社会保険労務士試験の発表があり、今年度の合格率は7%台だという。ちなみに、私が合格した年の前年は6%台であった。
風の便りによれば、22年度より憲法、民法、民事訴訟法が科目に加わるという。実務中心の社会保険労務士は法体系が理解できていないという弁護士会からの指摘そして内部の者の意見等が反映されてきたということになる。歓迎すべきことである。
また一方で、訴訟と和解との性格の違いが明瞭化されてきて、訴訟に絡む事件と実務的な和解手法により解決されるべき事件との違いについても研究が深められてきている。後者について早い段階で重要視してきたのがアメリカ司法そして日本の有志の簡裁判事や家裁判事である。なお、日本では『家栽の人』という渋い漫画がある。

そういうこととは別にそれはそうと、社会保険労務士業務には法に馴染まない分野が多く含まれている。社員研修などもそれに含まれるが、それより大きなものとして組織開発業務などがある。これはまだ体系化されていないため、今依頼すればそれほど高くはないが、効果も定まらない。
イメージとしては、次の二冊で述べる。

1.『空気と戦争』(猪瀬直樹・文春新書)

≪意思決定のプロセスのなかで数字データのインプット・ミスとか、あるいは最終決断にあたっての自己責任の放棄とか、いまも起きていることと同じような日常性が日米戦を呼び込んだのではないか。≫

かなりすっきりとした構成でわかりやすい。

2.『兵隊たちの陸軍史』(伊藤桂一・新潮文庫)

戦後の会社組織はほぼ軍隊組織を引き継いでいる。これまでは軍隊小説などで部分部分その関係を見出してきたものだが、ようやく待望の全体的な中身が手軽な文庫として出た。あと戦後の恩給制度についても触れて欲しかった(まだ読破していないが、書かれていないよう‥)。