人手不足の採用難で、判断ハードルが下がり気味・・・

~採用が厳しくとも、妥協不可の3点セットを忘れないようにしよう(2019.5月号)

平成の世が終焉を迎えた今、バブル景気で沸騰していた平成元年を上回る人手不足状態が続いています。2018年の年間での有効求人倍率は、バブル景気最高潮の平成2年を超えています(2019年2月現在1.63倍)。

また失業率も完全雇用に近い2%台という低水準で推移しています(2019.2月現在2.3%。3%未満は完全雇用状態とされている)。


特定の業界においては人材募集が極めて厳しい状況下にあり、求人を打っても応募すらないことも多いでしょう。

そういったこともあって、ややもすれば最近、採用のハードルが下がり気味になっているのが少々気がかりです。応募がなく、求人を急いでいる状況下では、焦りから、どうしても目が曇りがちになります。


いくら厳しいからといっても、最低、以下の3つの要素については、事前にきちんと確認しておくようにしましょう。いわば妥協不可の3点セットです。

1.健康状態
2.退職事由
3.出産・育児・介護・看護の有無

以下順に解説します。

1.健康状態

何よりも最優先で確認すべき事項です。労働契約の本旨は非常にシンプルで、

使用者の義務は賃金を支払うこと、
労働者の義務は労務を提供することです。


この等価関係で成り立つ契約です。そして使用者の義務である賃金の支払いは、遅らせたりカットしたりすることはできません。これは契約論以前に労働者を保護するためにある労基法弟24条違反になるからです。

一方、労働者から提供される労働力ですが、これも本来、不完全なものであってはいけません。まずは健康な状態で労務を提供する義務があります。これを規律する実定法は存在しませんが、契約の解釈上、または付随義務として当然の帰結といえます。


つまり労働力とは、能力や技術や知識や経験を期待する前に、完全な労働力を提供する必要があり、これはすなわち健康体で労働に従事する意を含みます。健康な状態で働くことは当たり前ですよね。


しかし、採用時において健康状態を労働者の方から、開示申告する義務まではありません。個人的には信義則上、労務に支障が出る状況があれば、事前に申告すべきとは思うのですが、申告しなかったからと言って、責めを負うものではないのです。この情報は、使用者の方から積極的に取りに行かないといけないのです。


例えば・・
・長時間同じ姿勢を繰り返す業務や重量物を扱う業務なら、腰痛は大丈夫か?
・自動車運転や、危険物を扱う業務では、パニックや意識障害を起こすような持病はないか?
・業務遂行に支障が出る薬物投与は受けていないか?


特に最近では精神疾患で困惑することが多発しており、健康診断結果のみでは分からないことが多くなっているのです(先の例もそうです)。

但し健康情報は非常にセンシティブな情報であり、無原則に行えるものではなく、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針」(厚生労働省 30.9.7公示第1号)において、取得や管理に関するガイドラインが示されています。

この解説はさておき、ここで私が申し上げたいのは、民間企業においては採用活動の自由が保障されており、そのための合理的な範囲内での情報収集は認められており、不完全な労働をあえて受領しなければならない義務まではない、ということなのです(但し障がい者は傷病者と違い、一定規模の企業には法定雇用率が定められている)。


まずは健康な状態で労働が提供できるのかどうかを確認しましょう。


2.退職事由


実際に私のクライアントであった事例をご紹介します。

労働者 甲野太良(仮称)。ある業界で転職を繰り返しており、職務経歴書からは相当の技術が想像される方がでした。場合によっては即、責任者を任せられるような経歴です。即戦力が欲しいA社としては、期待をこめて採用しました。ところがこの人物、採用してみると極めて素行が不良で、問題発言や行動を繰り返す始末。たまりかねて解雇を告げると、待ってました、とばかりに労基署やあっせん機関への申し立て、訴訟と手際よくA社を攻撃してきました。後で分かったことですが、この人物、今までから行政機関の窓口でも度が過ぎた申告を繰り返す人物として有名な、いわば常習者だったのです。


もし、甲野太郎の退職事由が分かっていれば、果たして採用していたでしょうか?


他にもクライアントさんから、「彼(彼女)は前の会社でも、同じことをやってきてたようだ」とのお話を伺うことがよくあります。
 
先述の通り、企業には営業活動の自由があり、採用の自由もその中に含まれます。同様の行為を繰り返す蓋然性が高いと判断したならば、それを採用しない自由もあるのです。

一応申しておきますが、過去に問題行動があったとしてもそれはあくまでも過去の事案であり、今後将来に向かって真面目に"更正?"してくれる可能性もあり、一概に排除することに異論がある方もおられるかもしれません。しかし、採用後に課せられる使用者の労働法上の様々な義務の重さや経営環境の厳しさを比較考量するとき、そういった方を積極的に採用しなければならない理由はないはずです。

やはり退職事由も重大な関心をもって面接時に確認すべき事項と考えています。

3.出産・育児・介護・看護の有無


これは採用後、すぐに長期間にわたって職場を離脱する可能性があるかを探るものです。出産・育児・介護・看護に関しては、育児介護休業法ほか関連法により、労働者の権利として認められ、保護されているものであり、世の中の流れもこういったことに対して寛容に受容していかなければならないことは理解できます。

しかしここで私が想定しているのは、日本の大部分を占める中小企業、とりわけ小規模企業です。中小企業庁が発表している中小企業白書2017年版によると、企業規模と従業員数の関係は以下の通りとなっています。


大企業の労働者    0.3%
中規模企業の労働者  14.6%
小規模事業者     85.1% ※小規模事業者とは、製造業で20人以下、卸小売・サービス業で5人以下の規模を言う。

つまり世の中の99%以上が中小企業であり、20人以下で経営する事業所が85%もあるのです。


出産・育児・介護・看護に優しい社会の理念は充分に理解できますが、実際問題として小規模企業において長期離脱者が出ると、かえって周りの労働者の負担が増大し、業務に著しい支障が出かねない現実を無視できないのです。長年企業に貢献している社員なら何とか継続してもらえるような工夫を施す余地はありますが、入社して直ぐに離脱するなら、他の人を優先的に採用する選択肢があったはずです。

ここまで申し上げたことに関し、いちいち面接時に口頭にてお聞きするのはし難い事柄ですし、聞き漏れも生じやすいことから、私共ではシートを使って自己申告してもらう方式をご提案しています。面接時に応募者本人にアンケートのような形式で記入してもらうものですが、強制にならないように留意して説明します。

例えば、

「私共では面接にお越しいただいた方全員に、この申告書にご記入いただくようお願いいたしております。これは採用後に何らかの配慮事項があるのかを事前に確認するもので、あなたの健康状態や退職事由などを尋ねているものです。内容にセンシティブな事項も含まれていることから、ご記入は任意にお任せしております。もし何らかの事情でお書きいただき難いようでしたら、空欄でも結構です。宜しければご協力ください」

このようにご説明すると、ほとんどの方は記入してくれます。記載内容を採否の判定にどう活かすかは企業の判断です。また万が一書いてくれなかった方をどう判断するかも企業の自由です(私共ではこのシートもご提供しています)。


求人情勢が厳しいと、どうしてもハードルを下げざるを得ません。しかしこの3点セットの確認は必ず行っておくことが、その後のリスクやトラブルを回避する最低限の予防策だと考えています。またリスク回避のための採用判定方法はは他にもありますが、ここでは最低限のことを記しており、かつリスク回避が目的であり、有能人材の判定は考慮から除外していることを念のため、付言しておきます。

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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19年05月08日 | Category: General
Posted by: nishimura
●働き方改革のウラにある真の目的を甘く見ると大変なことになるかも?
~これは労務問題ではなく、生き残りをかけた経営問題として認識しよう(2019.4月号)~


2019年は「働き方改革元年」となる年です。本年4月を皮切りに、毎年のように人事労務の分野で大きな法律改正が控えています。


2019.4月  有給休暇5日付与義務
2020.4月  時間外労働の罰則つき、上限規制
2021.4月  同一労働同一賃金の本格的開始
2023.4月  月60時間超の残業の割増賃金50%に引上げ

※施行年月はいずれも中小企業のものです。


これらを単に、労務問題と捉えては、先行きを見誤ることになると考えています。これらに対応できるかどうかで生き残る企業とこぼれて行く企業が明確になるため、生き残りをかけた振るい分けが始まったと認識すべきなのです。


ご存知のように日本の労働人口は急速に減り始めています。2008年に総人口1億2,808万人を記録したのをピークに、総労働人口はどんどん減り続けているのです。
15歳から64歳までの生産年齢人口も2015年には7,728万人(総人口の60.8%)だったものが、2065年には4,529万人(51.4%)まで減ることが予想されており、働き手は総人口の約半分にまで下がるのです。これは中位推計の数字であり、もし政策が失敗した最悪の低位推計ではもっと悲惨な結果となってしまいます。


そうすると今の豊かさを維持して行くことは到底困難となり、貧しい国ニッポンとなってしまいかねません。そこで必要なのが、この働き方改革であり、この真の意味は、労働生産性を上げることなのです。


労働生産性とは・・・・

労働生産性=アウトプット(付加価値額)÷労働投入量(労働人数、または総労働時間)

(日本はOECD加盟国36か国のなかでも、20位と低調であり、先進国の中では最下位である)


要するにいかに少ない投入量で、付加価値を得るかが問われることとなります。


つまり簡単に言うと、人口が減ってい行く日本が豊かさを維持するためには、一人あたり、または1時間あたりの粗利を上げること。これが今、至上命題として求められているのです。

そのように考えると、有給休暇を強制付与するとか、残業規制が厳しくなるとか、それ自体は枝葉末節な話です。こういったいわば経営者から見て厳しい規制は、これに順応することで、付加価値を落とさずに無限定な長時間体質から脱却し、生産効率をアップさせ、体質改善できた企業を残そうとしているのです。体質改善できた企業に生き残ってもらい、雇用を吸収させたいのです。
これについていけない企業は、そう遠くない将来、この世の中から退場を迫られることになりかねません。


有給休暇を付与すれば、稼働日数が減りますよね。残業規制が厳しくなれば、労働時間は短くなります。しかし、しかしです。だからと言って、多くの経営者は、企業規模や利益を小さくして良いとは考えないでしょう。少なくなった時間の範囲で、何とか凌ぐ方策を考えるはずです。そこで知恵を絞り、イノベーションが生まれ、結果として労働生産性がアップして、強い体質に生まれ変わる。そういった変化を促されているのです。


24時間戦えますか?の昭和的働き方は次代には通用しません。行政機関はもとより、求職者、在籍社員、取引業者から三下り半を突き付けられないように、働き方改革は労働問題ではなく、生き残りをかけた経営問題と認識して真剣に取り組む必要がありそうです。

少なくとも西村事務所ではこの問題に真剣に取り組む企業を応援し続けます。

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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19年05月08日 | Category: General
Posted by: nishimura
外国人雇用の基礎知識(2019.3月号)


本年4月より、入国管理法が改正され、高度専門職以外の現場に、外国人労働者が入って来ます。政府は移民政策とは異なるとの説明をしていますが、実質的に単純労働の受け入れを開放し、家族帯同で永住への道を開くということは、日本という国のかたちを変容させる、大転換点になるかもしれません。この紙面ではこの是非に触れるのではなく、現実的に身近になった外国人雇用についてのルールを整理して、ご紹介したいと思います。

1.日本で働くことのできる外国人

(1)特定された業務範囲内で就労が認められる主な在留資格

「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「技能実習」など24種類。中小企業の現場で多いのは、「技術・人文知識・国際業務」と「技能実習」です。

(2)就労制限のない在留資格

「特定活動」という資格のうち、いわゆるワーキングホリデーで入国した外国人は、原則1年間の間、自由に就労することが可能です。

(3)活動制限がない在留資格

「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」

この4つの資格は、日本人と同じように働いてもらうことができます。

2.働くことのできない外国人

「文化活動」、「短期滞在」、「研修」、「家族滞在」、「留学」

但しこれらの資格でも資格外活動許可を受けていれば、単純労働への就労も可能です。その場合でも、1週28時間以内(留学生の教育機関の長期休業期間にあっては1日8時間以内)以内が限度となります。
飲食などサービス業では、留学生は非常に貴重な戦力になっています。

留学生に関しては、「大阪外国人雇用サービスセンター」において、相談業務を行っています。

3.採用する前に確認すること

必ず「残留カード」原本を見せてもらい、その中で本人であるかどうかはもとより、

(1)在留資格(前記1にある、働くことのできる資格であるか)の確認
(2)在留期間(日本に滞在可能な期間かどうか)の確認

が最低限必要です。
さらに「留学」、「文化活動」、「短期滞在」、「研修」、「家族滞在」の場合は、裏面の「資格外活動許可欄」に許可を得ているか、または「就労資格証明書」の交付を受けているかを確認する必要があります。


4.不法就労と、罰則

不法就労とは

① パスポートなどを持たずに不法に入国して就労している場合
② 就労を認められない在留資格の外国人が就労した場合
③ 自分の所持している資格では就労を認められない職業についた場合
④ 定められた在留期間を超えて在留し就労している場合
⑤ 留学生などが資格外活動の許可を受けずに就労している場合

というパターンに分けられます。

不法就労外国人を雇用した場合、雇用主に対して「不法就労助長罪」が定められており、これは外国人に不法就労をさせたり、不法就労の斡旋などを行った場合には、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」という大変規模しいものです。また就労した外国人は強制退去となります。

しかし「不法就労助長罪」は、その外国人が働くと「不法就労になると知りながら」上記の行為をした場合を処罰の対象としていますので、不法就労外国人であることを知らないで雇用した場合には、処罰の対象とはなりません。ただし、不法就労であるとはっきり認識していなくても、状況からみてその可能性があるにもかかわらず、確認をせずにあえて雇用するような場合には処罰されることになります。「知らなかった」では通りません。

ですから前記3の採用前の確認が非常に重要です。


5.外国人と社会保険その他労働関係法令との関係

日本国内で就労する労働者は、国籍を問わず原則として日本人と同じように労働関係法令が適用されます。具体的には、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法など、外国人についても日本人と同様に適用されます。労働基準法では、労働条件面で国籍による差別を禁止しており、外国人であることを理由に低賃金にする等の差別は許されません。

また、労災、雇用保険、健康保険、厚生年金といった社会保険も、日本人と同様に適用されます。外国人の中には、保険料の自己負担分を嫌って加入をしたがらないというケースもありますが、適用対象となる雇用の場合には本人の意思に関わらず加入しなければなりません。

なお、社会保障協定の発効されている国(韓国、アメリカ、フィリピンなど)の外国人は、保険料の二重負担を防止するために加入すべき制度を2国間で調整しているため、5年を超えない見込みで就労する場合には、引き続き相手国の社会保障制度のみに加入し、日本の社会保障制度への加入が免除される等といった制度があります。

また、社会保障協定の発効されていない国の外国人の場合、年金を全く受けずに本国に帰ることになる場合には、保険料の掛け捨てを防止するため「脱退一時金」制度があります。帰国後に、支払った厚生年金保険料の一部を請求することができます。

6.技能実習制度とは

技能実習制度は、日本で培われた技能、技術又は知識について、開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。一定の指定業種の範囲内で、単純労働への受け入れが可能です。日本での受け入れ可能期間は原則3年(最長5年間)で、技能実習生は入国直後2か月間の講習期間以外は、雇用関係の下、日本人と同じ労働関係法令が適用されます。
通常は、協同組合など監理団体を通じて受け入れることになり、最近ではベトナム人の受け入れが非常に多くなっています。

技能実習に関しては、公益社団法人 国際研修協力機構(JITCO)が相談に応じています。


7.改正入国管理法とは(2019年4月)


平成31年4月より新たな在留資格「特定技能」を2段階で設けるというもので、「特定技能1号」は、「特定の分野で相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に与えられるというもので、最長5年間の技能実習を修了するか、技能と日本語能力試験に合格することとされています。
在留期間は最長で通算5年間、家族の帯同は認められません。受け入れは、人手不足が深刻化している14業種(建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気機器関連産業)での単純労働を含めた就労を認めるものです。

「特定技能2号」は、1号を上回る熟練した技能を持つと認められた外国人に与えられ、在留期間に上限がなく、家族の帯同も認められるというものです。

治安に対する不安、生活習慣や考え方・文化や宗教の違いにより、要らぬ紛争や軋轢が心配されています。外国人が日本人の雇用を奪うという指摘もあります。日本人の待遇が下方向へ誘導されかねないとの懸念も出ています。

移民政策を受け入れてきた欧米諸外国では、移民問題が国を二分するような大論争テーマとなり、海外には移民を排斥する政治が受ける素地があります。


いずれにしても、今までの国のかたちが大きく変わるターニングポイントとなるかもしれません。外国人にも日本の風習や文化に柔軟に対応してもらうと共に、我々も彼らと共生することが欠かせないでしょう。これからの労務管理は、ますます複雑になって行くのは確実のようです。

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19年05月08日 | Category: General
Posted by: nishimura
外国人と共生する社会が到来か?平成終焉の先にある国のかたち、覚悟を求められる日本人(2018.12月号)



さて、この特別国会で、専門職種以外での外国人労働者の受け入れを解禁する、改正出入国管理法が大きな争点となっていますが、与党の力業により成立する見込みであり(11月29日現在)、2019年4月より施行される予定です。いままで技能実習や留学生という在留資格で、一部の単純労働系の職種に外国人を受け入れてきましたが、これを大規模に拡充しようとするものです。
一定の制約があることから政府はこれを移民政策ではないといっていますが、特定技能2号は実質的には家族を帯同して永住権も認められる方向であり、最初は少数でも、蟻の一穴となってどんどん増えて行く可能性が高いでしょう。


先の通常国会では、経済界が望んだ裁量労働制の拡充が、厚労省のデータ不備により廃案に追い込まれました。残業規制や有給付与義務、同一労働同一賃金など、労働側の望む法案が多く通り、経済界は実入り?が少なったことから、その穴埋めと言わんばかりの拙速さで、来年4月のスタートを目指しているようにも見えます。
確かに現在は、空前の人手不足。高齢者や女性の社会参加、労働生産性の向上、AIの台頭でいずれは収束されるであろう人手不足も、今は背に腹を替えられないといったところでしょうか。


ただ現在でも120万人を超える外国人が日本で働いており、例えばミナミの繁華街で飲食店に入ると、身近にそれらしい方々に出会う機会が多くなっているはずです。私共の社労士事務所において事務代行を受託させて頂いているクライアント先の賃金台帳を拝見すると、ここ数年で確実に「カタカナの名前」の従業員が激増していることを実感します。


こういった中で、日本の公的医療保険制度は、基本的に外国人を排除していません。彼らによって日本の健康保険制度が食い物にされているとの指摘があります、それもあってか、本年10月から、協会けんぽの扶養認定において、続柄や生計維持関係のチェックが厳しく行われるようになっています。
そのような指摘がある一方、世代間の仕送りシステムとなっている現行の年金制度を支えるためには、保険料を支払う現役世代を増やさなければ制度が持たず、彼ら外国人に年金制度を支える担い手になってもらわなければならないとの観測もあります。


治安に不安を覚える国民も多いことでしょう。生活習慣や考え方、文化や宗教の違いにより、要らぬ紛争や軋轢が心配されています。外国人が日本人の雇用を奪うという指摘もあります。日本人の待遇が下方向へ誘導されかねないとの懸念も出ています。

移民政策を受け入れてきた欧米諸外国では、移民問題が国を二分するような大論争テーマとなり、海外にはトランプ大統領に代表されるような移民を排斥する政治が受ける素地があります。

有史以来2千年にわたり、ほぼ純血主義で国を運営してきた島国、日本。どんどん血が混ざり合ってゆき、日本人のDNAが変質して行くのでしょか?

いずれにしても、今までの国のかたちが大きく変わるターニングポイントとなるかもしれません。外国人にも日本の風習や文化に柔軟に対応してもらうと共に、我々も彼らと共生することが欠かせないでしょう。これからの労務管理は、ますます複雑になって行くのは確実のようです。
平成の先にはどのような景色が待っているのでしょうか?

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19年05月08日 | Category: General
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~2018.4月から 有給休暇の5日、強制付与迫る!!~
●企業は、如何に対策するべきか 多くの企業が本年12月までに検討する必要が  (2018.11月号)



先の国会で成立した「働き方改革関連法」により、2019年4月1日以降、有給休暇を5日は必ず付与しなければならなくなりました。厳密には以下の方が対象となります。

◎4月1日以降に、年10日以上の有給休暇が発生している(週30時間以上で、6か月以上の継続勤務がある)
◎4月1日以降に、有給休暇の基準日※を迎えている

※基準日:今回の改正でこの基準日の考え方が非常に複雑になりましたが、おおよそ次の通りとなります。
◎入社日ごとにバラバラに有休を付与する原則的なカウントの会社の場合 →各自の入社後6か月経過した日(4月1日入社なら10月1日)
◎ある日をもって統一的に付与してしている場合 →当該統一的に付与することとした日(前倒しで10日与える場合はその日、最初は6か月経過後に与え2回目に統一する場合は2回目の日)


これらは罰則付きの法律であり、従業員から請求がなくとも、会社から有休休暇を取らさなければならない義務となるのです。個別に日を指定して、5日取得させることもできますが、一定規模以上の会社であれば、計画的付与にせざるを得ないでしょう。計画的付与とは、簡単に言えば年間休日計カレンダーの中に、部署別、班別などで分けたグループごとに、あらかじめ有給休暇を盛り込むやり方です。

一番真っ当な与え方は、現在の年間休日+5日の有給休暇とすることですが、昨今の人手不足の折、ただでさえカツカツの人員でこなしているといった場合、稼働日数が減ると経営上大きな負の影響が出る、という企業はどのようにしたら良いのでしょうか?

いくつかの対策を考えたいと思います。

1.休日増加コース(王道コース)


まずは、王道コースを検討すべきでしょう。先述の通り、現在の年間休日+5日の有給休暇ということで、一番オーソドックスなやり方であり、従業員の納得も得やすいでしょう。

2.休日減少コース(有給5日増との差し引き折半コース)

現行の年間休日を5日減らし、その代わり有給休暇を5日多めに付与するやり方です。


週40時間を達成するために必要な最低休日数を、5日以上、上回る休日を確保できている企業はこの対策が取れます。例えば1日8時間の会社は105日以上の休日が必要ですが、110日以上あるような場合です。


1の王道コースのように、稼働日数が5日減ると、直ちに業務に支障が出る場合は、この方法を検討することになります。この支障は会社からの事情だけでなく、従業員側にも当てはまることがあります。つまり、ぎりぎりの人数でやっとこさ、日々の業務を何とか回している従業員からすると、5日も休むと仕事が滞り却って迷惑!!、という場合です。


こういったケースでは、「余分に」付与している休日を労働日とし、そこに有給休暇を充てます。

例えば通常の企業は、お盆や年末年始において、カレンダー上は平日である日を休日としていますが、これらの日を労働日とし、計画的付与による有給休暇で代用させます。
仮に2018年のカレンダーによると、1月2,3,4日、12月31日は平日ですが、通常は休日にしているはずです。ここに有給休暇を充てれば4日は確保できることになり、あと1日はお盆へ回すというような感じです。

そしてこの本来休日である日を有給休暇に振り替える5日分を、従来の有給日数にプラスして有給休暇として与えます。例えば10日持っている人なら、15日とし、そのうち5日を年末年始とか、お盆に割り当てるものです。
こうすることで、年間の稼働日は今まで通り確保でき、しかも従業員に不利益を与えることはありません。


3.休日減少コース(仕方なしコーズ)


考え方は上記2とほとんど同じで、従来休日にしていた日に5日の有給休暇を割り当てるものなのですが、違うところは、有給日数を5日増としないことです。

年間稼働日数は確保できるのですが、従業員から見ると年間休日数が減少するという不利益変更にあたり、合意を得るか、すくなくとも納得してもらう必要があります。


4.トリッキーコース


週40時間を達成するために必要な最低休日数がギリギリの場合で、稼働日数が減ると業務が回らない場合にこの対策を考えます。


結論から言いますと、1日の所定労働時間を少し減らします。それにより法的に最低必要な年間休日数も減ることとなり、その減った休日分を有給休暇で代用します。
具体的には以下の通りです。


【現在】                   【変更後】
1日の時間    必要年間休日         1日の時間(数分減)    必要年間休日(5日減)
 
8時間      105日    →      7時間51分        100日  +  5日年休=合計105日
7時間45分    96日    →      7時間36分         91日  +  5日年休=合計96日
7時間30分    87日    →      7時間21分         82日  +  5日年休=合計87日


よく見て頂いてお分かりのように、年間で社員が強制的に休む日数は、変更前と変更後で変わりません。週40時間制もクリアしています。そして給与ですが、今まで通り出します。理屈的には8時間の会社の場合、7時間51分になるが、給与は9分減らすことなく、元の8時間分として維持する、ということです。


実質的な不利益なほとんどないため、受け入れられやすいのではないかと考えています。

5.半日有給活用コース(少し無茶?コース)


これは稼働日数を減らすことはもとより、現状の勤務シフトをほとんど変更するのは不可能であるという極めて厳しい状況の場合に検討します。、

今回の5日強制付与につき、労働局から9月7日に行政通達が出ていますが、この5日という考え方に半日有給を組み込んでも構わないとの解釈が出ました。つまり極論すると、0.5日を10日消化させることも可能ということです。そうすると、半日はどうしても休みになりますが、1日穴が開くという事態は回避できます。

さらにその日に、4時間残業してもらえば、実質8時間労働が確保されることとなります。4時間分の追加支給は必要となりますが、25%の割り増しは必要ありません。
休暇を取るという、本来の趣旨を没却することになるため、なるべく最終手段とするべきですが・・・

6.蛇足(念のためコース)

上記いずれかの対策により、5日強制付与の義務を果たしてゆくこととなりますが、万が一、何らかの事情でその義務が当該年度において果たせなかったときの為に、年の為、以下のような規定を就業規則に盛り込んで置くことをお勧めします。

(特別休日の年強制付与年休への振り替え)
第00条  従業員は基準日から1年以内に5日以上の年次有給休暇を取得するものとする。但し当該基準年度において取得日数が不足している場合は、お盆、または年末年始の特別休日を強制付与年次有給休暇に振り替えて付与したものとみなす。

(特別休暇の取得順序)
第00条  慶弔休暇など法定の有給休暇に該当しない有給による特別休暇がある場合で、年5日の強制付与年次有給休暇の取得が未達である場合は、まず有給休暇を先に取得してからでないと、特別休暇を取得することはできない。

現在出ている情報の下で、考えられる対策は以上ですが、まだ、何か方法があるかもしれません。それが見つかれば、逐次、お伝えしてゆきたいと思います。


いずれにしても施行は2018年の4月からですが、実務上、1月起算で年間休日カレンダーを組む企業が多いため、本年12月までには道筋を検討しておく必要があり、あまり時間がないのです。

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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19年05月08日 | Category: General
Posted by: nishimura
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採用が厳しくとも、妥協不可の3点セットを忘れないようにしよう働き方改革のウラにある真の目的を甘く見ると大変なことになるかも外国人雇用の基礎知識外国人と共生する社会が到来か?平成終焉の先にある国のかたち有給休暇の5日、強制付与対策求人広告の出し方をもっと研究しよう 社会保険労務士 資格者募集中同一労働、同一賃金 判決下る 有期雇用契約者への雇用管理・賃金対策を行う必要が遂に成立、働き方改革関連法!中小企業にも大きな影響が年次有給休暇について その2
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