●昨今の労務管理について思うこと(H29.5月号)

皆さまこんにちは、西村社会保険労務士事務所の坂口と申します。今後不定期ではありますが寄稿させて頂ければと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
私が入社しまして10年が経過しました。月日の経過の早さを感じるのと同時に、10年前と今現在の労務上の問題やご相談も随分と変わってきたと感じます。例えば総合労働相談窓口においても以前は解雇、労働条件の引き下げなどの相談件数が多かったのがここ数年はいじめ、嫌がらせが1番多いようです。
またパワハラ問題においても私が入社した当時はセクハラはまだしもパワハラといった言葉自体があまり認識されてなかったように感じます。最近は様々なハラスメント問題が取り上げられており企業も対応が必要になっております。傷病手当金の申請内容も以前は新生物、循環器系が一番多かったのが今やメンタル関係が一番多いようです。
特に最近問題になっているSNS問題についてもSNSの急激な普及もありますが、10年前にはございませんでした。
長時間労働についても連日のように取り上げられ、また有給の義務化も現在審議中ではありますが、近いうちには義務化されるでしょう。

ハローワークの応募者についても以前と比べて変化が見られます。先日実際にハローワークで聞いた話しですが、社長が求人担当窓口に突然「求人の掲載内容について間違いないか」と聞いてこられたそうです。担当者が理由を聞くと職種が倉庫内作業で出していて以前は若い方の応募などほとんどなかったのが若い方の応募がすごく多かったとのことです。思うに人と接する職種を今の若い方は敬遠しがちなようです。たとえば営業職での求人は応募が少ないようですし、最近事務職にも男性の応募が増えていることが挙げられます。倉庫内作業での若い方の応募が多かったのもそういった理由が挙げられると思います。
また休憩時間などにおいても周りと談笑するといったことがあまりなく、携帯電話を片手に1人で休憩している方が多いと最近お客様からもよく聞きます。
求人票の記載内容について重要視する箇所も年々変わってきています。以前は応募が多くなるアピールの一つとして例えば残業をこれだけすれば、これぐらい稼げますといった記載内容でアピールしていたのが今は当社は完全週休二日、残業はございません、有給取得率も高いですといったアピールの感じでしょうか つまりは仕事の内容や賃金よりもどのように働くか、「働き方を最も重要視」するようになったのです。

先日監督署の行政指導にあった社長がこうおっしゃっていました。改善しないといけないことは改善していく。ただ労働者を守る法律があって経営者の受皿となる経営者基準局といったものはないのか、それでこそ平等な話し合いが出来るのでないかとおっしゃるのです。労働基準法はそもそも労働者を守る労働法の一つで、使用者、労働者が対等の立場であり、使用者労働者間の現実の力関係の不平等を解決することが大きな目的としてあります。
従業員の権利意識、情報収集力も高まりそこまで力関係に差があるのかと感じる場合も正直あります。ただ時代の流れと言えばそれまででしょうが、その流れに逆行してもあまり意味もありません。ブラック企業と呼ばれる会社もたくさんあります。しかし少なくとも私の顧問先においてはそのような企業はなくいかに業績を伸ばして会社を良くしていくかを考えられている顧問先ばかりだと感じます。

以前所長の西村に言われたことがあります。「結果責任は取ってくれ、ただ最終責任はいつも自分が取ると」。そう最終責任というのはいつも経営者なのです。
経営者は会社で愚痴の一つや弱音を中々言えません。今現在、これから先も人の存在は無くてはならないものです。少なくとも私共事務所が携わらせて頂いている人の部分については安心してご相談頂けるそのようにありたいと思います

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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