15年04月02日
4月以降に結ぶパート雇用契約には気をつけよう
●4月以降に結ぶパート雇用契約には気をつけよう (27.4月号)
~4月以降、パートと雇用契約を締結する場合の留意点~
まず以下のパートタイム労働法の新設条文をご覧ください(4月1日施行)。
(短時間労働者の待遇の原則)
第8条 事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
少し分かりにくいですね。簡単に言ってしまうと、同じような仕事をしているのにパート契約だからといって合理的な理由もなく、正社員の労働条件を下回るような差別をしてはダメということです。労働契約法第20条にも有期効用労働者について既に同旨の条文が25年4月から施行されております。
この条文は先発の労働契約法第20条と同様、民事的効力のある規定とされており、この条文ができたことにより、これを根拠に差別されていると考えたパート労働者が、会社に損害賠償請求を行ってくる可能性が非常に高くなったということです。これはリスクです。
ここで差別の対象となる労働条件とは、一切のものが適用となり、例示すると次の通りです。
賃金・労働時間・災害補償・服務規律・教育訓練・福利厚生など
これらの労働条件が差別されているかかどうかを判断する方法は以下の通りとされてます。
(1)職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)
(2)当該職務の内容及び配置の変更の範囲(配転、昇進、昇格、職種変更など)
(3)その他の事情(労使慣行など)
とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などを相違させる場合は、特段の事情がない限り、合理性は認められないとされています。
ここで問題になるのが、パートではあるが、正社員と同じような仕事をしており、その責任や役割も変わらず、人材活用の仕組みも変わらない場合です。特に問題になるのが中小零細企業のパー労働者です。これらの企業では、パートといっても仕事内容が正社員と同じであったり、責任を持たせていたり、或いは配置その他の人材活用場面においても何ら変わらず従事しており、賃金だけが低いというケースがあり得ることです。
例えば、パートであっても社歴の長い方は、正社員以上の仕事をしている場合も想定されますし、配置など人材活用の仕組みにしても、そもそも正社員ですら、転勤などの異動がない所も多いでしょう。
このようなケースでは、今後、不満が鬱積してくると、この新設されたパーターム労働法第8条を根拠に、正社員と同じ待遇を請求してくるリスクが考えられるのです。
まだ判例が確立していないため、予断を許しませんが、恐らく差別があるとして裁判所が無効とした労働条件は、その企業における平均的な正社員の労働条件に引き上げられるか、定年退職者なら定年前の労働条件に戻されることが推測されます。
正社員と同等な待遇にできればそれでいいのですが、それが出来ず、このようなリスクを回避するためには、4月以降の労務管理について、以下のように合理的な差があるとして、きちんと説明できる実態を作っておくことです。
例えば・・・・
◎ 正社員に比べて仕事の内容や役割を軽減する
◎ 正社員と同等なノルマは求めない
◎ トラブルや緊急時の対応はパートにはさせない
◎ 職務や配置場所を限定する(特定の仕事しかしてもらわない、その場所でしか働いてもらわない)
◎ 重たい責任は負わせない
◎ 正社員には残業をお願いしても、パート労働者には時間通りに帰ってもらう など
そして雇用契約書においても、こういった違いを明示した上で交わした方が良いでしょう。
ちなみに雇用契約書のサンプルは以下弊社のHPに収録済みです。
(「期間契約用 雇用契約書」参照)
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~4月以降、パートと雇用契約を締結する場合の留意点~
まず以下のパートタイム労働法の新設条文をご覧ください(4月1日施行)。
(短時間労働者の待遇の原則)
第8条 事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
少し分かりにくいですね。簡単に言ってしまうと、同じような仕事をしているのにパート契約だからといって合理的な理由もなく、正社員の労働条件を下回るような差別をしてはダメということです。労働契約法第20条にも有期効用労働者について既に同旨の条文が25年4月から施行されております。
この条文は先発の労働契約法第20条と同様、民事的効力のある規定とされており、この条文ができたことにより、これを根拠に差別されていると考えたパート労働者が、会社に損害賠償請求を行ってくる可能性が非常に高くなったということです。これはリスクです。
ここで差別の対象となる労働条件とは、一切のものが適用となり、例示すると次の通りです。
賃金・労働時間・災害補償・服務規律・教育訓練・福利厚生など
これらの労働条件が差別されているかかどうかを判断する方法は以下の通りとされてます。
(1)職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)
(2)当該職務の内容及び配置の変更の範囲(配転、昇進、昇格、職種変更など)
(3)その他の事情(労使慣行など)
とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などを相違させる場合は、特段の事情がない限り、合理性は認められないとされています。
ここで問題になるのが、パートではあるが、正社員と同じような仕事をしており、その責任や役割も変わらず、人材活用の仕組みも変わらない場合です。特に問題になるのが中小零細企業のパー労働者です。これらの企業では、パートといっても仕事内容が正社員と同じであったり、責任を持たせていたり、或いは配置その他の人材活用場面においても何ら変わらず従事しており、賃金だけが低いというケースがあり得ることです。
例えば、パートであっても社歴の長い方は、正社員以上の仕事をしている場合も想定されますし、配置など人材活用の仕組みにしても、そもそも正社員ですら、転勤などの異動がない所も多いでしょう。
このようなケースでは、今後、不満が鬱積してくると、この新設されたパーターム労働法第8条を根拠に、正社員と同じ待遇を請求してくるリスクが考えられるのです。
まだ判例が確立していないため、予断を許しませんが、恐らく差別があるとして裁判所が無効とした労働条件は、その企業における平均的な正社員の労働条件に引き上げられるか、定年退職者なら定年前の労働条件に戻されることが推測されます。
正社員と同等な待遇にできればそれでいいのですが、それが出来ず、このようなリスクを回避するためには、4月以降の労務管理について、以下のように合理的な差があるとして、きちんと説明できる実態を作っておくことです。
例えば・・・・
◎ 正社員に比べて仕事の内容や役割を軽減する
◎ 正社員と同等なノルマは求めない
◎ トラブルや緊急時の対応はパートにはさせない
◎ 職務や配置場所を限定する(特定の仕事しかしてもらわない、その場所でしか働いてもらわない)
◎ 重たい責任は負わせない
◎ 正社員には残業をお願いしても、パート労働者には時間通りに帰ってもらう など
そして雇用契約書においても、こういった違いを明示した上で交わした方が良いでしょう。
ちなみに雇用契約書のサンプルは以下弊社のHPに収録済みです。
(「期間契約用 雇用契約書」参照)
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com