~脱皮できない蛇は、いや蛇だけでなく蝉も、死ぬ道しか残っていない。
事業も同じこと。経営者の脱皮は不可欠~
●ダメ店舗も人が変わると繁昌店に
 あるところに、2階建の店舗施設がある。
 Aスーパーが入居してもダメ。Bスーパーが入ってもダメ。みんな経営に失敗する。
 ところが、福岡県を本拠とする、食品特化の店を〈新鮮市場〉と称して出店したW社は、はや3年にもなるが、いつも脱皮を繰り返している。
 半年もすると、客を惑わせない程度に、売り場を変化させる。
 〇鮮魚売り場の照明を変える。
 〇店頭のワゴンセールのレイアウトを変える。
 〇特定菓子舗と特約した、お菓子コーナーを新設。
 〇近所で大型建設工事が始まると、弁当と味噌汁も売り始める。
  (発砲スチロール製の密閉容器を添える)
 〇特売コーナーのスポット照明は点滅式。
 この例のように、いつも変化して、客に“飽き”を感じさせない。
 3年は過ぎたが、客は減るどころか増える一方である。店の回りに買い物客の自転車がずらりと並び、交通の邪魔になるから、最近警察の指導を受けた様子。
 嬉しい悲鳴、というべきだろう。
●脱皮繰り返す社長の日常
この会社の本社は、福岡県の北九州市。社長の話
★通勤は自転車。おや?と思ったとき、すぐに立ち寄れるように。
★デジカメはいつも持つ。おや?と思ったらパチリ。月に200枚以上現像するそうな。
★趣味は登山。地元の登山クラブの会員。
★〈店にもの申す会〉の会員を募り、毎月1回、飲みながら意見を聞く。会員の任期は半年。会員への謝礼は、この店での“お買い物券”3千円券。(毎月1枚)
★本社の社内は、森の風景。社長室はない。総務課の一角が社長の椅子。
 総務課、経理課、商品管理課、仕入課、店舗管理課など、セクションごとに大きな植木鉢で囲まれ、森の風景を思わせる。植物の種類はセクションごとに異なる。
★社内には提案箱。半年間1件の提案もしない人は、社長の家の庭掃除1回がペナルティ。
●“3鮮経営”をさらに深化
 記憶に残った社長の語録を紹介。
★世の中、自分の知らないところで、どんどん変化しています。
★同じパターンの生き方は、固形発想に陥ります。
★自分が変化しなければ、経営も変化できないと、僕は思います。
★各地の店長からは毎日、〈映像つき電話〉で報告を聞きます。
 質問にモタモタしていると、10分以内に再報告させます。
★今年(平成25年)は、〈心が新鮮、商品が新鮮、店が新鮮〉の「3鮮経営」を、もっともっと深化させるつもりです。