1 自筆証書遺言と公正証書遺言の功罪は順次述べてきたが、その中間

 を行くものとして秘密証書遺言があります。すなわち、秘密証書遺言は、

 遺言書の存在は明確にしながら、その内容を秘密にし、その滅失・改変

 を防ぐことができます。



2 その方式は、以下のようになります。



 (1)遺言者が遺言書を作り、その証書に署名し、印を押すこと。

    自筆である必要はなく、パソコン等での作成もできます。



 (2)遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章でこれに封印をすること。



 (3)遺言者が公証人1人と証人2人以上の面前に封書を提出して、それが

   自分の遺言書である旨及びそれを書いた者の氏名と住所を述べること。



 (4)公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封書に記載し

   た後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。



 なお、上記の要件を充たさない秘密証書遺言は無効であるが、それが自筆

証書としての方式を備えていれば、自筆証書遺言としての効力を有します。