新聞広告量の第1位は、商品別では書籍類である。
 その書籍類の広告が、過激化している。一体なぜなのか。
 出版地獄と言われるように、売れないからである。電車に乗り、周りを見回してみるがいい。何人が本を読んでいるとお思いか。目立つのは猫も杓子も、スマホ族ばかりである。
 というわけで、タクシー業界が厳しくなると、交差点の中でも停まって客を拾うタクシーが多くなるのと同じで、本売るためには、平気でウソも書く。誇大表現も辞さないのである。
 たとえば、「1分で○○が良くなる・・」とか、「年商100億のカベ・・」、あるいは、「これを読まずして何が○○だ」という具合にして、この本を読めば極意修得も意のままという感じ。
 書籍類がこの調子だから、刺激を受けた他の業界でも似たような感じである。たとえば、サンプル商法がそれだ。
 「1週間で実力がわかる」とか、「効果がなければ完全返金します」、あるいは新製品なのに、「○○万個もの引き合いに騒然・・」とかいう表現もそうだ。
 とにかく書籍類の中に、過激なのが増えた。
 「夢のような、また棚からぼた餅の落ちて来るような、すこぶるうまい話を持って来る人がいる。聞いてみると、いかにももっともな話で、つい乗せられてしまいがちである。
 しかし考えてもみよ。本当にそんなうまい話だったら、他人に持ち込む前に自分がやるはずである」
 こう語ったのは、文明堂の創業者、カステラ1番電話は2番・・のコマーシャルを作った宮崎甚左衛門である。
 しかし、最後にひと言。どんな本も、どんな情報に対しても、目と耳をふさいだら、社会に対し盲目になる。要は、正しいモノを見抜く受け手の姿勢こそが大事である。