「せめて窓ガラス程度は、夏と冬の2回、衣替えをすれば?」
 そして一緒になり、衣替えを施した。
 衣替えの基本コンセプトは、「この店は涼しそう!」と通行客に思わせること。やることは、とても簡単なこと。
 まず素材として、装飾用の粘着剤つき涼感フィルムを買った。
 これを波形にカット。窓に数列横貼りした。
 色は藍色、水色、銀色の3種類。だから波模様も3色になる。
 最後に窓に数カ所、涼 冷 爽 という、カルタ札程度のデザイン文字を斜めに貼った。そして、最後にこう言った。
 「客になったつもりで、通りを歩いて、店を外から見て、通りからどう感じましたか」
 「店内がとても涼しそう、と感じました」
 その結果はどうだったか。店主の言葉を紹介しよう。
 「去年の7,8月に比べ、お客さんは3割増えました」
 しかし多くの飲食店主や商店主は、なんと怠け者であることか。自分自身は冬着と夏着に着替えるのに、お客様を迎え入れる店はほったらかし。
 〈店はお客様のためにある〉という、基本認識が完全欠落。
 冬になれば、今度は暖かなホット感覚の、ウォーミング・デザインにすればいい。