従業員の能力(レベル)アップの方法を考える  その2

1.能力基準でなく、仕事基準で考える(キャリアアップシートの活用)
2.対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)
3.自分で対策を考えさせる
4.グラフを使って見える化する
5.毎月チェックする
6.いい行動は強化する
7.インセンティブを与える
8.指導担当責任者を決める

 前回は上記のうち、1の「能力基準でなく、仕事基準で考える(キャリアアップシートの活用)」について申し上げました。今回はその第2弾、「対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)」について、考えたいと思います。



 一般的に損益分岐点(利益=経費となる売上額のこと。これを超えると利益が残るもの。)は以下の公式で求めることとなっています。

(損益分岐点)=固定費/(1-変動費/売上高)

 つまりこういうことです。月間売上高が1,000万円、月間固定費が300万円、月間変動費が600万円の場合
(損益分岐点)=3,000,000÷(1-6,000,000÷10,000,000)=3,000,000÷0.4=7,500,000となり、750万円以上売り上げれば利益がでることになります。

 これを給料に置き換えると、どうなるでしょうか?例えば1名あたり売上高400万円、A君の給料が30万円、仕入れが280万円とすると、
30万円/(1-280万円/400万円)=100万円   
 つまりこのA君の場合、給料分の稼ぎは100万円となり、売上400万なら会社に充分な貢献をしてくれていることになります。この会社の場合、3倍ちょっと、稼いでくれて給料が払えることになるのです。


 これは非常に雑な指標かもしれませんが、ここで申し上げたいのは専門的な経営分析をしたいのではなく、給料分の稼ぎとはいくらか?ということなのです。それを認識してもらいたいのです。「30万円もらっているから30万稼げばいいや」、ではないのです。ただそれを体感的に分かってもらいたいのです。


 直接的に能力アップに資する対策ではないかもしれませんが、意識の改革がなければ、努力や行動に結びつきません。その意識改革の一助に数字を意識するということを入れたいのです。給料の3倍頑張らないといけないと自分に言い聞かせて欲しい。そう思います。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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