褒めるのがヘタな経営者の方へ〜メッセージカードを活用しよう〜
 誰でも効果的なマネジメントとして、人を褒めることの効用はどこかで聞いて知っています。特に最近の傾向として、厳しく接して伸びる人は少なく、褒めて伸ばさなければならないことも分かっているつもりです。だが実際問題として、これが案外難しい。褒めると、何か歯の浮いた、心地良くない気持ちを覚えることは多くないでしょうか。褒めると負けだと錯覚していることはないでしょうか。
 その原因は経営者と従業員の間の埋めがたい溝(ギャップ)からきているように思います。つまり、経営者にとっての会社とは人生そのものであり、リスクを負ってやっている自負があり、通常、一般の方よりは高い倫理観で行なわれています。それに対して従業員の会社に対する感覚はそれほどではなく、家庭や趣味やその他のものとかなり並立関係にあります。従って元から会社に対する意識にかなりのズレがあるのです。
 そのため、経営者から見ると、従業員の会社に対する仕事ぶりはどこかいつも物足りなく映ります。潜在的に「もっとできるはずだ」、「もっとやってくれ」と思っている節があります。ところが従業員の立場から見ると、「自分はそこそこやっている」、「評価さていない」と思っていることが多いのです。これが大きなギャップなのです。でも、このギャップは許容しなけばなりません。こちらの期待に対して60%ならよし、ぐらいの感覚でいないとギャップに苦しむだけです。
 ただ、もし褒める必要があるとは感じながらも、なかなか言葉に上手く出して褒められない経営者の方に、メッセージカードを活用することをお勧めします。これは例えば次のように使用します。

ケース1 機転の利いたうまい電話応対をしてくれたが、それを傍らで聞いていただけで、何も褒められなかった・・・・・

 後日、給与袋に「○○の日の電話応対は素晴らしかった。助かりました。ありがとう。  社長」と書いたメッセージカードを同封しておく。

ケース2 重要な情報を報告してきたが、それに対して社長が対応しただけで、特に何も言わなかった・・・・

 その従業員の机の上に、「○○の一件は○○君の報告のおかげで事なきを得ました。大変評価しています。またこれからも情報があれば、言ってください。 社長」と書いた、メッセージカードを貼っておく。