人材派遣業者が軒並みに増加し、多くは経営難に陥っているのだが、交流会などで話をしてみるとその開設意欲は感心できないものにあることがやはり多かった。
その羅針盤となっていたのがGWGのような経営であろう。すなわち、「法令違反や経営がズサンであればあるほど儲かっている」という経営の現実である。

コンピテンシーという人事用語があり、一時期流行らせようとする動きがあったが、それは「できる人」を基準に評価設定や教育システムを作るという内容である。私は人事において外来語を嫌うため加工するが、それなりに理に叶う手法といえる。
この発想から、「儲かっている企業」を基準に同種の経営をやればいいということになる。世の常として、朱に交われば赤くなる、悪貨が良貨を駆逐する謂われの通り、斯業界はますます無法地帯と化した。

派遣業者の存在も大きくなり、かつて社会保険の存在を否定し、自らの企業年金で足りるとして国の干渉を拒んだ大手も、社会的存在を認識するようになった。社会保険労務士が派遣業者と積極的に顧問契約し出したのもその頃からであろう。いずれにせよ、派遣業界の常識は国家の常識とはことごとく反撥するまでになっていたわけである。こういう手合いには、戦中ほどではないにしろ、手厳しいという伝統がある。

さて、GWGを対岸の火事とみて、派遣業界は適正化していくのであろうか。既に、業界内部からはGWGに否定的なコメントが上がっている。GWGに続けとばかりに開設した経営者は‥‥。