1 遺言書の保管者は、公正証書遺言以外については相続の開始を

 知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、「検認」を受け

 なければなりません。

  検認は、遺言書の形式その他の状態を調査確認し、その保存を

 確実にするための一種の形式的な検証手続ないし証拠保全手続

 であって、実質的な遺言内容の真否や効力の有無を判定するもの

 ではありません。したがって、検認を受けなければ遺言が効力を生

 じないということはなく、また逆に検認の手続を経た遺言書であって

 も、後にその効力の有無を裁判で争うことができます。



2 また封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその

 代理人の立会いがなければ、開封することができません。



3 検認を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で開封をした者

 は、5万円以下の過料に処せられます。



4 遺言者は、遺言で、遺言執行者を指定することができます。もっとも、

 未成年者と破産者は、遺言執行者となることができません。



 (1)遺言執行者は、民法では相続人の代理人とみなしているが、これで

   は相続人廃除のような遺言の執行を説明することができない。かといっ

   て 死亡により法人格を失っている遺言者の代理人であるとするのも形

   式的には困難である。論理的には、遺言者の人格の残影を代表するも

   のと見ざるを得ないと思われます。



 (2)遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の

   行為をする権利義務を有します。そのため、遺言執行者がある場合に

   は、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるような行為

   をすることができません。

    したがって、遺言執行者がある場合、相続人が相続財産につきした処

   分行為は、絶対無効となります。例えば、遺言執行者がある場合に、相

   続人が遺贈の目的不動産を第三者に譲渡し、またはこれに第三者のた

   めに抵当権を設定して登記をしたとしても、相続人の当該行為は無効で

   あり、受遺者は、遺贈による目的不動産の所有権取得を登記なくして、

   当該処分行為の相手方たる第三者に対抗することができます。