問 私は「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に滞在して来たのですが、「永住者の配偶者等」の在留資格も永住者と同じく在留期限がないものと勘違いして更新しないまま4ヵ月が過ぎてしまいました。今、夫ともに途方にくれています。どのようにすればいいのか教えて下さい。

答 実際のところ、このようなメールの問い合わせだけでは必ずしも的確なアドバイスをすることが難しいのです。「うっかり更新し忘れた」あなたの詳しい事情、いつどのように気がついたのか、家族の状況、生活費、あなたの婚姻生活の状況や素行、日本での滞在期間、他の法令に違反したことの有無等、本来なら詳しくお聞きしなければ的確なアドバイスができません。

そこで、ここでは基本的に他の法令違反はないものとして、また円満に婚姻生活を送ってきたものとして一般的な対処法についてご説明します。

1.1日も早くあなたがお住まいの管轄の入国管理局に夫と共に出頭して下さい。
すでに不法滞在の状態にあるのですから、いつ入国管理局に摘発されたり警察に逮捕されてもおかしくありません。決して甘く見ないで下さい。あなたは免許の更新をし忘れて車を運転しているのと同じなのです。
なお、あなたが入国管理局に出頭するのに気がかりなことがあれば一度専門家を訪ねて率直に相談してみて下さい。

2.あなたに在留期間を超過したこと以外の退去強制事由がないこと、入国後に窃盗等の所定の罪により懲役または禁錮に処せられていないこと、過去に退去強制または出国命令を受けて出国したこと等がなければ、基本的に収容されることはないと思います。

3.出頭後入国警備官による1回目の違反調査が行われます。そこであなたは出国命令制度で帰国(1年間は再入国不可)するか、引き続き日本に滞在を希望する理由を述べて、法務大臣に対し在留特別許可の申請をするか決めなければなりません。
なお、この在留特別許可の申請は退去強制手続きの中で行われる入国審査官への口頭審理の請求や特別審理官への異議の申出という手続きで行わなければなりません。また、注意しなければならないことは、在留特別許可が不許可になった場合は退去強制令書が発布されて退去強制(原則として5年間は再入国不可)になります。
この手続きについても、もし不安や判断に迷うなら一度専門家に相談してみることをお勧めします。まじめな専門家であれば相談料も低料金です。

4.あなたが入国管理局に出頭したからと言って、あなたの不法滞在の状態が解消されたわけではありません。これから違反調査や審査が始まるわけですから、働くこと(不法就労)も旅行に行くこともできません。自宅で待機しているしかないのです。万が一、その間に交通事故に遭遇して警察の事情聴取を受けたときは、不法滞在であることが判明して入国管理局とは別に逮捕されることもあり得るのです。


許可や免許を受けていても、うっかり更新し忘れたということは誰にも起こり得ることなのかもしれません。しかし、外国人の場合はお互いの国からの退去という結果をもたらすことを忘れないで下さい。
また、同じ不法滞在でもそれに至る事情がもっと複雑で現在も深刻な状況にある方がいらっしゃるかもしれません。どうぞ一度相談してみて下さい。
13年06月18日 | Category: 在留資格あれこれ
Posted by: asiannetwork
問 私の知り合いで日本に長く住み永住資格を持っていたのですが、母国の男性と結婚してその男性が来日して、しばらくしてから永住資格が取り消されてしまったということを聞きました。本当にこういうことがあるのでしょうか?あるとしたら、どういう場合に永住資格が取り消されるのでしょうか?

答 もう少し詳しく聞いてみないと、なぜあなたの知り合いが永住資格を取り消されたのか分かりません。
ただ、考えられるのは、あなたの知り合いの結婚相手が「永住者の配偶者等」として日本に入国するときに何らかの不法行為(虚偽文書の作成とか)を犯し、あなたの知り合いがそれを「あおり、唆(そそのか)し、又は助けた」(入管法第24条第1項4号ル)ことがあったのかもしれません。これに該当すると、日本政府は「本邦からの退去を強制することができる。」ことになっています。「・・・できる。」ですから、退去強制にならず他の在留資格に変更させて結果的に永住資格の取り消しになることがあるのです。

一般的に、永住者の許可を受けると転職や出入国、結婚・離婚等も自由で取り消されることはないと考えられがちですが、そんなことはありません。永住資格を持って日本に滞在する上で注意して頂きたい取り消しになりそうな典型例をいくつか挙げておきます。

1.永住者の在留資格の許可後、何らかの事情により過去日本に入国したときや永住資格の申請したときに、虚偽・変造文書等を作成して許可を受けたことが発覚したとき

2.現在の在留カードは、出国しても1年(特別永住者は2年)以内に帰国するのであれば再入国の許可は受けなくてもいいのですが、何らかの事情により帰国が1年(特別永住者は2年)を超えてしまったとき(なお、予め1年を超える可能性がある場合は、従来どおり再入国の許可を受けておくことをお勧めします。)

3.新しい在留管理制度の下では、日本に3ヶ月以上滞在する中長期滞在者は住民基本台帳法に基づき、入国後14日以内に居住する市町村に住民登録することになっていますが、この住民登録は永住者も当然行わなければなりません。永住者(中長期滞在者も)が90日を超えて転出届や転入届を提出しなかったり、居住地について虚偽の届出をした場合は永住資格(中長期滞在者の在留資格も)が取り消しになることがあります。

4.刑法に定める一定の罪名(全てではない。)に違反して懲役又は禁錮に処せられたり、麻薬及び向精神薬取締法、売春防止法に違反した場合等も、いずれも退去強制になることがあるので、その場合は出国すると結果的に永住資格が取り消されることになります。

この他にもパスポートや在留カードの有効期限が経過しているとか色々考えられるのですが、永住者として引き続き日本に滞在するためには、刑法その他の法律に違反して犯罪行為をしないこと、出国しても帰国するには期間があることを忘れないこと、特に入管法に係る虚偽文書の作成やその譲渡や貸与の斡旋等にも一切係わらないこと等に注意して下さい。
13年04月11日 | Category: 在留資格あれこれ
Posted by: asiannetwork
問 私は4年前に中国人女性と結婚しました。妻は最初は一緒に暮らしていたのですが、ここ1年半位名古屋で仕事をしていて時々しか帰ってきません。もちろん居場所も仕事先も教えてはくれるのですが、実際のところ同居しているとは言えません。今まで愛情もあり仕方がないと我慢してきたのですが最近離婚を考えています。ただ、離婚手続きがよく分からず、いつの間にか時間だけが経ってしまいました。このような場合、どうすれば離婚できるのでしょうか?

答 ご質問の内容ではまだ彼女にあなたの離婚の意志は伝えていないのですね。彼女が離婚に同意してくれるなら手続きはそれほど難しいものではありません。まず、日本では離婚届にそれぞれが署名捺印し、証人二人を立ててお住まいの特別区か市町村役場に届け出ること出ることなります。
ただこれだけでは中国での離婚が成立していないので、お二人で結婚届を提出した中国の民政局に行って離婚の許可をもらうことになります。この際、必要なのは離婚協議書(中国語)と結婚証、パスポートと中国人配偶者の場合は居民証です。

離婚協議書は中国婚姻法の要式に従って双方の離婚意志、財産分与、子の扶養等について記載されているものでなければなりません。なお、この離婚協議書は中国で作成しても日本で作成してもどちらでもかまいません。詳しい人が周囲にいなければ専門家に依頼した方がいいでしょう。なお、当事務所でも年間数通作成しています。

よく質問されるのですが、中国に行かないで離婚する方法はないかということですが、現在日本にある中国大使館や総領事館だけで中国の離婚の許可を受けることはできません。どうしても中国に行きたくなければ、配偶者の中国の住所地の中級人民法院で、あなたが原告で彼女を被告として裁判を起こすしかありません。その場合、あなたは中国で代理人を立てて裁判をしなければなりません。代理人は必ずしも専門家でなくてもしっかりした職業を持っていて多少法常識を持った人であれば誰でもかまいません。

他方、彼女が離婚に同意しない場合は、まず日本の家庭裁判所で離婚調停をしてもらいます。それでも彼女が同意しない場合は、同じく家庭裁判所であなたが原告で彼女を被告として離婚裁判をしなければなりません。離婚理由は「同居義務違反」を主張すればいいでしょう。
家庭裁判所での裁判は、弁護士に依頼してもいいしあなたがご自分で行ってもできないわけではありません。そこで離婚の判決が下りたら後の中国での離婚手続きはすでに記した手続きと同じようにします。このように日本での離婚手続きと中国での離婚手続きは別なものとお考え下さい。

なお、日本で離婚が成立し中国で成立していない状態を跛行婚(ハコウコン)と言いますが、
この状態であれば彼女は一生中国では再婚できないし、仮に外国人と再婚しても配偶者としてはその国の在留資格を得ることはできません。また、あなたも二度と中国人と結婚できないことになります。

色々事情がお有りだとは思いますが、特に彼女の将来を考えると、日中両国で合法的且つ確実に離婚手続を進めて下さい。
12年11月12日 | Category: 国際結婚あれこれ
Posted by: asiannetwork
問 私は産業廃棄物処分業と収集運搬業の許可を受け廃棄物再生事業の登録も受けている会社の役員をしています。最近私どもの同業者で外国人技能実習生の受入をしている会社があるのですが、私どもの会社も外国人技能実習生の受入ができるのでしょうか?

答 外国人技能実習生と言っても大きく分けて二つのタイプがあります。日本の企業が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業から受け入れる企業単独型と商工会や中小企業事業協同組合(監理団体)等営利を目的としない団体の会員または組合員が受け入れる団体管理型とに分かれます。

企業単独型では日本の企業が海外の現地法人、合弁企業や取引企業と引き続き1年以上の国際取引の実績または過去1年間に10億円以上の国際取引の実績がなければなりません。

またそれぞれのタイプに入国1年目の「技能実習1号」と2・3年目の「技能実習2号」とがあります。このうち「技能実習2号」に移行するには技能検定試験を受け「技能実習1号」の実習成果を踏まえた「技能実習2号」の技能実習実施計画も審査の対象になります。
そして、現在「技能実習2号」の対象職種は66職種123作業が認められています。

さて、お問い合せの事業の職種はこの「技能実習2号」の対象職種には含まれていません。当然ですが技能検定試験もありません。たとえ廃棄物再生事業の工程の一部に機械保全、電気機器組立、鋳造、機械加工や溶接等の職種があったとしても「技能実習2号」の対象職種として認めてもらうことは難しいと思います。

それでは「技能実習1号」としての受入はどうでしょうか。
実は「技能実習1号」の受入には対象職種や作業の制限はありません。外国人技能実習制度の目的である「技能実習生への技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成」に貢献する技能実習が期待できるものであれば可能性があります。但し、監理団体である受入団体(団体管理型の場合)、外国人技能実習生、実習実施機関それぞれに技能実習を行うための要件があるのでその全てを満たしていなければなりません。

もう少し詳しく外国人技能実習生受入の動機や実際の職種と作業をお聞きしなければ分からないのですが、「技能実習1号」だけなら可能性はあると思います。
12年08月30日 | Category: 在留資格あれこれ
Posted by: asiannetwork
問 私は日本人の彼と付き合っていたので、結婚はしなかったけれど彼の子どもを育てています。日本での生活は大変なので、国に帰って両親に助けてもらいながら子育てしようと思っていたのですが、友だちが「日本人の子どもがいるなら、このまま日本で働きながら普通に生活して行ける。」と言うのです。でも、何をどうやっていいかも分からず、実際そんなことできるのでしょうか?

答 うーん、ちょっと困った質問ですね。というのは、あなたの現在の在留資格により回答が少し異なるからです。大きく分けて、あなたが留学、就労資格あるいは身分関係の資格等により合法的に日本に滞在している場合と、すでに何らかの事情によりオーバースティ等の不法滞在している場合とが考えられます。

あなたが合法的に滞在している場合は、そのままの資格で子どもについては「定住者」の資格でかまいません。(日本国籍を取得することは要件ではありません。)あなたが何らかの事情により合法的な在留資格を失うのであれば、事情によってはあなた自身が「定住者」の在留資格に変更することも可能と思われます。

あなたが「定住者」の在留資格に変更を希望するのであれば、以下のような要件を満たす必要があります。(平成8年7月30日、法務省通達から抜粋)

1.日本人の嫡出子または日本人の父から認知がなされている子の親(あなた)であること。
(嫡出子とは正規の婚姻関係のもとに生まれた子、あなたの子は非嫡出子となります。また、認知とは父または母が血縁上の親子関係を認めること。(民法781条1項)、
但し、認知には一定の方式に基づく届出が必要です。(戸籍法60条、61条))
2.当該子(あなたの子)が未成年・未婚であること。
3.当該外国人(あなた)が親権を有し、現に相当期間監護養育をしていること。

子の監護養育しているとは、あなたがあなた自身の手で子育てをしていることです。保育園等に通園していることはかまいませんが、たとえ親族でも他人に子の監護養育を任せている状態は、あなたが監護養育しているとは言えません。
また、あなた自身の経済的な扶養能力の有無はあまり問題にはなりませんが、手続き上はあなた方親子の日本での滞在費(生活費)について立証しなければなりません。

次に、あなたがそもそも不法滞在の場合を考えてみましょう。この場合でもあなたが在留特別許可を受けて、今までどおり日本に滞在し続けることが不可能なわけではありません。
ただ、そのためには前に記した合法的に滞在している「積極要素」の他に次のような要素が考慮されることになります。(平成21年7月、法務省入国管理局「在留特別許可に係るガイドライン」から抜粋)

(積極要素)※これは要件ではなく審査上考慮すべきプラス要素という意味です。
1.当該外国人(あなた)が不法滞在者であることを申告するため、自ら地方入国管理署に出頭したこと
2.当該外国人が、本邦での滞在期間が長期間に及び、本邦への定着性が認められること

(消極要素)※これは要件ではなく審査上考慮すべきマイナス要素という意味です。
1.出入国管理行政の根幹に係る違反または反社会性の高い違反をしていること
2.偽造旅券または在留資格を偽装して不正に入国したこと
3.過去に退去強制手続きを受けたことがあること
4.その他の刑罰法令違反またはこれに準ずる素行不良が認められること

この他にも種々の考慮すべき要素や先例があるのですが、ケース・バイ・ケースなのでここでは省略します。また、具体的な手続きについてはご自分でできるものと、専門家に依頼された方がいいものとがあるので、詳しくはメールでお問い合わせ下さい。
12年05月11日 | Category: 在留資格あれこれ
Posted by: asiannetwork
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