1 普通方式による遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言

 があります。それぞれ一長一短がありますが、今日は、自筆証書遺言につ

 いて記載します。



2 自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに

 印を押すものです。



 (1)自書でなければなりませんから、他人が代筆したり、パソコンなどで作

  成された遺言は、自筆証書遺言としては無効となります。



 (2)では、遺言者が他人の手助けを受けて自筆証書遺言をした場合は、ど

   うでしょうか。

    この場合、判例では、遺言者が自書能力を有し、筆記を容易にするた

   めに他人の支えを借りただけであり、かつ、他人の意思が介入した形跡

   がない場合に限り、自書の要件を充たすものとして有効とされています。



 (3)また、氏名の自書とは、遺言者が何人であるかにつき疑いのない程度

   の表示があれば足り、必ずしも氏名を併記する必要はないとされていま

   す。



 (4)さらに、「平成19年12月吉日」と記載されたものは、日付の確定ができ

   ないため、日付の記載を欠くものとして無効となります。



 (5)そして、押印は拇印でも差し支えないとされています。押印は、氏名とと

   もに遺言者の同一性を明らかにするために必要なものであり、押す印に

   は制限がないのです。