◆創作チラシで集客急増
 大も中小規模のスーパー経営も、一寸たりとも息を抜けない激甚競争の真っ只中にある。
 そういう中にあって、「打つ手に限界はないんだな!」と感心した社長がいらっしゃる。
 この社長もいろいろ考えた。毎日考えて考えて考え抜いた。
 「価格競争に巻き込まれたら、売れども売れども、やがては赤字。価格以外で客を引きつける手はないものか。“非価格競争力”として何かないものか・・?」
 そのあげくに、「そうだ、1週1回のチラシ戦略に、創作の“時事川柳”はどうか・・」
 うち2句を紹介すると、こんな川柳を考え出したのである。
 「温顔で金利高い人裏ファンド」(あの日銀総裁の稼ぎ方)
 「納豆で骨折り損のテレビ局」(あのテレビ局の捏造問題)
 社長創作のこんな川柳を、週一のチラシに印刷して折り込みをはじめると、来店客の口を通じて、「川柳がとてもおもしろいわ、最近は金曜日のチラシが楽しみよ」ということを言ってくれる客が増え始めた。
 スーパーの集客に、チラシは絶対欠かせない。それほど主婦はチラシを見る。だから主婦からそっぽを向かれたチラシのスーパーは、無残な結果を招くのである。だからまず、チラシによる集客が、そのまま来店客に比例するのである。
 先のスーパーは、チラシに関する限り、地域一番の読者を獲得しているようである。というのは、来店客の多さが、それを物語っていると思われるからだ。

◆外国の国旗でディスプレー
 つぎは、尼崎市(兵庫県)にある専門薬局の場合である。
 店主は商圏の特徴を考えてみた。そして、この周辺は外人が多い、ということに気付いた。
 その上で、「外人が親しみを感じる店にするには?」と、考えた結果、「そういう外国の国旗の小旗を、紐につないで店周に張り巡らすのはどうか?」と思いついた。
 行動力のある店主は小旗を買い込み、2連の小旗飾りを作り上げると、店周の軒下と店内の天井に張り巡らした。もちろん日本の小旗も加えた。
 断然賑やかにもなった。何のことはない、小旗連のディスプレーである。
 最初の外人の来客はフィリピンの人だった。ある程度日本語のできる客だった。
 「自分の国の国旗があると、お店が私たちにウェルカム・メッセージを言っているようで、親近感を感じました。国旗があるととても嬉しいです」
 この来客を筆頭に、次第に外人客は増え続け、いまではまるで、外人客御用達の店にも似て、外人客がわんさと押し寄せるようになったのである。
 外人客の国籍の一部を紹介すると、フィリピン、タイ、韓国、インドネシア、ブラジル、シンガポール、マレーシアなどである。
 店主から話を聞くと、「面積当り売上高は、恐らく地域一番になったのではないでしょうか」ということである。
 “打つ手に限界はない”という一例である。