10年ほど前のことです。

市民センター主催で『医療保険について』の講座があり、スーツ姿で参加してきました。

宣伝にならないようにでしょうが、当事の市民センター主催の講座は当日にならないと講師が誰かわからないんです。

行ってみたら生命保険会社が出資している財団法人生命保険文化センターの30代くらいの方でした。

最初、公正中立を強調して、保険でまかなうという選択もあるし、貯蓄でまかなうという選択もあるので、保険に入りなさいという話をするわけではないと言っていたのに、最終的には私には『みなさん医療保険にはいっておきましょう』と聞こえました。

驚いたことにある保険会社名をそのまま記された資料を出してきていました。

特定の会社の商品をPRしていいのか?

という突っ込みを思いながら聞けば、いわゆる無選択型の医療保険の説明(病気もちでも入れる保険)をしたかったためで、現在それがあるのはそこしかないので名前を出したらしいんですが、やっぱり生命保険加入者を増やす目的ですね。これまで保険に入れなかった人も入れるんですってことをPRしてるんですから。

ほかの受講生から保険料の質問があり、それにも丁寧に答えていました。(それって勧誘じゃないの?)

それ以外の内容については、まあ、一般的な話でしたが保険のいいところばかり強調して、加入者が不利な点、知らないでいる重要事項についてはさっぱり説明してませんでした。こういう姿勢が生保不信を招いているのに。


最後に我慢できなくなって、ひとつ質問してあげました。

私『さっき保険料が○○円っていってましたけど、すると○年間で合計○○円払います。でも入院が1日○千円だから、○日以上入院しないと払った保険料の方が多くなりますよね。でも、1入院60日限度だから、○回入院しないとだめです。そんなこと普通ありえますか?』


講師『保険で元を取ろうという考え方がおかしいです。』


ここで私が驚いたのはほかの受講生の中で講師に賛同して
「そうよねー。」
といっている人が数名いたことです。おそらく生保レディが勉強のために参加していたのでしょう。


講師の言う保険で元をとろうというのがおかしいという話は死亡保険なら話はわかります。(もっとも私が設計すると死亡保険でも充分元がとれますが。)

一般的に死亡保険では元がとれるのは加入まもなく死んだ方だけで加入期間中に死ななければみんな掛捨てになる。ほとんどの人が元がとれない。

死亡保険は死ねばそれ以後は保険料を払わなくていいので、それでいいんです。

でも、医療保険は別です。
入院したとしても生きているわけですから、保険料は払い続けます。

ですから、例えば1日1万円給付で1年の保険料が10万円なら10年で100万円払うのは確定しています。入院しようがしまいが。生きていれば。

入院しない人は100万円払い損です。

払い損にならない人は通算で101日以上入院した人。

101日入院でやっと1万円だけ助かるのです。1ヶ月強の入院を3回する。そんな都合よい入院ができる方が何人いるのでしょうか?ぜひ統計を出して欲しいものです。
それでもたった1万円助かるだけですから。

例えば100人加入者がいれば100万円×100人で1億円の保険料があります。

仮に100人中1人入院しました。その人が10年間ずっと入院したとしても3650日(実際は入院限度日数がありますので無理ですが)ですから、受け取るのは3650万円です。残りの6350万円はどこにいくのか?

もちろん保険会社の儲けです。生命保険文化センターの活動資金にもあてられているでしょう。

もっともっと加入者にきちんと教えて欲しい、知ってもらいたいことが山ほどあるのですが、その点だけで発言は控えておきました。(控えてない??)