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解雇は当たり前、ニッポン雇用の修羅場

《「合計10回の面談で精神的に追い込まれ、自殺すら考えた」
 NECグループで教育関連の職場で働く男性(44)は、今年5月から始まった退職勧奨を振り返る。
「君にやってもらう仕事はない」「残ってもどこの職場になるかわからない」。最初3回は直属の上司との面談だったが、4回目からは役員と人事担当者が現れた。その後7回、時に2時間を超える退職勧奨の繰り返しに、体重は5??以上も減った。
 東京労働局に申告したことで会社に指導が入り面談こそ止んだが、その直後、上司から罵声を浴びせられた。「お前は何をやったかわかっているのか、本社の人事も怒っているぞ」「お前に信頼できる仲間なんていないぞ」・・・。その後もサービス残業の強要などが続いているという。》

「日本人は自国のことを他人事のように見ている」と認識されていて、それに対して私は「戦争で負けてナショナリズムをなくした」と簡単に答えていたが、そうとばかり言えないなと思い始めた。
もともと日本民族はナショナリズム度が低い民族であるため、明治維新で中央集権化を実現し、さらに総力戦体制をも実現させた近代国家体制は異例ともいえる出来事であった。また、敗戦したわけだが、所属意識は国というより故郷に強くあったため、国家により戦争に駆り出されたという被害者意識が先行している。次いで、農村から都市へと産業構造が変化し、都市部の人間の所属意識は主として「わが社」に置かれた。高度経済成長、終身雇用、年功序列等々の「企業文化」が形づくられ、「日本株式会社」は国家と産業との両輪で進んでいった。そして、経済自由化の流れで企業の国家からの自立が促進され、産業界は内部ルールに強く依存することになった。バブル現象は経済秩序を野放図のものとし、それを総量規制で食止めるも、企業における内部ルールはもはや秩序として回復せず、形式的なものとして変容した。したがって、大手優良企業といえども、人事のノウハウは不足しており、下品で野蛮なやり方に堕ちるものである。経営ノウハウがもともと不足しているからだという認識も、老舗企業の不祥事や下請けいじめなど「大名商売」で弛緩した精神に引導を渡すものだ。大手優良企業は巨大すぎて実際よくわからないため、わかりやすい事例が強調されるのかも知れない。
国は解雇の自由化は認めていない。しかし、一般的には解雇はよくなされている。裁判で争うか否かの違いである。世相を背景としても、国の判断はあまり揺らいでいない。無論、色々なケースがあり、中小零細企業では団体交渉やあっせん等和解の場にて、解雇は受け入れる代わりに解決金、退職金の上乗せその他の要求という交換条件での終結が多い。中途入社や非正規が主となるので、終身雇用という命綱を守ろうとする大手優良企業とは争う形態が異なる。
ところで、また先の話に戻ると、記事のような下品で野蛮なやり方や罵声を所属意識をもっている場所での出来事という点を重くとらえると、もはやどこにも身の置き場がないという危険な状態に陥る。企業の排他利益こそ自分であるという事態は、かつての「自分が退職することで会社を助ける」という認識と重なるが、今日ではそうした忠心から来る犠牲精神すら入る余地がないほど、下品で野蛮な行為である。
人材のリストラ流出もまた日本企業の首を絞め、人事の叩き売りは今のところまちがった判断ということになる。雇用市場は流通の促進を図ったものの、まだ完成形ではない。グランドデザインがもはや不可欠である。
12年11月17日 | Category: General
Posted by: roumushi
第二節 職務を行い得ない事件の規律
(職務を行い得ない事件)
第二十七条 弁護士は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第三号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四 公務員として職務上取り扱った事件
五 仲裁、調停、和解斡旋その他の裁判外紛争解決手続機関の手続実施者として取り扱った事件
(同前)
第二十八条 弁護士は、前条に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第一号及び第四号に掲げる事件についてその依頼者が同意した場合、第二号に掲げる事件についてその依頼者及び相手方が同意した場合並びに第三号に掲げる事件についてその依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合は、この限りでない。
一 相手方が配偶者、直系血族、兄弟姉妹又は同居の親族である事件
二 受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供を約している者を相手方とする事件
三 依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件
四 依頼者の利益と自己の経済的利益が相反する事件

以上の規定は、各隣接士業がそれぞれの領域の紛争解決についての代理権が付与されるにあたり、各士業の規定において類似の規定が置かれるに至る影響を与えたものである。
言葉遣いが難解で混乱を来たすものであるが、要は一方の秘密を知る者は、もう片方の味方になれないということである。信頼されなくなるためである。図式そのものを禁じたという点で慎重である。

ところで、法律上の債務者、債権者というのは無数にあるわけで、よほどのことでなければ、両当時者双方に関わることもあるまいと思われるが、労働事件に関してはそうでもない。特に使用者側、労働者側の団体に参加していない者であっても、いざ当事者の企業名などチェックすれば、たいてい相談を受けられないという状態が多い。したがって、やはり使用者側、労働者側いずれかの依頼に偏らなければやっていけないということである。労働事件という性質そして絶対数が少ない上にさらに扱う者が少ないわけであるから、偏らなければ「行い得ない事件」ばかりになってしまうわけである。確かに社労士の活用が急がれるが、社労士はあともう少し民亊訴訟法等の補強が必要である。
12年11月01日 | Category: General
Posted by: roumushi