~働き方改革に対応できる企業が生き残る時代へ入った~
●今年は労働生産性の向上を経営課題としよう(H30.1月号)



経営者の皆様は、ほとんど日経新聞を購読しておられると思いますが、昨年、見出しで多かったなあと思い出されることは何ですか?

私個人的には、「AI」がその一つですが、もう一つ、というよりもう一テーマあったように感じています。それが「労働生産性」とか「長時間労働の是正」とか、或いは「働き方改革」といった言葉です。皆様も印象に残っているのではないでしょうか?

今、政府ではこれらに関し、どういった法整備を準備しているかご存知でしょか?まずはその概略をご紹介し、その後、企業が取り組むべき方向性を考えて行きたいと思います。

■今後、予定されている法整備(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱)抄

1.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等

(1) 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)

・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。
・使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。


(2) 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)

・事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。

2. 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

(1) 不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)

・短時間・有期雇用労働者、派遣労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、ガイドラインの根拠規定を整備。 
 (同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等 )


(2) 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)

・短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。


3.施行予定日

・1は平成31年4月1日(中小企業における割増賃金率の見直しは平成34年4月1日) 、2は平成32年4月1日)


これらの改正法案は、この1月から始まる通常国会で成立する見込みの高いものです。
また、これとは別に、昨年、「働き方改革実行計画」が纏められ、その概要は以下の通りとなっており、今後、この方向性で法律案が出てくるものと思われます。


1.同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
2.賃金引上げと労働生産性向上
3.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
4.柔軟な働き方がしやすい環境整備(テレワーク、副業・兼業の推進など)
5.女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備
6.病気の治療と仕事の両立
7.子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労
8.高齢者の就業促進
9.外国人材の受入れ


ここでもお分かりの通り、ちゃんと2に今回のテーマでもある「労働生産性向上」が入ってきています。今後、世の中はこういった方向性で進んで行くこととなるのです。

■これから企業が具体的に取り組むべき方向性


以上の概況を理解した上で、企業はどこから手を付けて行けば良いのでしょうか?もし暗中模索の状況なら、以下の切り口で考えてみてください。

1.社内風土と役員・従業員の意識改革
2.社内の仕組みの改革
3.業務システムの改革
4.人事制度の改革

以下、順に簡単に解説いたします。

1.社内風土と役員・従業員の意識改革

今後、社会が長時間労働による非効率な働き方を許さない時流になって行くとの理解をもち、時間を掛けて仕事をすることは悪であるという社風を作り上げていく改革です。残業は当たり前、夜遅くまで頑張っている、なんて感覚を撲滅して行きます。

2.社内の仕組みの改革

そもそも労働生産性とは、次の算式で表すことができます。   労働生産性=インプット(成果)↑÷アウトプット(総労働時間)↓
つまり成果を落さずに(むしろ上げて)、投入時間を減らすことなのです。このためには社内のマネジメントの改革が必要です。仕事の取り方、流し方、処理の仕方など、今までのやり方を疑ってかかります。

3.業務システムの改革

典型的にはITやAIの更なる活用です。前記2がソフト改革だとすると、こちらはハード改革です。飲食店が各テーブルにタッチパネルを置くのもその典型例でしょう。日進月歩の世界、より効率化できるIT機器への情報収集と設備投資が欠かせません。

4.人事制度の改革

残業が減って給料も減る。こうなると中々実効性が上がりません。良い思いをするのは会社だけという冷ややかな反応になってしまいます。従って、アウトプット(成果)を上げながらインプット(投入量)を下げた従業員を高く評価し、待遇に反映させる人事制度が考えられます。
また、リモートワークや在宅勤務など、勤務形態を多様化させることで投入量を減らすことも検討します。

今のままでもあと10年は逃げ切れるかもしれません。しかしその先は・・・・・・・・。

待ったなしの働き方改革!!単なる労務問題ではなく、経営課題となってきています。まだ経営課題として取り組んでいない企業は、今年から取り組んで行きませんか?

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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18年01月06日 | Category: General
Posted by: nishimura
●中小企業でヘッドハンティング採用をする場合の留意点(H29.12月号)


中小企業の社内風土で欠落しがちなものに、適度な「上昇志向」と「競争原理」があります。大企業のようにゼネラリスト(管理監督者層)やスペシャリスト(高度技術者)が社内から育ちにくい社内風土の中で、こうった人材を外部に求めて、採用をすることがあります。大手企業の管理職クラスの方、或いは親企業や取引銀行からの再就職者が典型的な例ですが、これが上手く行かないことが実に多いのです。これらを仮に「ヘッドハンティング採用者」といいますが、私の20年に渉る社労士としての企業サポートの経験から、上手く機能した事例は非常に少ないというのが正直な印象です。

この原因は色々推測されるのですが、大別すると以下3点に絞られるのではないかと考えています。


◎そもそも社長とソリが合わなかった
◎中小企業の「あれもこれも」に合わなかった
◎ミッションをはっきり伝えていなかった

どういうことでしょう?



1.そもそも社長とソリが合わなかった


これはひと言で言うと、社長の価値観や感性に合わないことから来るもので、結局ミスマッチを起こし、それが社長のストレスとなってしまうケースです。最悪の場合は喧嘩別れのような事態に陥ることもあり、退職後も感情的なもつれから、トラブルが長期化することがあります。

中小企業の一般社員の採用方針の鉄則に、知識・能力よりも、社長の好みを優先するということがあります。要するに社長が好きな性格傾向の方をまず優先すべきで、スキルはその次ということです。よく2:6:2の法則と言われますが、上位2割の人材は最初から来ないと思った方がよく、また狙うべき人材でもありません。仮に運よくスキルの高い人材を採用出来ても、結局、受け入れる企業にその体制がなければ早期退職されるだけです。

特に社長が全社に目の届く範囲の規模であれば、社長の好みに合うかどうか、自分の会社の社風に馴染むかどうかを優先し、その人物が下位2割でなければ、採用するべき人材と言えるでしょう。これを仮に「合う人優先採用」とします。

ところが、「ヘッドハンティング採用者」の場合は、どうしてもこの「合う人優先採用」の法則から外れます。つまり社長に合うかどうかは二の次で、まずスキルや知識を優先します。ここに落とし穴があるのです。一目惚れしたがために判断が鈍り、付き合いだしてみたものの、一緒に居ると嫌な面が見えてくる、そんな感じでしょうか?


ですからここでいえる事は、

a.合わない可能性のあることを承知の上で覚悟をもって採用するか、
b.やはり「合う人優先採用」を貫くか、

の選択が必要だと思うのです。




2.中小企業の「あれもこれも」に合わなかった


これは図に書いてみると視覚的に分かり易いのですが、まず円グラフを思い描いてください。大企業の力量を表す円グラフは直径10メートルもある大きな円です。一方、あなたの企業は直径10センチだとします。とっても小さな円になるはずです。

大企業は10メートルもある大きな円ですが、そこに働く一人一人の占める面積は、恐らく棒線程度の面積しかありません。外周円から中心点まで長い線にはなりますので、非常に深いのですが、面積的には棒線くらいにしかならない。
しかしあなたの企業は小さな10センチの円ですが、僅か4名しかいません。これを円グラフの面積にすると90度の角度、つまり4分の1の面積を占めることとなります。

イメージ出来たでしょうか?


中小企業では、一人一人の面積は深くはないけれども、幅が非常に広いことになります。これはどういうことを意味するのかと言うと、つまり中小企業は「あれもこれも」やらなければ行けないのです。例えば事務職だからと言って、経理だけに特化することはなく、総務も、人事も、庶務も、或いは財務もやる。人手が足りなければ、倉庫も手伝うし、検品もやる。つまり「あれもこれも」なのです。

この根本的な働き方の違いが大企業の風土しか知らない「ヘッドハンティング採用者」には理解し難いものと思われ、結局、その専門知識を深く活かせることもなく、周囲から浮いてしまい、居場所が無くなって行くような気がします。


ですからここでいえる事は、

a.「あれもこれも」やって欲しいのか、
b.本当にその深い専門知識だけ提供してくれれば良いのか、

の腹積もりが必要だと思うのです。




3.ミッションをはっきり伝えていなかった


後から「ヘッドハンティング採用者」のことで悩んでいるとして、ご相談を受けたとき、お尋ねします。「そもそもこの方に、何を期待して来てもらったのですか?」。
そうすると答えに窮されるのです。社長としては採用すると良いことがあるだろうと期待して来てもらったはずですが、そもそも何を期待していたのでしょうか?
その思いが明確に伝わっていないのです。社長としては思いがあったはずです。「ウチの息子であるまだ年若い専務に、色々と教えてやって欲しい」とか、「前職の経験を活かして欲しい」とか。

でもちょっと待った!!です。その色々と教えるとか、経験を活かすとか、一体何なのでしょうか?阿吽の呼吸で理解してくれるものなのでしょうか?結局、漠然とした期待は分かるのですが、それを「ヘッドハンティング採用者」にきちんと伝えていないのです。通常、「ヘッドハンティング採用者」は自社の初任給相場より、うんと高い給与で招聘します。その割には期待はずれ、となりモヤモヤ感が生じてしまう。


ですからここでいえる事は、

a.最初に何を期待しており、何を成果として出して欲しいのか、誓約文書できちんと伝える
b.万が一、期待はずれだったときに、給与を再改定し易いように「特別保障手当」を入れた雇用契約書を結ぶ




※誓約文書の例は、弊社HPの「各書類のダウンロードコーナー」において、労働契約関係のカテゴリーの中から、「高度管理職誓約書」をご参照ください。
http://www.nishimura-roumu.com/jyosei-roumu-sho/download.html

※特別保障手当については、過去メルマガ「出来ると思って雇ったら期待はずれ・・・そんな時、特別保障手当を活用しよう!(H18.5月号)」をご参照ください。
http://www.nishimura-roumu.com/information/18-1-12/456-2016-04-20-13-21-107.html


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文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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17年11月28日 | Category: General
Posted by: nishimura
●2018年4月からいよいよ発生! あと半年!!無期転換権、迫る!(H29.11月号)


有期契約労働者の「無期転換権」につきましては、本年1月号において触れました。今回は本制度の解説は割愛し、あと半年と迫った中で、企業が対応を検討すべき具体的事項に絞ってお話しいたします。

無期転換の概要をご存知になりたい方は、1月号を御覧頂くか、HPで「無期転換ルール」と検索して「無期転換ルール 厚生労働省」http://muki.mhlw.go.jp/

を御覧ください。



■まず、会社の基本方針を明確にする

これは「無期転換」を、
(1)会社として是として積極的に取り込んでゆくのか、
(2)やはり無期は困る、有期で使い続けたい、と考えるのか
の選択ということです。

5年前にこの制度が出来たときは、景気動向もかなり低調だったため、どちらかといえば、雇用調整がやりにくくなる「無期転換、それは困るな・・・・」という感覚の企業が多かったように感じます。
しかし、現在では空前の人手不足時代の到来ということもあり、中堅以上の企業では人材確保及び引き留め策として、積極的に制度化して活用して行こうという動きが見られます。

まず、企業としてどちらのスタンスを採るのか、によって施策は自ずと変わってくるということです。


その上で、この紙面では、後者の感覚、つまり「無期転換、それは困るな・・・・」という感覚がまだまだ多い中小企業に絞って、具体策を検討してみたいと思います。



1.次の更新時に更新の有無をはっきりさせる

平成25年4月1日段階で在籍している有期労働者の契約更新がこれからあり、その期間の終期が3月31日までにある場合、次の更新時が「5年を超えない」最後の更新時期となります(※但し例外あり 巻末に記載)。つまり5年以内で収まる最後であり、その次の更新では既に5年を超えてしまうため、「無期転換権」が発生します。

企業の対応方法として有期労働者で使い続けたいというのであれば、来年3月までの更新時に、「本契約をもって最終とする」として更新する必要があります。



2.5年を超える契約はしないことを明示する

今後、有期契約を締結するときには、「通算5年を超えて更新しない」という文言を入れた雇用契約書を交わしておく必要があります。この場合、期限管理をきちんとして、何人も例外なく5年で雇止めする厳格なルール運用が求められます。
うっかり、5年を超えてしまう、或いは人により延長を認めることは望ましくありません。



3.事後放棄

「無期転換権」を行使させないために、事前に放棄を迫ることは無効とされています。仮に自由な意思表示で放棄した場合でも強行法規の性格上、事前放棄は不可能と考えます。

しかし、事後放棄については可能となる余地があります。事後放棄とは、一旦5年超となって無期転換権が発生した後に、自由な意思表示で労働者自らが放棄するというものです。

この場合、私見として、放棄に対しては有利な労働条件を用意する方が望ましく、
A 放棄した場合のメリットとデメリット
B 放棄しない場合のメリットとデメリット
をきちんと説明して、放棄を強要せず、充分な考える時間を設けた上で、自発的に合意書が取れるのであれば可能と考えます。例えば放棄した場合は、雇止めもあり得るが、メリットとして賃金をアップするとか、希望する職務や勤務場所から動かさない特約を結ぶことなどが考えられます。



4.法人間の転籍

無期転換権は同一の使用者(つまり企業単位)で発生するものです。言い換えるなら、事業主体(つまり会社)が変われば、法文上は5年を超えても通算されないことになります。つまりA会社で5年勤務のあと、B会社で有期契約を結んでも、A会社の期間は通算されないのです。但し、この場合、転籍に本人の同意があり、かつB会社に経営の実態が必要です(ペーパーカンパニーはダメ)。

但し、無期転換権を免れる目的で、このような雇用管理をした場合、司法がどのように判断するかは現時点では不明です。



5.無期転換した後の労働条件

上記1から4は、無期転換権を制御する対策ですが、何らかの事情で無期転換者が発生した場合に備えた対策も必要です。                                
(1)無期転換者の就業規則はどうなるのか

有期契約であることを前提に就業規則を適用している場合は注意を要します。例えば、「この規則は有期契約者に適用する」とか、正社員の定義が「無期で雇用する社員とする」のような文言となっている場合です。前者の場合ですと、有期で無くなる無期転換者は一体どの規程の適用を受けるのかが不明です。

後者の場合では、無期転換者が正社員として処遇される可能性が出て来てしまいます。退職金規程が無期転換者にも適用になるなどの影響が広がることもあり得るでしょう。

無期転換者は、原則、いままでの就業規則の適用を受けるという文言の見直しが必要です。就業規則の「社員の定義」、「適用範囲」の条項のチェックが不可欠です。


(2)定年は適用されるのか

今まで有期社員であったときは、定年を意識する必要はありませんでした。しかし無期社員になっても正社員になるわけではありませんから、正社員の定年制はそのまま適用されません。無期社員にも新たに定年制を設ける必要があります。


(3) 定年退職者も無期転換権があることになる

無期転換権は定年退職して継続雇用されている社員にも適用があります。つまり、一旦定年退職で有期社員になっている方も、5年を超えれば無期転換があり得るのです。しかも高齢者雇用安定法により、現在は原則65歳まで継続される仕組みとなっています。65歳できちんと雇止めした場合は別ですが、65歳を超えて継続すると5年超となり、無期に戻る可能性があるのです。

これを回避するためには、68歳第二定年や、70歳契約期間の上限という規定を新設しておく必要があります。

但し、平成28年4月より定年退職者に限り、無期転換権を発生させないことが可能な有期契約特別措置法ができており、認定を受けた企業は除外されます。


(4)別段の定め

無期転換した場合でも、契約期間がなくなるだけで、その他の労働条件は同一のなるのが原則です。
しかし、就業規則において「別段の定め」をした場合は、従来と異なる労働条件にすることも可能とされています。具体的には以下のようなケースが考えられます。


A.有期であったことで優遇されていた条件をどう考えるか


有期契約であることから、特別に優遇されている条件(慣行)がある場合は、それをどうするかを検討する必要があります。例えば、有期社員は地域限定採用とか、職務を限定しているとか、時間有給を認めているような場合です。こういった場合に、無期になることで、他の無期社員と同様に配転や職務変更に応じてもらうこととするのか、といったようなことです。

そうであるなら、無期転換後には有期であることで享受していた有利な条件がなくなることを規定化しておくべきです。



B.無期後の新たな労働条件の設定

これは有期のときと、無期後の労働条件に明確な違いをらかじめ規定しておく場合があるということです。
具体例で申しますと、

   有期時代                    無期転換後

a. 週3日 18時間の勤務(社会保険なし)  →   週5日 30時間の勤務(社会保険加入)
b. 勤務地限定                → 勤務場所の変更(転勤)あり
c. ショップ販売員(限定)          →   事務社員や倉庫業務への変更あり



C.定期的に労働条件の変更を行いたい場合

有期契約のときには、更新時に賃金や労働時間など、期間以外の労働条件を見直していたことがあると思います。このような場合、無期転換後は、退職までずっと無期転換時の労働条件をそのまま継続しなければならないことはありません。つまり、無期ですので期間の話はできませんが、その他の労働条件を従来通り定期的に見直すことは可能です。

但し、これをする場合は、就業規則に定期的に見直すことを定めた規定を設ける必要があります。



D. 無期転換者は制度上は新規雇用として規定する

議論のあるところですが、無期転換者は今までの契約の延長線上で労働条件を変更したと考えるのではなく、新たな労働契約(新規雇用)をしたとして明示しておくことが望ましいと考えています。

これは労働条件を変更した場合に、労働契約法のどの条文が適用されるかという、法学的に難しい理論ですので割愛しますが、新たな雇用関係が始まると理解すべきです。但し、引き継がれない労働条件と引き継ぐ労働条件を明確にしておく必要があります。例えば有給休暇の勤続年数は引き継ぎ、通算しなければなりません


以上、これら別段の定めをする場合には、無期転換者が発生する前に、就業規則を変更しておかなければなりません。発生後でも変更が出来ないことはありませんが、法的にハードルが高くなってしまうからです。




また一般的には少ないと思われますが、無期転換は来年の4月以降でないと発生しないとも限らないケースがあります。それは、平成25年に在籍している有期労働者で、契約期間が一定でなく、バラバラであったり途中で変更されているケースです。

例えば、平成25年4月1日に6ヶ月の有期契約を結び、その後1年契約に変更している場合、平成29年の10月1日時点の更新において無期転換権が発生していることになります。

何故なら、5年を歴日数で超えるのは来年の4月1日以降ですが、この10月1日の更新で必ず4月1日を超えて、つまり5年を超えることが確実な契約を結んでいるからです。つまり5年を超えた時から無期転換権が生じるのではなく、あくまでも5年を超える契約の始期から権利が生じることに注意しなければなりません。

(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

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17年10月26日 | Category: General
Posted by: nishimura
社内コミュニケーションを考える(H29.10月号)

皆様こんにちは、西村社会保険労務士事務所の坂口です。

事業所様を日々訪問させて頂いている中で、必ず最近話題になるのが「求人募集において苦労されていること」、「社員の社内コミュニケーションのこと」、「昨今頻繁に取り上げられている長時間労働の問題のこと」です。
求人募集においては売手市場なこともあり、中々求人を出しても応募がないのが悩みでありハローワークだけで求人募集されている事業所様はほとんどなく、他の有料媒体を併用して活用されております。長時間労働についても電通事件があり、長時間労働防止対策の延長で盛り込まれることになった「時間外労働の絶対的上限規制」など改正労働基準法の話もよく出ます。今回のテーマは必ず話題になる一つの社内コミュニケーションについてで以前のメルマガでも視点は違えど何度か取り上げさせて頂いておりますが、各事業所様で感じておられること、また実際に行っておられる社内コミュニケーションについてご紹介させて頂ければと思います。

その前にコミュニケーション以前の問題にはなりますが、挨拶が出来ない従業員が増えているとよく聞きます。昨今は挨拶がないこともあってか隣近所ですら誰が住んでいるかわからないといったことがあり、隣近所ですら挨拶もなくそういった環境の中で育ち、広い社会に出ていきまず挨拶が出来るのかといったことです。環境が人を育てるといいます。挨拶のない職場では社内が暗く、休憩時間中も各々が携帯をさわりコミュニケーションを取るといったことがあまりありません。そういったことは業務中も当然にあり同じ部署間、他部署間でも仕事のやり取りについての連携が作用せず、自分の仕事が終われば帰社する、周りの人の仕事が残っていても声掛けが出来ない、他の従業員への配慮が出来ないなどといったことが挙げられます。ひいてはコミュニケーションが取れないことは長時間労働にも繋がり、コミュニケーションの円滑化は長時間労働の抑制にも大きく効果を発揮します。
昨今大手では所定労働時間の短縮を実施されている企業が増えてきておりますが、中小企業には難しいのが現状です。所定労働時間を短縮すると生産性がどうしても下がります。生産性を下げない為にいかに効率よく作業を行うか社内で議論し、それが社内コミュニケーションの活発化に繋がり生産性を落とさず、かつ社内コミュニケーションがよくなったということもあるようです。

ではその社内コミュニケーションについて事業所様に色々お話を伺い実際実践されていることをご紹介させて頂きますので、ご参考にして頂ければと思います。

・懇親手当(管理職等に従業員間のコミュニケーションの円滑の為の懇親手当を支給する)
・誕生日パーティ(必ずしも各人ごとではないが従業員の誕生日に店を予約してお祝いをする)
・社長自ら従業員の誕生日を把握してのプレゼント
・休憩時間の際に休憩場所を設けてお茶菓子を提供し従業員が集まりやすい環境を作る
・社長、専務自ら時間を見てはお茶菓子を従業員へ配っての話しかけをおこなう
・慰安旅行(最近また実施されている企業が増えてきているように感じます)
・ウォーキングの会(定期的に社長、従業員で場所を決めてウォーキングし、その後昼食を共にする)
・会社施設を利用してのバーベキュー(家族、子供、取引先も呼んでの)
・家族旅行の為の資金援助(家族に対しても感謝の気持ちを込めて)
・社内木鶏会(人間学を学ぶ雑誌「致知」を読んで、感想を言い合う会です。「致知」はひとの体験談を主に書いております)
・社歌をつくる(最近ブームになってきているようで社歌コンテストも開催されるなど、メディアにも頻繁に取り上げられています)
・目安箱(意見を直接言いにくい場合に設ける投書箱のようなもの)
・提案、表彰制度
・伝達制度(社長へは直接言いにくい場合など間に入ってもらう人を選任し意見を聞く)

各社様々なことをされておりますが、最終的に私が感じることはコミュニケーションについては上司同僚部下、部署間と様々あるかと思いますが、上司にまかせっきりにならず、経営者自らがいかにこの問題を考え積極的に取り組んでいるかによると感じます。会話の多い事業所様は親睦行事等の会社行事も多く、また参加者も多いと聞きます。企業の規模やそれ以外にも多くの仕事も抱えておられる経営者様にとっては難しい事ではありますが、求人募集の現状、今後の労働力人口の減少を考えると、現有社員とのコミュニケーションについての問題も重要なのでは感じる次第です。

(文責 社会保険労務士 坂口 将)

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17年10月02日 | Category: General
Posted by: nishimura
育児休業取得者が発生する企業への助成金(H29.9月号)
~両立支援等助成金 育児休業等支援コース~   (H29.9月号)

育児休業を取得される従業員が増えています。かつては中小企業においては女性ですら、非常にその数が少なかったのですが、近年は中小企業でも増加傾向にあり、弊社でも育児休業に関する事務手続きを代行させていただく機会が増えました。
そこで今回は、育児休業の取得や復帰を円滑にする環境整備をした企業に支給される助成金をご紹介したいと思います。
◎両立支援等助成金(育児休業等支援コース)

■内容■
育児復帰支援プランを作成し、プランに基づく措置を実施し、育児休業の取得・職場復帰させた事業主、及び育児休業取得者の代替要員を確保すると共に、育児休業者を原職復帰させた事業主に対して助成するもの。
育児休業の取得前から職場復帰までにノウハウを構築し、労働者が安心して育児休業を取得でき、職場に復帰しやすい環境整備を図ることを目的とする。

■基本的な流れ■
(1)労働者から出産、育児休業に関する報告及び面談
      ↓
(2)育児復帰支援プランを実施する規定の整備・周知
      ↓
(3)最新法令に基づく育児介護休業規程の届出・周知
      ↓
(4)次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」(育児環境改善などの取組みを宣言するもの)の策定・届け出・公表
      ↓
(5)支援プラン作成のための上司との面談
      ↓
(6)育児復帰支援プランの作成(業務の引継ぎに関すること、休業中の情報提供に関することを纏めたもの)
      ↓
(7)支援プランに基づく業務の整理・引継ぎ
      ↓
(8)産後休業・育児休業の取得(最低3ヶ月以上)
      ↓
(9)休業中の労働者に職場の状況などを情報や資料の提供
      ↓
(10)上司による復帰前面談
      ↓
(11)原職への職場復帰
      ↓
(12)上司による復帰後面談

■助成額■
1.育児休業取得後  1人28.5万円(生産性要件アップ時は36万円)
2.職場復帰後    1人28.5万円(生産性要件アップ時は36万円)
3.代替要員確保後  1人47.5万円(生産性要件アップ時は60万円)   
  ※代替要員確保とは、育児休業取得者の休業中の穴埋めのために派遣労働者等を新たに受け入れた場合。

■その他留意すべきこと
1.お金を目的にすべきではない
助成金は確かに返済の必要がない純利であり、魅力的なお金かもしれませんが、お金を目的にしてはいけません。良い労務管理により企業の改善活動を行うのが本筋であり、お金はおまけです。お金が目的なら、本業で頑張るか、融資に頼るべきです。

2.倫理感を維持する
助成金は人間のモラルを低下させる副作用があります。公金を扱うのですから、間違っても倫理観の低い行いをしてはいけません。無かった事実をあったことにする、事実を捻じ曲げるようなことは、絶対にあってはなりません。

3.長い目で考える
助成金は単年度予算で行われることもあり、政策課題が実現すれば廃止されることもあります。しかし助成金に併せて策定した人事制度(正社員転換とか、定年延長とか)はずっと残ります。助成は終了しても、人事制度は残ることを肝に銘じるべきです。

4.法令を遵守する
助成金に限らず当たり前なのですが、就業規則の作成や社会保険への加入、公租公課の納入、残業代の支払いなど、やるべきことをきちんとやっていることが大前提です。

助成金にはパンフレットには載っていない細かな要件や制約事項がありますが、従業員から出産育児の相談がありましたら、一度検討してみては如何でしょうか?

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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17年09月05日 | Category: General
Posted by: nishimura
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今年は労働生産性の向上を経営課題としよう(H30.1月号)●中小企業でヘッドハンティング採用をする場合の留意点2018年4月からいよいよ発生! あと半年!!無期転換権、迫る社内コミュニケーションを考える 育児休業取得者が発生する企業への助成金小規模企業は、社長がストレスを感じない性格傾向の人物を採用しよう労働時間となる時間、ならない時間とは●昨今の労務管理について思うこと求人広告をもう一工夫して、当たり前の労務管理を募集に使おう!同一労働同一賃金ガイドライン(案)が出た影響は?
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  4. 管理職にすると、本当に残業手当は要らないか。(12091)
  5. ●お天道様はきっと見ている・・・ だから、まっとうな会社でいよう!(11802)
  6. これからの労務管理のキーワードは生産性の向上、つまり「脱残業」だ! その3(7275)
  7. いよいよ 対応が迫らせる無期転換 ~有期社員を雇用している企業へ~(6895)
  8. 雇用契約書について考える~最初が肝心、トラブルのない取り決めを~(6778)
  9. 褒めるのがヘタな経営者の方へ〜メッセージカードを活用しよう〜(6273)
  10. 生き残りのための残業削減策を考える その2(6250)