厚生年金 記録訂正で減額も 特例対象者 納付実績下がり

記録が見つかったと喜んでばかりいられない。
≪厚生年金の受給額は、加入期間の長さと、過去に納めた保険料の平均額に応じて決まる。漏れていた年金記録が見つかった場合、加入期間は延びる。ただし、納付額が低かった期間の記録などが足されると、受給額の計算基準となる平均標準報酬月額は下がる。≫

よくあるのが障害年金と遺族年金。
また気をつけなければならないのは、加給年金。これは期間の記録についてである。61年に新年金となった際、多くの経過措置がとられ、当時女性はずっと働くとは考えられていなかった若しくはパートとして厚生年金には非適用のかたちで働くと考えられていて、そのフォローとして家族手当と言われる加給年金そして振替加算の仕組みがとられた。したがって、配偶者(ほぼ女性)が240月以上の老齢厚生年金を受けられるときは配偶者手当(加給年金のこと)がつかなくなる。所得の底上げを図る社会保障の意義から当然の措置といえるが、「申請主義」ゆえに、その配偶者(ほぼ女性)の記録が見つかって統合すれば240月以上になる場合は「申請しない」ことでよかったわけである。

≪この件について、各地の社会保険事務所の対応が統一されていないのも問題になりそうだ。年金減額を説明された女性は「額が減ると聞いて、『それなら訂正しないで』と言ったら、『記録漏れが分かった以上、元に戻すことはできない』と言われた」と話す。一方、社会保険庁は「本人の了解や納得が得られなければ、無理に記録訂正はできない」として、記録をそのままにすることを否定していない。≫

ここでは社会保険庁は「申請主義」の方針である。社会保険事務所のものは社会保障論的立場をとっている。これについては、政府が統一的見解を明らかにすべきであろう。「損得論」を生じさせない(生じても主張を無効にする)社会保障論か「損得論」の余地を残す「申請主義」かを。
社会保険事務所は得になる人も損になる人も直接相対するため、「損得論」を排除する傾向をもつのも当然な話。また「申請主義」にも重要な理由がある。というのは、一人一年金制により、年金の選択申請を受給権者が行なう必要があるからである。したがって、記録に関しては保険者、年金の選択については受給権者が決定するという方針でもよいわけである。
政府が無理ならば、長妻議員にこの件についてもお願いするほかあるまい。