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●中小企業も、若年者(新卒)を採用するチャンスが!!
~3年以内の学卒者を採用すると、助成金が支給されます~  (H23.3月号)

 文部科学省は2011年春卒業予定の高校生の、昨年12月末時点の就職状況について発表しており、それによる就職内定率は77.9%で、就職希望者のうち内定がまだ無い者は約4万人という状況だそうです。また厚生労働省の調査によると、大卒予定者の内定率が昨年12月1日現在で68.8%と過去最低の水準で推移しておりいずれも非常に厳しい状況が続いています。
 そこで厚労省では現在、新卒者に対する雇用を後押しするための諸施策を打ち出しており、その中で使用しやすい「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」について概略をご紹介します。

(概要)
卒業後も就職活動を継続中の新規学卒者の方(高校・大学等を卒業後3年以内の方)を正規雇用へ向けて育成するために、まずは有期雇用(原則3ヵ月)で雇用した場合に支給されます。


(対象となる新卒者の条件)
◎平成20年3月以降の新規学卒者(※)で就職先が未決定の者(平成22年度の卒業予定者についてもこの3月までなら対象にできます)
※学卒者とは中学校、高校、高専、大学(大学院、短大を含む)、専修学校等の卒業者
◎卒業後安定した職業に就いた経験がない者(1年以上継続して同一の事業主に正規雇用された経験がない者)
◎雇入れ開始日現在の満年齢が40歳未満の者

(支給額)
◎有期雇用期間(原則3ヵ月):対象者1人につき月額10万円(最大30万円)
◎有期雇用終了後の正規雇用での雇入れ:対象者1人につき50万円
結果として有期雇用終了後、正規雇用へ移行しなかった場合でも、原則として有期雇用期間は助成金の支給対象となります。

(対象事業主)
既卒者トライアル求人(※)をハローワークに提出し、ハローワークの紹介により、原則3ヵ月間の有期雇用として雇い入れ、その後正規雇用で雇い入れた事業主。
※「既卒者トライアル求人」とは、高校・大学等を卒業後3年以内で、現在も就職活動を継続中の方を対象に、その後の正規雇用を視野に入れた3ヵ月以内の有期雇用契約を行う求人です。求人の出し方は通常の中途採用の求人票を出すのと全く同じで、この助成金を利用したい旨を窓口で伝えるだけでOK。

◎ハローワークから紹介を受ける前に、その対象者を雇用することを約していないこと。
◎トライアル雇用を開始した日の前日から6ヵ月前の日からトライアル雇用を終了した日までの間に、事業主の都合により解雇等したことがないこと。
◎トライアル雇用を開始した日の前日から過去3年間において、対象者を雇用したことがないこと。
◎労働保険料の未納がないこと。
◎奨励金の支給決定等に必要な労働関係帳簿(出勤簿、賃金台帳、労働者名簿等)を整備・保管していること。
◎ハローワークの紹介時点と異なる不利益または違法な条件で対象者を雇い入れていないこと、など。

この助成金のいいところは、
1.中小企業にとっては通常難しい新卒若年者採用が、簡単な手続きで行えること。
2.合法的に3ヶ月以内の有期雇用で正規雇用にすべき人物かどうかを判定できること。
3.従来からあるトライアル雇用制度と比較しても支給金額が大きいこと が上げられます。

また新卒者雇用一般的なメリットとして、
1.既存会社の社風に染まっていないため、教育がしやすいこと。
2.能力向上の伸びが大きいこと。
3.既存社員にとっても刺激になり、特に教育係は同時に伸びること。
4.複数名で雇うと、同期といういいライバル関係になり切磋琢磨しやすいこと。
5.人件費が安いこと(高卒約16万円) などがあります。

この機会に、一度ご検討されてはいかがでしょうか。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡 <br />
もっと見る :<a href="http://www.nishimura-roumu.com">http://www.nishimura-roumu.com</a>
11年02月24日 | Category: General
Posted by: nishimura
未払い残業代請求問題の対策を考える  その2(昨年12月号のつづき)~弁護士・司法書士による、消費者金融過払金返還請求の次に来る残業代請求バブルに備える~
H23.2月号
 皆さんも電車の車内広告やTV・ラジオCMなどで何度かご覧になったことがあるはずです。「消費者金融業者から払い過ぎた金利を取り戻しませんか?」、と弁護士や司法書士が勧誘する、あの宣伝広告のことです。
 私は昨年からその動きが関西でも露出し出すと予想していましたが、まだ顕在化しませんでした。おそらく今年中にはかなりの露出をみることになるでしょう。「あなたの残業代、私が代わって請求します!」なるような広告が・・・・・・。
 そこでかつても何度か触れてきたことですが、今後数回シリーズとして、この問題に対する対応策を考えてみたいと思います。今回は昨年12月号の続き、第2回目で、今回も無駄な残業を出さないことを主眼にしています。全部を履行するのは無理ですから、企業の実情にあった対策を選択していただければと思います。


8.事業所規模10人未満の商業・接客娯楽業は1ヶ月単位の変形労働時間制を活用する。
  以下表は1ヶ月に最低必要な休日数(休日を多く取れない場合に適合)
○○○○○○  31日 30日 28日
7時間45分    6日  6日  6日
7時間30分    6日  5日  5日
7時間       4日  4日  4日
(1日所定労働時間×7日-44時間)×1ヶ月歴日数÷(1日所定労働時間×7日)

9.タイムカードを廃止する(タイムカードは白紙小切手と一緒)

タイムカードを廃止して、出勤簿管理に切り替える。タイムカードは罪の意識なしに、時間外を印字してしまうので、出勤日に各自が認印を押印する様式に改め、残業が必要な日には上司現認のもと許可制でその時間を附記させる。特に管理監督者は自己管理方式にしないと否定されやすい。

10.36協定の上限時間を厳しくする

時間外、休日労働をさせる場合は労基署へ36協定(労使協定)の届出が必要。その際、1年変形時間制を採用している会社は1か月42時間以内、年間320時間以内の制限がある。法律上これ以上はできないので、これを逆手に取って36協定を社内に貼り出し、それ以上残業が出来ないことを公知する。

11.ノー残業デーを設ける 

週に1回、ノー残業デーを会社のスローガンにして設ける。全員が強制的に定時で帰る日を作り、定時になれば電気、機械を止め、実際の残業を少なくするとともに、意識面での改革を図り、定着してくれば他の日にも広げる。

12.終業時間に弾力を持たせる

僅かな残業が恒常的に多い人は、残業手当が生活給の中に組み込まれている側面と、そういうリズムで業務を終わらせる習慣があることが多い。とりあえず定時の終業時間にこだわることなく、業務が終了した時点で、帰宅してもいいようにする。その場合であっても通常の残業代平均(例えば2時間分)は保証する。そうすると同じ業務量でも、定時までに終了させることがある。元々定時までに終わるはずの仕事をだらだらしている職場には効果的。定時までに通常業務がこなせる実績を積み上げてから見直す。


13.所定終業時刻以降は休憩時間を入れる

就業規則に所定終業時刻後に15分程度の休憩時間を設け、時間外労働はそれ以降をカウントすると共に、15分以内の超過時間はルール上労働時間とせずカットする。恒常的に長時間労働がある職場よりも、だらだらとタイムカードを終業時刻後に押印する場合に効果的と思われる。


14.時短をTQC(コンピテンシー)で改善する

いくら経営者が笛を吹いても従業員が応えてくれなければ意味がない。従業員を巻き込んで、作業効率を改善し、労働時間を短縮するにはどうすればいいか、チームを作って改善策を立案してもらい、標準化できる案が出た場合は、そのチームに報奨金を出すことで、自発的な改善を促す。昇給や賞与の評価ガイドラインとして、「コンピテンシー」(恒常的に高業績を上げる社員の行動特性、それを行えばみんなの行動の質が変わり、惹いては会社の体質強化につながるというもの)の活用を検討する。これを労働時間短縮(残業抑制)に絞って作りこみ、全社員に開示、ミーティングや朝礼等で徹底する。定時までに効率よく仕事を済ませる人がいれば、その人をモデルに作りこみ、いなければ全社員参加でノウハウを出し合う。

15.多い年間休日を削減して残業単価を下げる

変形労働時間制の年間休日数を最低必要日数で設定する。1日8時間だと105日、7時間45分だと96日、7時間30分だと87日の休日があれば、1週40時間制を達成する。こうすることで残業時間は同じでも残業単価が下がるので、支給額は削減される。休日減になる手当としては、有給休暇の計画的付与を検討する。

16.法定休日を定めない

労働基準法上は1週1日の休日(これを法定休日という)が確保されないときに、その1日の休日出勤に対して35%増の休日出勤手当が必要になる(つまり週2日以上休みがあれば、最低1日以上休みが確保される限り、35%増の手当は不要)。但し、この法定休日の設定は任意なので、日曜を就業規則で法定休日と定義すると、同一週の土曜が休みでも、日曜に出勤すれば本来25%増でいいところを、35%増で支払わなければならないことになる。

17.60時間超えより法定休日出勤(大企業の場合)

1)夜残業より所定休日出勤
22年4月より、一定の規模以上の企業は60時間を超える残業に対して50%増で支払わなければならない。従って、場合によっては法定休日出勤の35%増で対応した方が、コスト的には安くなることがありうる(60時間の残業カウントの中には法定休日時間は入れなくてよい)。

2)土曜日を法定休日
日曜日がきっちり休める場合で、残業が60時間超えになる場合は、むしろ土曜日を法定休日とそして、35%割増支払で対応する(土曜日の時間は60時間枠内に入れなくてもよい)。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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11年02月01日 | Category: General
Posted by: nishimura