新日本製鉄在籍出向事件において、最高裁は、在籍出向があり得る旨が就業規則に定められており、同様の規定のほか出向中の処遇等について労働協約に定められていた事案について、労働者の個別的な同意がなくても在籍出向を命じることができるとしました。



 ただ、出向元との労働契約関係が消滅する転籍出向については、労働者の個別の同意が必要になると解されます。



 そして、(1)一部業務を他社に委託するとした経営判断が合理性を欠くものとはいえず、当該業務に従事していた従業員を出向させる必要があったこと、(2)出向対象者の人選基準に合理性があり、具体的な人選についても不当とはいえないこと、などから出向命令は権利の濫用とはいえないとしています。