本日の毎日新聞朝刊では、
1、グッドウィルが派遣社員に、休業手当を支払わなかったとして天満労基署が是正勧告した記事
2、フルキャストが日雇雇用保険の適用申請を行っている記事
3、キャノンが偽装請負をしていたとして、栃木労基署が是正指導した記事
が載っている。

1の休業手当については、かなり相談件数が多いものです。正社員もさることながら、派遣社員となるとますます会社は自己の社員という意識も低いことによる。法律相談では解決策が出せても実際には解決に至らない相談内容であった。時間外手当も同じ。
なお、時間外手当請求で会社が数億円支払ったという記事がたまに載るが、それまで会社はその資金を使えていたものであるから、それを返したにすぎない。しかも、時効がある。裁判では倍返しというペナルティもあるけど。
(尤も、普通の会社ではそれほど手持資金を残すものではないから、苦しくなることは必至。)
また、残業代の計算方法も、あまり正確に行き渡っていない。給料の支払日をきっちり守る国民性からいって、残業代の支払いもきっちり守る余地もありそうなのだが‥。

2派遣ユニオンとの交渉により申請に至った。法律の世界には限界があり、法律相談ではらちがあかない内容といえる。違法行為度の高いところなので社労士との接触がないと思われるが、そういう状態においては企業自治(会社と労組との取り決め)がやはり有効である。

3日本国民の「常識」では、(経団連の)大将が偽装請負できるのならば、家来もできるというものである。大将敗れれば、家来もまた退却する。「右へ倣え」は、戦中にできたというよりも、はるか戦国時代の遺産ともいえる。(尤も、実際には足並みが全く揃ってない。戦中の施策には、方言対策であるとか「軍隊教育」であるとか足並みを揃えようとするものが目立つ。統制経済体制等から「共産主義化」-企画院事件など参照-という指摘もあるが、根本にあるのはアナーキズム-農民的?-の状態にあるのではないかと考えられる。)
ところで、派遣法違反については「指揮命令があるかどうか」がポイントとなっているわけだが、それだけだと漠然としている。刑罰適用条文として職安法○条違反となっていても、その条文はたった2行程度の簡素な文章なのである。その論の詰め方として、実務通達等が示されるのだが、こちらは当然に細かい。労働刑罰の適用関係はたいていこのようなかたちなので、たいていの経営者は理解がついていかない。尤も、上場企業等ではそれなりの対策室が設けられているような気配がするが、それも問題。

偽装請負についてわかりやすい記事 - 週間東洋経済
http://www.toyokeizai.net/online/tk/headline/detail.php?kiji_no=210&page=