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問 中国人と国際結婚するのですが、彼女のビザの期限が過ぎてしまっています。こういう場合は、入管に行ったら即強制送還されてしまうのでしょうか?先日彼女と市役所に外国人登録に行ったのですが、たくさんの申請書類が必要なことを知りました。順番的にはどうすればいいのか教えてください。

答 せっかく結婚したい人に出会ったのに大変ですね。まず、基本的なことを説明しますのでよく理解してください。現在の彼女の状態は、入国管理法第24条の「期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留する者」になるので、退去強制事由に該当します。

ちなみに、この退去強制は行政処分なので、他に、入国管理法第70条では「3年以下の懲役若しくは禁固若しくは300万円以下の罰金に処し、または懲役若しくは禁固及び罰金を併科する。」となっています。

つまり、彼女はいつ誰(市役所職員も含めて)に通報されても、入国管理局の拘束を受け収容される可能性があるのです。このように、法律の適否は別にして、日本では「不法残留者」に対する行政処分や刑事罰はとても重いものであることをご理解ください。

ところで、彼女が入国管理局に出頭したらどうなるでしょう。少なくとも、直ちに「強制送還」ということはありません。最初に入国警備官による違反調査が行われ、その結果「違反を疑うに足る相当の理由」があるときは、更に、入国審査官による違反審査が行われます。その間、身柄を拘束され収容(最長60日)されることもありますし、一旦帰宅させ、在宅のまま入国管理局に何度も出頭して違反審査を受けることもあります。

それでは、彼女との婚姻を日中両国で有効に成立させて出頭したらどうなるのでしょう。よく「国際結婚したら強制送還にはならない。」と言う人がいますが、それほど簡単ではありません。

本題に入りますが、あなた達が取るべき選択肢は二つあります。

一つは、彼女は具体的に帰国予定日を決め航空チケットも手配してから入国管理局に出頭する方法です。そして、彼女が他の法令に違反していなければ、その場で収容されることもなく、出国命令制度の対象者として認定を受けてから帰国することができます。その後、あなたは彼女との国際結婚手続きを終え、更に、彼女の「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書の交付を受けてから、1年後、彼女は晴れて合法的に再入国することになります。

二つ目は、取りあえず彼女との国際結婚手続きを終え、二人で入国管理局に出頭する方法です。こうすると、収容のリスクがありますが、在宅で審査される可能性も高いのではないかと思います。この後、違反審査を終えてから、特別審理官による口頭審理があります。この特別審理官の判定に異議がなくても、3日以内に、在留特別許可を求めて法務大臣に異議を申し出ることができます。

また、彼女との国際結婚を成立させ、漫然と、入国管理局に「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書の交付申請しても、彼女が「不法残留者」である状態に変わりありませんので、まず、不法残留状態の解決を最優先課題にしてください。

また、彼女が収容された場合の「仮放免の申請」や「在留特別許可」に係わる手続きを考えると、専門家への依頼も検討してみたらいかがでしょうか。
09年04月27日 | Category: 国際結婚あれこれ
Posted by: asiannetwork
問 私は日本の大学を卒業して現在「国際業務・人文知識」の在留資格で会社勤務をしています。近々独立して会社を設立し、かねてからの希望どおり日本で事業展開をして行きたいのですが、日本で起業をする上で、在留資格を含めて、外国人として注意すべき点があればアドバイスして頂けませんか。

答 そうですね。最近は外国人の方で日本で起業して大成功を治める方が出てきましたね。但し、日本人も同じなのですが、大成功するケースは稀で、多くはコツコツ事業を継続しているのが実情なのではないでしょうか。また、一時の大成功もそれほど長くは続かないことが少なくないのも、ビジネスのもう一面の真実ですね。もちろん例外もありますが・・・。

ここでは、実情に即して具体的に起業する上での在留資格や起業後に注意すべき点をいくつか指摘しておこうと思います。在留資格の上では「国際業務・人文知識」から「投資・経営」への資格変更が必要になります。この「投資・経営」への資格変更の重要な基準は「事業所の確保」と「二人以上の常勤職員」が従事して営まれる規模以上の事業であることです。

「事業所の確保」がされていることを立証するために、事務所として使用する旨が記載された賃貸借契約書が必要になることがあります。単に住居として契約しただけでは、会社の本店としての登記をすることができても、「事業所の確保」とまでは言えません。(入管法第7条第1項第2項の基準を定める省令から)

また、あなたの場合は新規事業なのでしっかりした事業計画書を作成し、「二人以上の常勤職員」を雇用していることを、雇用保険に加入していることにより立証しなければなりません。但し、この「二人以上の常勤職員」の雇用については、入国管理局のガイドライン(平成17年)によると、仮に「二人以上の常勤職員」を雇用していなくても、新規事業に対し、500万円以上の事業投資が行われるのであれば、新規事業として認めるように規制が緩和されました。

ただ、この事業投資というのは、単に会社の資本金が500万円以上あればよいという意味ではありません。また、現金で500万円以上用意しなければならないという意味でもありません。新規事業への投資として、500万円以上の資金が現金をはじめ助成金や銀行融資でもいいので、すでに投資されているか、若しくは、調達できる見込みであることを立証しなければならないのです。

最後に、外国人で日本で起業する上で注意すべき点を少し触れておきます。私の個人的な体験ですが、外国人で日本に10年住んで来た方や時には20年住んで来た方でも、意外と日本の社会制度や法令に疎(うと)いことに驚かされることがあります。逆に、私たちが外国に10年、20年住んでいても同じことが言えるような気がします。

そこで、日本で起業するなら、ぜひ日本の社会制度や法令やビジネスに詳しいベテランの日本人(定年退職者でもOK)を相談相手に持つことをお勧めします。いくらあなたが有能な方でも、このような相談相手がいないと、順調に成功したように見えたとき、ひょっとしたら大きな落とし穴が待ち受けているかもしれません。

もっと詳しく説明したいのですが、少ないスペースの中での回答なので、要点のみ記しました。
09年04月25日 | Category: 在留資格あれこれ
Posted by: asiannetwork
問 私は中国の大学を卒業して、今年の4月から日本の大学の修士課程に在籍している留学生です。先月、いつも私のことを心配している両親を日本に招こう、と中国の日本総領事館に両親の短期滞在ビザの申請をしたのですが不許可でした。私にはなぜ不許可なのか分からず納得が行きません。こんなときは、どのようにしたらいいのでしょうか?

答 そうですね。実はあなたのような相談が意外と多いのです。例えば、中国の留学時代に世話になった同級生を日本に招待したけれどビザが下りなかった、という相談を受けたことがありました。日本総領事館は、不許可理由を開示していないので、あなたはなおさら納得が行かないのでしょうね。ただ、私もあなたのお問合せの内容だけでは不許可の理由は分かりません。そこで、今回はあくまでも申請の際注意して頂きたいことと、不許可の理由を推測してお答えすることにします。

まず、あなたの両親が査証申請書類を、日本総領事館の正式な認可を受けた申請代行機関に直接持参して提出したのか確かめてみてください。「直接提出したはずだ。」ではなく、「実際に申請人本人が持参したのかどうか。」です。

というのは、中国の申請代行機関の周辺には、査証ブローカーや翻訳ブローカーがたくさんいます。その中には、とても悪質なブローカーがいます。特に、申請人本人が持参しないで他人に提出を依頼した場合は、申請代行機関が受付けてくれないので、これらの悪質なブローカーの格好のターゲットになってしまうことがあります。

悪質なブローカーは書類を作成しないと手数料がもらえないし、翻訳ブローカーも翻訳しないと手数料がもらえません。
そこで、日本で作成された真正な書類が、このようなブローカーによって虚偽事実に改ざんされて、日本総領事館で不許可になるケースがあります。中には、申請代行機関の特定の個人(?)と通じているとしか思えないケースもあります。
ただ、中国の査証申請書類の作成代理人や作成代理機関の名誉のために断っておきますが、これらの人や機関の全てがこのようなことをしているとは思えません。

次に、提出した申請書類のことです。きちんと招へい理由を証明する書類になっていたでしょうか?特に、日本国内で準備する書類よりも中国国内で準備する書類に気をつけるべきです。旅券や戸口簿、親族関係の公証書等の住所等に齟齬(そご)はありませんでしたか?あなたはそれらを全部突き合わせてみましたか?
例えば、帰国予定日が旅券の有効期限内でしたか?あるいは、戸口簿の各欄は現状と一致していましたか?

また、身元保証人は適当な人でしたか?あなたは留学生で被扶養者なので身元保証人にはなれませんよ。身元保証人を同じ外国人の方に依頼した場合は、その外国人の在留期間が「1年」だったり、「日本人(永住者)の配偶者等」「定住者」の在留資格でも、その方が被扶養者だったりするとやはり身元保証人にはなれません。

さらに、気になることは、たぶん、あなたはまだ日本に入国してから1年未満なのではないでしょうか?もちろん、「招へい人は在留期間1年以上とする。」というような基準はありません。しかし、総領事館では招へい人が日本に入国してからの在留期間も考慮していると思われます。

ただ、あまり心配することはありません。一度ビザを拒否されても永久に拒否されるわけではありません。原則として、拒否後6ヶ月間は同じ目的でのビザの申請はできませんが、6ヶ月経ってから、もう一度申請してみればいかがでしょうか?

なお、日本の外務省で公表している査証(ビザ)の発給基準があるので、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、確認の意味で記載しておきます。

1.申請人が有効な旅券(パスポート)を所持しており、本国への帰国または在留国への再入国の権利・資格が確保されていること。
2.申請に係る提出書類(査証申請書類)が適正なものであること。
3.申請人の本邦において行おうとする活動または申請人の身分若しくは地位及び在留期間が、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)に定める在留資格及び在留期間に適合すること。
4.申請人が入管法第5条第1項各号(上陸拒否事由)のいずれにも該当しないこと。
09年04月05日 | Category: 国際結婚あれこれ
Posted by: asiannetwork