悲しい不動産トラブルが続くなか改めて不動産業界の現状

今の制度上、不動産業者は買い手の味方にはなりえない。

なぜか。不動産業者は売り手の味方でなければ事業をすることができないから。

建前では、不動産業者は買い手から仲介手数料を受け取るので買い手の味方をしなければならない。

いわゆる両手という売り手からも買い手からも仲介手数料をもらう不動産業者が売り手の味方になるのは推測は容易ですが、買い手からしか仲介手数料をもらえない不動産業者は一見すると買い手の味方のようにも思える。

しかし、買い手からもらえる仲介手数料は売買が成立して初めてもらえる。

たとえどんなに買い手にとって不利な情報が出てきたとしてもそれを正直に教えてしまって売買が成立しなければ意味が無いためです。

不利な情報の例としては、

過去に不審死があった。
洪水しやすい土地である。
高い放射線が測定される。(原発事故以外の原因もよくありますが)
住宅ローンが組みにくい。(金利等が高いものしか組めない)
近隣に問題のある住民がいる。

など。

そのため、買い手の不動産業者もよほど親切な業者で無い限りはあまり物件を調べません。不利な情報を知ってて伝えないよりも知らないままの方がいいからです。

下手に調べて伝えて売買が成立しなくなると売上げが入ってきません。

たとえば本当に買い手のためにやろう」と思う不動産業者があらわれたとします。

私も不動産業者となることも考えました。

しかし、それは不動産業者としてはやっていけません。

なぜか、売り手側の不動産業者から嫌われるからです。

「西村不動産は、物件について余計なことまで調べるから、西村不動産には物件を仲介させないようにしよう。」ということに。

確かに売主から物件を任せられている不動産業者にとっては、売却に不利になる情報は売主の味方としては当然ではあります。

しかし、宅建業法や協会は、「ちゃんと不利になることも調べましょう」と指導はしていますが、現場はそんなバカ正直にはやっていたら経営が成り立ちません。

また、住宅ローンが組みにくいことや放射能測定のように、調べることを指導していない不利な項目もあります。

買主は一生に一度の買い物でも、不動産業者にとっては経営をしていく中の些細な取引にすぎません。

買主のために買主に味方になって懸命になればなるほど、不動産業者としては業界から阻害されて、廃業せざるを得なくなる、または買主にいい物件を仲介できなくなる今の仕組みをなんとかしないといけません。

必ず、不動産業者に行く前に第三者のプロに相談してください。

不動産業者に行った後だと、営業妨害とされてしまい、本当に買主にとって必要なアドバイスができなくなります。