~経営者には“極大の経営戦略と極小の販売感覚”が必要~
●チャーハンも試食するCEO
 コンビニのセブン・イレブンだが、2013年の2月の決算では、単独利益1867億円を稼ぎ出し、3期連続の増益という凄い実績を出している。
 一体なぜセブン・イレブンは好調なのだろうか。
 その要因の一つは顧客心理に精通しているから、と言えそうだ。
 たとえば鈴木敏文CEOは、こう語っている。
「たとえばチャーハン。最初に作ったものを食べてみたらベタベタした感じ。粒離れがよくないからパラパラした旨いチャーハンになっていない。そこで私はいったん販売を中止し、1年半かけて新しい機械を開発しました。こういう食べ物は、旨くないと売れ続けません・・」

●“極大と極小”感覚を併有する経営者が、好調を持続する
 セブン・イレブンの従業員は、およそ6千名を越えている。
 これだけの大世帯なのに、CEOがチャーハンまで試食をして注文をつける。じつに細かい。しかしこの細かさこそ、食べ物の業界では重要なようだ。
 しかもこの細かさは、食べ物以外にも及んでいるから、やはり耳を傾けて学ぶ必要がある。
 「あるジーンズの長パンを売るとする。見た目にほとんど違いはないが値段が倍もする同種製品を近くに展示している。客は違いの理由を販売員に尋ねる。販売員が、メーカーの卸値の違いがいちばんの原因ですという意味の答えをすると、途端に最初の長パンが売れるんです。」
 この例など、まさに消費者心理学の分野ではないか。
 かつて、ロッテ商事の役員から聞いた、重光オーナーの話も参考になる。
 ある時、オーナーから会社の営業部に電話。
 「いま○丁目○○商店の前だ。ガムの陳列が必要以上に少ない。今日中に補充しなさい」
 対外戦略レベルで仕事をする経営者が、一方において重箱の隅にも注目をつける。
 大局で勝負する経営者が、小局微細な面にも関心が行き届く。極大にして極小でもある。
 好調経営の維持秘訣は、“極大の経営戦略と極小の販売感覚”が、経営者には必要みたい。
 だからこそ経営者には、心身の丈夫さと健康が求められそうだ。