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持ち帰り残業月82時間… 自殺の英会話講師に労災認定

≪大手英会話学校の講師だった女性(当時22)が2011年に自殺したのは、長時間の「持ち帰り残業」が要因だったとして、金沢労働基準監督署が今年5月に労災認定をしたことがわかった。女性は一人暮らしのため自宅の作業量の裏付けが困難だったが、労基署は女性が作った大量の教材などから作業時間を推定する異例の措置をとった。≫

≪労基署の資料や代理人弁護士によると、労基署は、女性が入社後約2カ月間で主に自宅で作成した文字カード1210枚、絵入りカード1175枚の教材に着目。丁寧にイラストなどがあしらわれ、担当者が作ってみたところ、1枚につき29秒~9分26秒かかったという。これをもとに1カ月の持ち帰り残業時間を82時間と推定し、学校での残業を含めると111時間を超えたため、女性が長時間労働でうつ病を発症したとして労災を認定したという。≫

「持ち帰り残業」というのはもともと労働時間の認定において否定的である。それに応ずる義務はなく、拒否できるものというのが基本的な解釈である。

労働時間と賃金のリンクを外すと言った者もいたが、時給制労働者を対象とした発言でなく、賃金規定で給与が決定される正社員を対象とした発言でおかしいと指摘したことは別として、労働時間を基準とすることについては諸説の反応がある。
なかでも、労働時間でなく、労働量で賃金は決定されるべきという意見もある。これも同様に、政府で決定できるものでもなく、またすべきものでもないだろう。なかなか法制度上扱うのが困難な内容の議題である。しかしそれが諦められずに蒸し返されるのは、実労働時間の管理責任を免れたいのと深夜も法定休日も割増賃金が発生するのを法律上なくしたいということにしか取れない。
そういう背景があったので、労働量から労働時間を割り出して、長時間労働による精神疾患を発症したがための労災認定というのはかなり衝撃的であった。
さらに、これまでは裁判所の見解を待ってから、それから行政が認定に動くという精神事案における順序逆転パターンが、今回はない。他の事案同様、労災決定後、他の損害賠償請求を裁判所に求めるという形になろう。長時間労働や執拗に繰り返されるハラスメントについては積極的に認めていくという方針が形になったということである。それ以外の類型についてはあまり変化はないので、早急に行政→司法→行政という遠くて重い道程の改善を切に願うばかりである。

14年11月07日 | Category: General
Posted by: roumushi
14年11月07日

持ち帰り残業

持ち帰り残業月82時間… 自殺の英会話講師に労災認定

≪大手英会話学校の講師だった女性(当時22)が2011年に自殺したのは、長時間の「持ち帰り残業」が要因だったとして、金沢労働基準監督署が今年5月に労災認定をしたことがわかった。女性は一人暮らしのため自宅の作業量の裏付けが困難だったが、労基署は女性が作った大量の教材などから作業時間を推定する異例の措置をとった。≫

≪労基署の資料や代理人弁護士によると、労基署は、女性が入社後約2カ月間で主に自宅で作成した文字カード1210枚、絵入りカード1175枚の教材に着目。丁寧にイラストなどがあしらわれ、担当者が作ってみたところ、1枚につき29秒~9分26秒かかったという。これをもとに1カ月の持ち帰り残業時間を82時間と推定し、学校での残業を含めると111時間を超えたため、女性が長時間労働でうつ病を発症したとして労災を認定したという。≫

「持ち帰り残業」というのはもともと労働時間の認定において否定的である。それに応ずる義務はなく、拒否できるものというのが基本的な解釈である。

労働時間と賃金のリンクを外すと言った者もいたが、時給制労働者を対象とした発言でなく、賃金規定で給与が決定される正社員を対象とした発言でおかしいと指摘したことは別として、労働時間を基準とすることについては諸説の反応がある。
なかでも、労働時間でなく、労働量で賃金は決定されるべきという意見もある。これも同様に、政府で決定できるものでもなく、またすべきものでもないだろう。なかなか法制度上扱うのが困難な内容の議題である。しかしそれが諦められずに蒸し返されるのは、実労働時間の管理責任を免れたいのと深夜も法定休日も割増賃金が発生するのを法律上なくしたいということにしか取れない。
そういう背景があったので、労働量から労働時間を割り出して、長時間労働による精神疾患を発症したがための労災認定というのはかなり衝撃的であった。
さらに、これまでは裁判所の見解を待ってから、それから行政が認定に動くという精神事案における順序逆転パターンが、今回はない。他の事案同様、労災決定後、他の損害賠償請求を裁判所に求めるという形になろう。長時間労働や執拗に繰り返されるハラスメントについては積極的に認めていくという方針が形になったということである。それ以外の類型についてはあまり変化はないので、早急に行政→司法→行政という遠くて重い道程の改善を切に願うばかりである。

14年11月07日 | Category: General
Posted by: roumushi