◆定年のあと、早々に呆ける人はどんな人?
 定年のあと、2,3年で呆けた人がいる。5年後ともなると、少なくないようだ。いちばん早かったのは、あるメーカーを常務で定年になった人で、半年後には呆けに見舞われたそうだ。
 では一般に、どんな人がなりやすいのか、「呆けやすい人10ヵ条」が下のとおりである。
1. 生真面目で冗談を語ることは皆無に近い
2. 上司に従順で何事もハイハイと従う
3. 部下を叱ったり注意することはない
4. 会議では反対意見を唱えることはない
5. 既成の組織秩序に波風が立つのを嫌う
6. 橋下・東国原的な型破り人間を嫌う
7. 大きな声を出すことは滅多にない
8. 映画・芝居・ミュージカルに関心なし
9. 人脈の開拓意欲は弱く、受け身一辺倒
10. 創造的というより伝統と習慣を維持
 これらの10ヵ条が、そっくり当てはまる人はいないと思うが、6ヵ条以上も該当するようなら、その危険性は、ぐ~んと高くなるらしい。
 以上を概観して想像できるのは、こういう人は決まって“好奇心”が乏しいということだ。好奇心が乏しければ、ワクワクする感動心も乏しいもの。呆けても仕方ない。

◆好奇心の旺盛な人は、呆けないに違いない
 ある役員が最近、定年になった。拾ってくれるところもなく、ましてや嘱託延長もなし。この人も、はや定年1年になる。上表の8割方が該当する人だ。
 定年になるということは、「おはよう」といって朝から会話を交わす相手がいなくなることである。たっぷりと、あり余る時間をもて余す毎日を迎えることである。ということは、「いつまでに何を仕上げなくちゃ」というタイムリミットはないのだ。こういう毎日を送ることは、「考える」「解決策を研究する」「問題を分析する」「新しい企画を練る」というような頭脳作業に、縁がなくなることである。これは呆け症状の出ないほうが不思議であって、「使わざるものは退化する」という世界にズブズブと足を沈めるようになって当然である。
 しかし最近一人だけ、非常に珍しく、呆けには無縁と思われる70歳の青年に出会った。
地方のホテルで午後10時頃、「もう寝よう」と言う私を、「いい女のいる店でもっと飲もう」と誘った。こんな人は生涯現役に違いない。