~社長一人の力は限界。殻を破れるかは、管理職の出来で決まる~
●小規模企業の管理職研修のあり方を考える その2 (H27.8月号)


前回に引き続くシリーズ第2弾です。前回は小規模企業の管理職教育のあり方について、その基本的な考え方をお伝えしました。その中で「小規模企業の社員教育は、社員を信じて自主性に任せてはいけない。強制して追い込んで行く仕組みが必要」と申しました。

今回はその仕組みとはどういったものが考えられるかをご紹介したいと思いますが、まず以下の表をご覧ください。


            さほど
 緊急         緊急でない
___________________
         |            
  1ゾーン    | 2ゾーン 重要
         |
_________|_________
         |
  3ゾーン    | 4ゾーン       さほど
         |           重要でない
_________|_________        



これは管理職の業務分類を行うときに良く使う表ですが、1ゾーンから4ゾーンまでに分け、管理職が実際に行っている業務(仕事内容)を各ゾーンに分類してみます。業務は営業とか事務とか、そういった大雑把な職種ではなく、現実に行っている仕事そのもののことで、例えば「見積もり」、「下請手配」、「伝票整理」、「研修への参加」、「掃除」などといった具合です。まず業務を手当たり次第書き出し、4つのゾーンに分類します。急ぎで重要な仕事なら1ゾーン、急がないし重要でもない仕事は4ゾーンへ、といった具合です。

そして分類された上表を眺めてみて、その管理職の全体の仕事時間のうち、どのゾーンにどれだけの時間を割いているか、その割合を出してみます。例えば、1ゾーンに60%、2ゾーンに10%、3ゾーンに10%、4ゾーンに20%といった具合です。大体で結構です。そうするとその管理職が、どのゾーンでどれくらいの時間を使っているかが概観できます。


以下をご覧ください。各ゾーンに簡単な解説を入れたものです。



            さほど
 緊急         緊急でない
___________________
         |           重要  
  1ゾーン    | 2ゾーン
 (火消し)   |(投資、予防、育成、開発、計画、育成等)
_________|_________
         |
  3ゾーン    | 4ゾーン       さほど
 (お付き合い) |(消費)       重要でない
_________|_________        


もうお分かりですか?そうです。管理職は2ゾーンの仕事が大事なのです。2ゾーンは将来に向かって投資したり、起こりうるリスクを回避するための予防をしたり、人材を育成したりする仕事なのですが、大概の管理職は、1ゾーンに時間を取られていることが非常に多いのです。1ゾーンとは急ぎで重要な仕事。つまり納期に追われるとか、クレーム処理とか、火消しに走らないといけない日常業務のことです。ちなみに3ゾーンのお付き合いとは、冠婚葬祭や得意先との懇親など、4ゾーンの消費とは、雑用など暇つぶしの仕事のことです。

そして2ゾーンに20%の時間を割いていない場合は要注意。管理職研修ではこの気づきを与え、今後いかに2ゾーンを伸ばして行くかが問われることとなって行くのです。以下次号。

小規模企業の賃金制度を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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