~人任せで何となく募集していませんか~
●求人広告の出し方をもっと研究しよう (2018.10月号)



求人情勢が逼迫しています。有効求人倍率は1.63倍となり、バブル期を越え、1974年以来の高水準となりました(7月現在)。空前の売り手市場であり、人を採用することが極めて難しい状況となっています。

過去、このメルマガにおいて、求人の応募効果を高める対策を検討していますが、今回はそれに引き続き第4弾となります。ちなみに過去3回の切り口は以下の通りですので、よろしければご参考にしてください。

2018.3月号  当たり前の労務管理をきちんと応募者に伝えるよう
2018.4月号  多様な働き方ができる会社をアピールしよう
2018.5月号  グリコの“おまけ”で差を付けよう


求人広告は、絶対に広告業者またはハローワーク任せにしない、または自社の権限のない担当者任せにしないことです。人事責任者がしっかりと求人広告を組み立て、むしろ業者や職安に提案して行かなければなりません。

20年以上前ですが、実は私も求人広告業界におりました。以前の大手の広告プランナーは相対的に今よりレベルが高かったと思います。これは推測ですが、ここ20年間は買い手市場が続き、広告を出すとある程度反響がありました。また以前の紙媒体と違い、ネット広告では業者の方で応募効果がある程度把握できることから、広告内容を精緻に提案して微細な応募効果を工夫する能力が徐々に劣化していったように感じています。

それはさておき・・・・

今回の切り口は以下の通りです。

1.仕事内容をもっと工夫しよう
2.応募者がいだく不安を払拭しよう
3.少しだけ、厳しい現実も伝えよう
4.その他いろいろな仕掛けを考えてみよう


1.仕事内容をもっと工夫しよう

名のある企業でない限り、応募者は募集要項の中身が情報のすべてといっても過言ではありません。広告を出す方は記載されていない情報もバックグランドに持っていますが、それは自分だけのものです。

仕事委内容は、求人広告の中で応募者が、一番気にかけて見る項目ですが、ここが貧弱な広告が非常に多いのです。例えばこんな感じです。

(仕事内容)
ルート営業。誰にでもできる簡単な営業です。未経験可。


応募者から見れば、何のことかさっぱりわかりません。せめてこのような項目を、目一杯記載したいものです。

(1)どんな仕事なのか(営業、介護、ドライバー、工場内作業とひと言ですませることはダブー)
(2)どのようなキャリアアップができるのか
(3)どんなやりがい、どんな楽しみがあるのか、どんなときに嬉しいのか
(4)どんな人と働くのか、周りはどんな人か
(5)その仕事の社会的意義、目的


記載例(社労士事務所の場合)

■顧客担当営業(外勤業務)

・中小企業経営者への労務相談、助言、指導
・労務トラブル対応、行政機関(労基署、日本年金機構)の調査対応
・労働社会保険事務手続き書類の作成、提出代行(業務ソフトはセルズ「台帳」、「社労夢ハウス」を使用)
・給与計算、年末調整(給与奉行、法定調書奉行を使用)
・弊社オリジナル就業規則の作成、その他社内規程多数
・労務管理に資する書式の提案
・助成金申請(キャリアアップ、両立支援、トライアル、特開金など)
・その他雑務(掃除等)

※マイコモン、社労士情報サイト、労働基準広報、PSRネットワーク、CUBICを業務で使用できます。
※適性を見て、賃金コンサル伝授、セミナー講師も可。キャリアパスによりコンサルタントへ登用もあります。
※企業経営者が最も悩む人の問題を通じて、中小企業経営に貢献できる仕事です。先輩は皆素人からスタートして立派に成長しています。そんな先輩が親切に指導しますので、社労士の実務は未経験でも、心配要りません。責任を持って指導します。


2.応募者がいだく不安を払拭しよう

経験者を求める場合でも、未経験者を求める場合でも、その業界に抱く潜在的な不安要素があります。これをできるだけ払拭してあげなければいけません。

例えば、介護職やドライバーは慢性的に人手不足の仕事ですが、私のような業界の素人でも、一般的にはこんな不安が想像されます。

(介護の場合)
人手不足で忙しい、賃金が安い、生活設計が見通せない、身体的体力的負担、休みが取れない、人間関係、夜間業務への不安、利用者からのハラスメント、家族とのトラブル、勤務が不規則、時間が長い、福祉器具操作の不安・・・・・・ 

(ドライバーの場合)
長距離それとも近郊、歩合制それと固定制、事故損害時に弁償させられる、高速使えるのか、リフト運転もはあるのか、積み込み積み下ろしは誰が、車の安全装備は、長時間労働、休みが少ない、セールスもするの、社長が怖い・・・・・・


いかがでしょうか?
わが社の良いところだけにフォーカスするのではなく、自分の仕事や業界は何がネックになるのかを考えます。そうすると、上記のような項目がたくさん出てくるはずです。こういった不安要素を、できるだけ緩和する情報を提供して行くのです。


応募を決断する材料がない、不安が払拭されない応募者の背中を押してやる情報が必要です。本人だけなく、家族の理解も得られやすいはずです。


3.少しだけ、厳しい現実も伝えよう

広告となると、どうしても甘い情報を羅列しがちですが、少しだけ、厳しい現実にも言及しておくほうが、誠実な広告として映ります。


(記載例)

あなたはなぜ介護職に応募すると決めたのですか?他に仕事がなかったから? とりあえず収入確保のため? 単に資格があるから?
ただ何となく・・・・? 
このようなお考えの方は、残念ながらお断りしています。
私たちの仕事はお金儲けが目的ではありません。苦労もありますが、笑顔で、時には涙で感謝される!そんなやりがいを感じてほしいのです。我々はお年寄りとその家族に寄り添う福祉サービ業ですから、その気概だけはお持ちください。

4.その他いろいろな仕掛けを考えてみよう


そのほか、人を確保するためには、できることは何でもやりましょう。考えれば、知恵が出てきます。

(1)社内からの人材紹介制度、
(2)退職者リターン勤務制度、
(3)ROBINS労務監査の利用(第三者による新信憑性の高い労務診断評価)、
(4)自社HPに採用専用ページを設ける(できれば即応募できるように、応募入力フォーマットを付けるか、履歴書がダウンロードできるようにする)など。

特に自社HPは、自由度が高いため、有効なツールです。ハローワークや民間求人広告で記載しきれないことを、思いの丈記載できます。本当に採用に真剣なら、採用専用ページの設置は必須です。
HPでは、募集要項のみでなく、次のような工夫が考えられます。

①社長のブログ(最低月1回更新)
②起業のなりたち、企業理念、将来の夢
③先輩社員からのメッセージ(特に女性、できれば動画)
④質問受付コーナー
⑤職場、設備、行事、社員の画像
⑥ご家族へのメッセージ

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
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