20年05月01日 | Category: General
Posted by: nishimura
20年03月30日

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小さな会社にピッタリの 使える労務管理術
著:西村 聡
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【著者プロフィール】
西村 聡(にしむら さとし)

特定社会保険労務士・賃金コンサルタント
社会保険労務士法人ラポール 代表社員
株式会社なにわ式賃金研究所 代表取締役

昭和40年生まれ。大阪市在住。
10年間、会社員として求人広告営業をする中で、
スキルアップのために、
平成8年に社労士資格を取得。
その後、労務コンサルが主業となったため、
平成10年に独立して「西村社会保
険労務士事務所(現ラポール)」を創業。
さらに平成19年には、小規模企業専門の賃金コン
サル業を行うため、「株式会社なにわ式賃金研究所」を設立する。

以降、大阪府社会保険労務士会常任理事・大阪南支部支部長(平成21~27年)、
公益社団法人総合紛争解決センターあっせん委員( 平成21~23年)、
大阪府社会保険労務士会労働条件審査推進特別部会部会長(平成25~27年)を歴任する。

現在も、零細企業の経営者が運用できる簡単な賃金システムの提案を始め、
社内規程の整備、労働紛争対応、手続代行、労務相談など、
経営者をサポートする社会保険労務士として活躍している。
大阪平野ロータリークラブ会員
20年03月30日 | Category: General
Posted by: nishimura
迫りくる同一労働、同一賃金!!その対策を考える  その3(2019.11月号)

前回において、同一労働同一賃金が求める均等待遇、または均衡待遇違反に問われるリスクを回避するためには、正社員と非正規社員との間で3要素で違いを設けることが極めて重要になることをお話しました。3要素とは「職務の内容」、「職務の内容・配置の変更の範囲(人材活用の仕組み)」、「その他の事情」のことで、その内容を詳しく解説しました。


このことを踏まえた上で、今回は正社員と非正規社員の待遇を同等にできない企業の場合に、これからどのようにして行けば良いのか、その具体策を検討して行きます。
まず具体的対策を講じる前に、「職務の内容」、「人材活用の仕組み」の2要素は同じにしないことです。これが同じであると3番目の要素である{その他の事情」は斟酌させず、対策云々以前に均等待遇にしなければならなくなってしまいます。これは避けねばなりません。

では現時点で考えられる対策を解説します。


1.正社員と非正規社員の定義を明確化する(正社員と非正規社員の就業規則を分ける)


まず初めに行いたいのが、正社員とパート有期雇用労働者の定義を就業規則において明確化することです。つまりそもそも正社員とはどういう人か、パート有期雇用労働者とはどういう人かを見える化しておきます。これが曖昧であると、両者の待遇に違いがあることが説明できません。

規定例

第00条(従業員の種類)

(1)正社員:正社員とは契約期間の定めがなく、月極め給与で、かつ所定労働時間をフルに勤務できる者で、原則として定年までの良好な長期雇用を前提とし、中核的業務を担い、広範な職務変更や異動が予定され、キャリアを重ねることでゼネラリストまたはスペシャリストを志向する者をいいます。正社員は本則の適用を受けます。


(2) パート社員・有期雇用社員:パート社員・有期雇用社員或いはアルバイトとは、時間給にて採用された者、契約期間に定めのある者、または正社員とは異なる短い勤務シフトにより採用された者、或いは労働契約法による無期転換した者で、いずれも長期雇用、広範な職務変更や異動、或いはキャリアアップが予定されておらず、原則として簡易な業務に従事する者をいいます。パート社員・有期雇用社員は「パート有期雇用社員就業規則」の適用を受けます。

2.基本給の決定基準の相違を明確にする


「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(以下。ガイドラインという)によりますと、正社員と非正規社員間で賃金の決定基準に相違を設けること自体は否定していません。但し「将来の役割期待が異なるため」のような、抽象的な説明では足りないともしています。ガイドラインが示してしる例で言えば、正社員には能力に応じて支給しており、パートも能力を重視するのであれば、パートにも能力に応じた支給を求めています。

つまりここから読み取れることは、明らかに決定基準が違えば、そもそも比較しようがないとも言えるのです。そこで、賃金規程においてしっかりと、賃金の決定基準が違うことを明示しておくのも対策の一つと言えるでしょう。


規定例

第00条(賃金の決定基準)

(1)正社員の基本給は月給制にて、経験や能力、役割、業績への貢献度等を総合的に勘案して支給します。

(2)パート社員の基本給は時給制にて、職務内容や勤務シフト、世間相場を勘案して支給するものとし、個別に雇用契約書において定めます。


ちなみに現段階において、基本給の格差が均等均衡待遇違反とされた裁判例は存在しないようです。


3.職務の内容に違いを設ける(パートには基幹業務をさせない)


3要素のうち、第一要素である「職務の内容」に明からな相違を設けることで、待遇差があっても不合理と判断されないようにします。具体的には以下2点のいずれかにて明確な違いを設けます。

(1)職種は同じでも、非正規社員には中核的業務を行わせないか、または簡易業務のみに従事させる。
(2)職種は同じでも、責任の程度に違いを設ける。責任の程度とは例示すると以下のようなものがあります。

(ア)単独契約できる可否
(イ)管理する部下の数
(ウ)決裁権限の範囲
(エ)ノルマの有無
(オ)トラブルや緊急時対応の有無
(カ)時間外労働の必要度
(キ)成果への責任の度合い


特に小規模企業の場合、この「職務の内容」で相違を設けておくことが重要です。何故なら次に述べる「人材活用の仕組み」で違いを設けるのは、物理的に困難であるケースが想像されるからです。例えば拠点が1か所しかない場合、そもそも正社員でも転勤があり得ません。職務においても例えば事務で雇った人を営業に変更することは通常予定されていないからです。

4.人材活用の仕組みに違いを設ける(パートは限定契約を活用)


拠点が複数個所ある場合や、ジョブローテーションが可能な企業であれば、3要素のうち第二要素である「人材活用の仕組み」に違いを設けておきます。人材活用の違いとは以下のようなものが考えられます。

(1)転勤の有無(正社員・非正規社員双方に転勤がある場合でも、正社員は全国転勤、パートはエリア限定転勤であれば同一となならない)
(2)昇進の有無(役職の変化)
(3)昇格の有無(職能資格の変化)
(4)職務内容の変更の有無
(5)キャリア形成の有無(ゼネラリストやスペシャリストへの上昇)
(6)出向・転籍の有無
(7)人事考課の有無
(8)役割の変更の有無(指導・監督・管理・成績連動など)


特にパート有期雇用社員と限定契約を結ぶことは有効な手段と思われます。何を限定するかといえば、それは、職務・勤務場所・勤務時間のいずれかです。通常正社員の場合は、辞令1枚で職務変更や転勤に応じる義務がありますが、
パート有期雇用社員は、本人の同意がない限り、人事権によって異動は行わないことを雇用契約書で明示しておきます。


雇用契約書例(勤務地限定の場合)

勤務地限定 有期雇用社員契約書

勤務地:○○店(本人の同意がない限り、他の勤務地へ転勤することはありません)

5.その他の事情をできるだけたくさん設ける


3要素のうち、第一要素と第二要素のいずれかにて違いを設けるのが大原則ですが、第三要素である「その他の事情」を設定するのも有効な手段となります。その他の事情とは以下のようなものが考えられます。

(1)他の待遇とのバランス(ある待遇差が不合理でも、それを補填するその他の待遇を設ける)
(2)定年後の再雇用    
(3)労使協議の在り方(その相違が労使で真摯に話し合って決まっていることかどうか)
(4)正社員登用の有無 (一定の要件のもと希望があれば正社員化のチャンスを与えるもので、ずっと非正規社員で固定化することを妨げる事実となる) 
(5)成果・能力・経験・役割の違い
(6)合理的な慣行
(7)残業の有無(非正規社員には一切残業をさせない)
(8)所定労働時間の違い(労働時間に比例した待遇差は不合理とは言えない)
(9)年金や高年齢継続給付の有無
(10)採用の目的(長期勤続とキャリアアップを志向する正社員に対して、パートは一時的、簡易業務を補うためなど)
(11)勤務形態の違い(パートは毎週2日休みだが正社員は変形労働時間制の適用とか、パートはテレワークや兼業を認めるなど)
(12)住居事情(近隣か遠方か)
(13)家族事情(扶養義務の有無)

6.3要素に違いがあることを対比表で明確化する(特に「その他の事情」)


上記3から5までに記載した、いわゆる3要素の相違を対比表を作って明示しておきます。例えば就業規則の巻末に以下のような対比表を載せておきます。


対比表 例


職務内容・人材活用の仕組みその他の比較表


         正社員の場合               パート・有期雇用社員の場合
______|___________________|_________________________

人事異動  | 包括契約(職務、勤務場所等無限定) |  限定契約(職務、勤務場所等 本人の同意要)


業務内容  | 包括契約(あらゆる業務を行う可能性)|  限定契約(中核業務・トラブル対応・ノルマなし)


人事制度  | キャリアパス、人事考課による査定) |  なし(マイナス査定なし)


時間外労働 | 36協定の範囲で無限定       |  なし    



(以下次号)

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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19年11月13日 | Category: General
Posted by: nishimura
迫りくる同一労働、同一賃金!!その対策を考える  その2(2019.9月号)


前回において、「均等待遇」と「均衡待遇」という概念があることを触れました。

これは一般の方々には非常に分かりにくい概念ですが、ごくごく簡単に申しますと、

●均等待遇とは・・・・「ある要素」が正社員とパート・有期雇用労働者で同じなら、待遇も同じにしなければならない(パート・有期雇用労働者法第9条)

◎均衡待遇とは・・・・「ある要素」に違いがある場合、正社員とパート・有期雇用労働者の待遇に相違があっても良いが、不合理な差異であってはいけない(パート・有期雇用労働者法第8条)


という風に解説しました。そして「ある要素」が今後の対策を立案する上において非常に重要なものになるとも言いましたが、今回はこのことについてお話しします。



この「ある要素」とは以下の3つのことをいいます。


 A 職務の内容
 B 職務の内容・配置の変更の範囲
 C その他の事情


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※A「職務の内容」とは、単に同じ職種ということだけではなく、その業務に伴う責任や役割の程度も問われる
※B「職務の内容・配置の変更の範囲」とは、転勤や昇進の有無、職種(責任や役割を含む)の変更の有無があるかないかということ(将来的な見込みでも可)
※C「その他の事情」とは、主に以下のものをいう。
  1 他の待遇とのバランス
  2 定年後の再雇用    
  3 労使協議の在り方  
  4 正社員登用の有無  
  5 成果・能力・経験・役割の違い
  6 合理的な慣行
  7 残業の有無
  8 所定労働時間の違い 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして前記、●均等待遇(平等にすること)とは・・・でいう、「ある要素」が正社員とパート・有期雇用労働者で同じなら、待遇も同じにしなければならないとは、

上記「Aの職務の内容」と「Bの職務の内容・配置の変更の範囲」がどちらも同じであって、「Cのその他の事情」がなければ、正社員とあらゆる待遇を同じにしなければならないということです。



また前記、◎均衡待遇(違いに応じた処遇にすること)とは・・・でいう、「ある要素」に違いがある場合、正社員とパート・有期雇用労働者の待遇に相違があっても良いが、不合理な差異であってはいけないとは、

上記「Aの職務の内容」と「Bの職務の内容・配置の変更の範囲」のいずれかが異なる場合、またはAB両方が異なっても「Cのその他の事情」がなければ、正社員と不合理な差を付けることは許されないということです。

ややこしい話ですが、平等にしなければならない均等と違い、均衡の方は、不合理な差がダメなのであって、差自体が否定されるのではなく、合理性は求められません。簡単に言い換えれば、合法(合理的)でなくとも、違法(不合理)でなければ良いわけで、つまりグレーはセーフということなのです。





この考えを図示すると以下の通りです。


   A職務の内容    B職務の内容・配置の変更の範囲    Cその他の事情
===============================================================
1   同じ          同じ               なし     ⇒   均等待遇(差別的取り扱い禁止)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2   同じ          異なる              ―      ⇒   均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3   異なる         同じ               ―      ⇒   均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
4   異なる         異なる             (なし)    ⇒   均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)

                                                              ↑ パート・有期雇用労働法の規制の対象
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
5   同じ          異なる              あり     ⇒   待遇差は違法ではない可能性あり   ↓ パート・有期雇用労働法の規制の対象外
6   異なる         同じ               あり     ⇒   待遇差は違法ではない可能性あり
7   異なる         異なる              あり     ⇒   待遇差は違法ではない
     



上表1から4はいずれも今回のパート・有期雇用労働法の規制の対象となり、均等にしても、均衡にしても、いずれにしても何らかの持ち出しが必要となります。

つまり、非正規社員(有期、短時間の方)の待遇を引き上げて、正社員と同じ待遇にするか、近づける必要があるわけです。法の目的にも合致し、王道コースといえるでしょう。


しかしこのいわば王道コースを取り難い中小企業の場合は、まず上表の5、6、7の考え方を労務管理に反映させて運用することを具体的に検討してゆくこととなるのです。


以下次号。


小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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19年09月02日 | Category: General
Posted by: nishimura
●迫りくる同一労働、同一賃金!!その対策を考える  その1(2019.8月号)

いわゆる同一労働同一賃金を規定した、改正「パート・有期雇用労働者法」の施行が迫ってきています。大企業では来年2020年の4月から、中小企業でも再来年の2021年4月からスタートとなります。大企業と中小企業の区分は以下の通りで、資本金か労働者数のどちらかが以下の基準を下回れば中小企業となります。

             資本金         労働者数(企業単位)

小売業        5,000万円以下  または   50人以下
サービス業      5,000万円以下  または  100人以下
卸売業        1億円以下    または  100人以下
その他の業種     3億円以下    または  300人以下
(製造・建設・運輸など)  


実は全く新しい法律ができるのではなく、従来からあるパート労働法を修正して施行されるのですが、パートタイマーか有期契約労働者を雇用する企業は、規模を問わず非常に大きな影響が及ぶこととなる上に、方針の決定、検証や制度設計その他の事前準備にかなりの時間を要することになるため、しばらくの間シリーズにてこの問題を考えて行きたいと思います。


少し退屈かもしれませんが、まず法律条文の該当部分を確認しておきましょう。



■根拠法の確認

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(略して パート・有期雇用労働者法)

(不合理な待遇の禁止)

第八条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。


(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)

第九条 事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。


(賃金)

第十条 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。次条第二項及び第十二条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。※1)を決定するように努めるものとする。


(教育訓練)

第十一条 事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。以下この項において同じ。)が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間・有期雇用労働者に対しても、これを実施しなければならない。


2 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験その他の就業の実態に関する事項に応じ、当該短時間・有期雇用労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。


(福利厚生施設)

第十二条 事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるもの(※2)については、その雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならない。

※1 通勤手当・退職手当・家族手当・住宅手当など
※2 給食施設・休憩室・更衣室のこと


上記において、特に大事なのが、第8条及び第9条となります。次回以降詳述します。



■最低押さえておくべきこと

(1)誰と誰を比較して同一労働同一賃金でなければならないのか

この法律において比較の対象となるのは、

正社員VS所定労働時間の短い労働者(1時間でも短ければ対象となる(いわゆるパートのこと)または、
正社員VS有期雇用労働者(フルタイム有期労働者を含む)です。

場合によっては無期フルタイムパートVSパート・有期雇用労働者もあり得ます。

従って「正社員と正社員」、「パートとパート」、「有期雇用労働者と有期雇用労働者」、「パートと有期雇用労働者」、「正社員と無期のフルタイムパート」の間に待遇の相違があったとしても、この法律では関係がありません。



(2)一つ一つの待遇に差別または不合理がないか検討する

日を改めて述べますが、要するに正社員の待遇とパート・有期雇用労働者の待遇を全体的にみて、ふわっと判断するのではなく、個々の待遇ごとに判断されるということです。例えば、10ある処遇のうち、9まではパート・有期雇用労働者も正社員と同じ待遇か、或いは上回っていたとしても、残りの1つの待遇が差別的と判断されれば、是正を迫られることとなるのです。



(3)賃金だけでなくあらゆる待遇が対象となる

同一労働同一賃金の俗称から、賃金だけが規制の対象であるとの勘違いを起こし易いのですが、そうではありません。賃金だけでなく、福利厚生、教育訓練、休暇、安全衛生、解雇などあらゆる待遇が対象となるものです。また賃金も月例賃金や基本給だけでなく、手当・賞与・退職金或いは福利厚生的な慶弔金や報奨金なども対象となります。



(4)均等待遇と均衡待遇という概念があること

これは一般の方々には非常に分かりにくい概念です。これも次回以降で詳述しますが、ごくごく簡単に申しますと、

均等待遇とは・・・・ある要素が正社員とパート・有期雇用労働者で同じなら、待遇も同じにしなければならない(パート・有期雇用労働者法第9条)

均衡待遇とは・・・・ある要素に違いがある場合、正社員とパート・有期雇用労働者の待遇に相違があっても良いが、不合理な差異であってはいけない(パート・有期雇用労働者法第8条)


この「ある要素」が対策を立案する上において非常に重要なものになるのですが、次回以降で詳述したいと思います。



(5)使用者と労働者間の民事上の問題であり、刑事罰は課されないこと

違反に対しては行政指導の対象とはなっても、労働基準法や労働安全衛生法にあるような刑事罰は用意されておらず、労働基準監督署は管轄外となり、同じ労働局内にある雇用環境均等部の管轄となります。この問題は、対行政というよりも、会社とパート・有期雇用労働者の間でトラブル防止という民事上の問題の方が大きいのです。


(6)損害賠償の根拠となるが、補充効はないこと

パート・有期雇用労働者法第8条の均衡待遇に違反したとして司法判断されたときは、民事上の損害賠償請求の根拠とされます。但し将来に向かって契約内容の修正を直立的に迫られる、いわゆる補充的効力はないとされています。



(7)同一労働同一賃金も、働き方改革の真の目的である労働生産性の向上に関係している

この同一労働同一賃金も、働き方改革関連法の中の一部です。そしてかねてより申し上げておりますが、この真の目的は生産性革命を起こすことであり、単なる労務問題ではなく経営課題なのです。ここを見誤っては、経営者のコミットメントが脆弱になってしまい兼ねません。繰り返し申し上げますが、生産性の高い企業を成長のエンジンとして残し、ついて行けない企業を退場させるもので、生き残りをかけた経営問題なのです。



以下次号。


小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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19年08月23日 | Category: General
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