サービスに対する考え方、この石コロ発想  
 あるホテルが業績不振で、外資系資本の傘下に入る前の話しである。
 客室で急激な寒気に襲われた宿泊客が、「風邪ぐすりを欲しい」と頼んだら、「厚生省(当時)の指導により、薬品は提供できないことになっています」と言って断ったそうである。
 多くのホテルは、市販の風邪ぐすり程度は在庫し、「どうぞお大事に・・」といって、白湯とともに届けてくれるというのに、この石コロのような発想はでどうしようもない。
 「市販薬品を転売してはいけない」という常識を、歪曲しているこの異常な発想。
 ついでにいえば、この石コロ発想のホテルは、ある銀行の子会社だったそうである。
 そのため歴代の支配人は、必ず銀行からやってきた。
 この一件をみてもわかるが、このホテルのサービス精神は、顧客志向ではなくなっていたのであろう。
バナナ一本でも、場所を選べば売れる商品になる
 KIOSKで、バナナを売り始めた。「1本70円」である。
 小腹が空いたときはちょうどいいらしい。売れゆきは予想以上だそうである。
 ウィンブルドンでの、テニス選手たちが、わずかな休憩時間に、バナナを食べるのを見た人は多いと思う。一体なぜ、ウィンブルドンでもバナナなのか。
 バナナは果実の中では、きわだってハイカロリーでありカロチンの含有量も豊富だ。
 小腹が空いたときの、最高のファストフードである。
 利益率などを店頭で尋ねても仕方ないが、推察では、70%程度の利益率は稼げると思われる。なかなか儲かる商品になっている。
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 たかがバナナ、しかし場所を選べば、高利益商品に変貌する。「これ以上考えても、いい知恵は生まれない」と考える人のことを、「知恵のない人」と言うのもわかる。
 コロッケの具に、リンゴを詰めて人気を得ている店もある。
 業績の優劣差は、まさに「発想の質の違い」根差すものかもしれない。