新時代到来!!さあ、働き方改革元年です!!(2019.1月号)

皆様、あけましておめでとうございます。いよいよ2019年がスタートしました。特に今年は5月から新元号となり、時代の節目となる年です。

後世の日本人が平成を振り返ると、きっと暗い時代として記憶されることとなるのではないでしょうか?バブル景気の最高潮で始まった平成元年。しかしその2年後から崩壊現象が始まり、未曽有の金融危機、リストラが吹き荒れ、長い不況の時代を経験しました。経済指標では一時好況期もあったらしい?のですが、少なくとも関西圏で経済活動を行う我々にはその恩恵はほとんど実感のないものでした。

この間、日本の経済指標はみるみる低下し、中国の台頭も相まって、日本の国際的地位は相対的に下がりっぱなしでした。

平成5年年には非自民連立政権が誕生しましたが、1年と持たず、その後も連立を繰り返し、日本の政治は漂流を続けました。


災害が多かったものこの時代です。歴史上こんなに大きな地震が繰り返し起こった時代は珍しいでしょう。我々もLIVEで経験した平成7年の阪神淡路大震災、さらにそれを上回る平成23年の東日本大震災。ほかにも、熊本や大阪北部などでも大きな地震がありました。また記憶に新しい平成30年9月の台風21号は、関西にも甚大な被害をもたらしました。同年7月の西日本豪雨災害の記憶が冷めやらぬ間のことでした。まだその影響が方々で残っています。

昭和30年代から平成に入るまでの間、輝かしい歩みを続けてきた日本でしたが、平成に入るとその輝きを失い、漂流し続けた時代のように感じられます。

しかし、その平成も4月で終焉し、新しい時代がやって来ます。景気は気からとも言います。我々経営者が今までのどんよりした空気を吹き払い、次の新しい時代を先導して行かなければなりません。当面は東京オリンピック、大阪万博と大きな国家的目標もあり、また輝きを取り戻す舞台装置は整いつつあります。


私の専門分野である人事労務の分野におきましても、この2019年は時代の転換点となることが予想されます。4月より働き方改革関連法が順次スタートし、昭和的な働き方は許されない時代へ入ってゆきます。同じく4月からは外国人労働者が単純労働の現場に本格的に入ってきます。将来的に国のかたちを変えるターニングポイントとなるやもしれません。


ややもすれば中小企業は人事労務政策を経営課題として後回しにしてきた傾向があると考えています。経済資源が豊富でない中小企業においては、1に販売、2に資金繰り、3に節税対策といった具合で、どうしても人事労務は後塵を拝する傾向があったのです。
しかし新時代からは、経営課題のど真ん中で取り組んでゆく必要があります。そうしないと社員からも、求職者からも、行政からも三下り半を突きつけられる企業となり、退場を余儀なくされる可能性があるのです。


特に残業規制にみられるように、今までと同じ時間量で業績を上げることが出来なくなって行きます。経営者は稼働時間数が減ることで、売り上げダウンも止む無し!と考える人は少数派と考えられ、何としても業績を落とさずに経営を維持する方法を考えるようになるでしょう。これがとりもなおさず、今、国家目標ともなっている「労働生産性のアップ」に繋がることが期待されているのです。


2019年は働き方改革元年です。経営課題として逃げずに取り組んでゆきましょう。


2019年以降 人事労務関係で改正が予定されている主なものは以下の通りです。

1.有給休暇取得促進策(2019年4月施行 改正労働基準法)

有給休暇のうち、5日について毎年時季を指定して付与する義務が生じる。労働者が請求していなくとも、5日は取得させなければならない。


2.労働時間の状況を客観的に把握するよう、企業に義務づけ(2019年4月施行 改正労働安全衛生法)


今まで裁量労働制やみなし時間制の適用者、管理監督者は労働時間管理の枠外でしたが、こういった人たちも健康管理の観点から、適正な方法での労働時間管理の義務付け。


3.新たな外国人材受入れのための在留資格の創設(2019年4月施行 改正出入国管理法)

新たな在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設して、一定の産業分野において単純労働を受け入れ。


4.フレックスタイム制の拡充、及び勤務間インターバル制度の努力義務(2019年4月施行 改正労働基準法、及び労働時間等設定改善法)

労働時間の清算期間が1ヶ月以内から3か月以内に拡充、また勤務終了後から翌日の出社までに一定時間以上休息時間を確保する仕組みの努力義務。


5.時間外労働の上限規制の導入(2020年4月施行 改正労働基準法)

時間外労働の上限について、月45時間(年間360時間)となり、年6回までの特別条項をがある場合でも、単月100時間未満、複数月の平均は80時間かつ年間720間以内の限度を設定。運輸建設医療を除き、長時間労働が不可能となる。


6.同一労働同一賃金(2021年4月施行 改正パート労働法、労働契約法、労働者派遣法)

短時間労働者(パート)、有期雇用労働者、派遣労働者について、正規社員との不合理な格差を禁止するもの。賃金の支払い方や福利厚生において同等に処遇しなければならないケースも。すでに各待遇ごとの考え方を示したガイドラインが出ている。


7.割増賃金率のアップによる長時間労働抑制対策(2023年4月施行)

月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%に引き上げ。大企業では既に8年前から施行されており、中小企業の猶予措置が撤廃される。残業代の大幅アップ。

小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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