東京郊外の東村山市に東京都の建造物としては唯一の国宝である、
金剛山 正福寺というお寺が有ります。私は偶々このお寺の近所に
行った時に、建築物を見るのが好きなので寄った所、初めて知った
事なのですが・・・。

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と、言う訳でこのお寺の見所をご紹介。
国宝は本堂ではなくて、正門から入った所の正面にある地蔵堂です。
この地蔵堂の建立は室町時代の1407年だそうです。屋根は元の
材料に復元されて柿葺(こけらふき)です。以前の記事の桧皮葺
対称となる葺き方です。

建築的な見所としてはこの屋根の形状の先端の反り(そり)が1つ
でこのように屋根の形を自由に付けられるようになったのは平安時
代以降なので屋根形状を見て時代を推測する見方も有りますね。

そしてこの大きい屋根の下に庇のように付いている屋根を裳層(も
こし)と言い此処の屋根は一重なので「一重裳層付き」と言ったり、
この庇状の事を裳階(しょうかい)とも言い「裳階造り」と言った
りもするようです。
又、中世・近世ではこの部分を"ゆた"(雨打、雪打)と言う別称も
あり、それに準じて「雨打造り」と呼ばれる事も有ったりします。
同じ造りでも名称が色々と有るようですが、この作りは寺院で禅宗
に見られる造りである事は共通しています。

この建物には他にも見所が有りますが、ちょっと専門的になるので
紹介はこの位にしておきますが、建築の屋根1つにも夫々の歴史が
宿っているのが判ります。