新たな年を迎え、今年こそマイホームを建てようと、チラシなどを見て住宅展示場などにいっている方も多いのではないかと思います。

マイホームを建てる際は、必ずきちんとした資金計画が必要です。

ある相談者の事例を紹介します。


約2年半前にあるローコスト大手ハウスメーカーのチラシを見て、住宅展示場に行った方です。

ご主人は年収400万円、
奥さんは主婦
子ども1歳

貯金は100万円。

営業マンと住宅展示場の雰囲気にのまれてすっかり最初にいったその業者で建てることに。

坪単価の安さが最大のポイントでした。

土地は持っていなかったのですが、そのハウスメーカーが特別に見つけたといった土地を購入して建てることに。

(あとで、別に特別に見つけた土地ではなく一般的に売られていた土地であることが判明。)

土地が約900万円。

建物が契約書上で約1200万円。約40坪。でした。

約2100万円で新築一戸建てが注文住宅建てられると大喜びで契約しました。

住宅ローンを組み、無事着工が始まったところでどうせ新築するのだからと合わせて車を買い替えました。

貯金はありませんので自動車ローンを組みました。
250万円の5年ローン。金利3%。

まもなく奥様が第二子を妊娠。

工事が進んだところで、ハウスメーカーから
『そろそろ外構工事の契約をしたらどうですか?』
といわれました。

外溝工事(駐車場やポスト、門 塀など建物以外の部分)は契約には入っていなかったことをそこで初めて知りました。

最初、提示された計算書では外構工事予算として約150万円計上されていたのが、契約時の見積り書の際には除かれていたのです。

もともとこのハウスメーカーは坪単価を安く見せるために建物以外の色々な工事は別の会社と施主が直接契約する形式をとっていました。

予定外のことに、営業の方に連絡をとろうとしたところ、すでに退職していて連絡がとれないとのこと。

※ノルマ制の営業の方は、ほんの1,2ヶ月契約がとれないと生活ができないのですぐ退職する方がとても多いです。

すでに登記費用や確認申請などで貯金の100万円は無くなっていました。

なんとか、両親に援助を頼み、外構工事の契約と支払いは済ませましたが、今度はエアコンとカーテンの物と工事代金が入っていないことが判明。

※ちなみに契約書などには小さな字ではありますが、ちゃんと別工事となっていました。

小さな子どもがいますのでエアコン・カーテン無しではいられませんのでクレジットカードで買いました。エアコン3台とカーテン代で約80万円。(ボーナス2回払いで)

いよいよ完成・引渡しとなりましたが、ここでさらに問題が。

火災保険料約50万円と引越し代約20万円も計算に入れていませんでした。

これも払わないわけにはいきませんので、クレジットカードのキャッシングで借りて払いました。

新居生活からしばらくして第2子が誕生。出産もろもろの費用がかかりましたが、これまたキャッシングでまかないました。(キャッシングの怖いところは一回借りると簡単に繰り返して借りてしまうことです。)
その後固定資産税や自動車税など臨時の支出がありました。

この方のローンの状況は以下のとおりです。

●住宅ローン2100万円金利1.5%(2年固定)
内ボーナス払い分1000万円。

月返済額約34000円(ボーナス月は+19万円)

●自動車ローン250万円金利3%
内ボーナス払い分100万円。

月返済額約27000円(ボーナス月は+10万円)


●クレジット・キャッシング200万円 金利6%

月返済額(リボ)5万円。

合計しても月の返済額は約11万円。

□月の給料手取りが約20万円。ボーナス時が約50万円。年間手取りが約340万円。

月20万円の手取りで11万円が返済ですから9万円で生活しなければなりません。まず無理です。

ボーナス分から生活費にあてなくてはなりません。
そのボーナス時でも手取り50万円に対して返済は29万円。残り31万円です。

このボーナス分についてもその後の家電の故障による買い替えなどで生活費にあてるのは難しくなりました。

それでもなんとかやりくりしていましたが、この不況のあおりでボーナスの7割カットとなりました。

手取り50万円が15万円に。

ボーナス返済が29万円ですから15万円では無理です。

さらに銀行から、2年の固定金利が終わって金利が2.5%になると通知が来ました。月の返済額が5000円UP、ボーナス時は約3万円UPです。

完全に手詰まりになりました。

給料のいいところに転職するといってもそううまい話にはなりません。

奥さんが働きに出るといってもまだ子どもは3歳と1歳。
保育園に空きがあるかわかりませんし、保育料で奥さんの給料が無くなってしまうかもしれません。

2年前の安易な行動が一家をマイホーム破綻の危機に追いやりました。

くれぐれもこのようなことが無い様に。

(これは実際の相談事例をわかりやすく数字や状況を整理しています。)