阪急交通社で派遣添乗員にサービス残業、労基署が是正勧告

参照条文
≪労基法第38条の2 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。≫

みなし労働時間制については、おそらくほとんどの事業所が適用できないのではと思われます。
というのは、上記記事には触れられていませんが、条文中の「労働時間を算定し難いときは」という条件がポイントで、是正指導された会社では会社と従業員間で報告書をやりとりしていた (つまり、勤務中管理下にあり、時間管理できる体制であった) ため、みなし労働時間制は適用しないということになります。
さらに、現在では会社は従業員にケイタイを持たせて活動させておりますので、当然時間管理できるわけです。したがって、この場合もみなし労働時間は適用しないことになります。

本日の朝日新聞の記事はこの点をもう少し詳しく書いてありました。そこには、旅行業界では「慣行」となっていて寝耳に水の是正指導のようです。業界の慣行というものは長年産業自治のような配慮があったかと考えられますが、最近ますます公益的な観点から批判の対象となっております。慣れた労務体質を根本的に変革するのは大変なことですが、日本国の法律に合わせていくべきです。
これは「人材破壊」と緊密な関係にあり、雇用環境が不安定となる中で、従来の集団的自治が意義を失い、法律が前面に出てきた現象です。日本の場合、名目だけでなく実質的にも「法治国家」となったのはつい最近とみてよろしい。