職業訓練講座4分の1が中止に

《昨年10月に始まり、失業者が無料で職業訓練を受けられ生活費などの手当も支給される国の「求職者支援制度」で、計画された職業訓練9324講座のうち、4分の1以上の講座が今年7月末までに中止になったことが分かった。希望者が少なく、訓練を実施する側の負担増となることなどが主な理由。しかし、一方的な中止で受講予定者が不利益を被るケースも出ており、厚生労働省は「制度1年を機に改善を図りたい」としている。》

希望者が少ない、とは変化したものである。希望者が多いので、少し遠方の施設を希望してやっと通えることになったという話はもはや一昔か。
従来より、実施側企業の収支がギリギリの設定だとはよく聞いたし、実際そのようだろう。国の訓練施設に認められているという信用度が利益というものであった。生徒が減れば、すぐ赤字になる、そういう営業である。
雇用保険事業は、近年は詐欺事件と結びつきやすいという認識から、警察行政と密接してきており、慎重に進められる結果、実施側にも生徒側にも厳しいという事態である。もはや利用側の真意を問うまでになっているわけであるが、これがまたそこまでできない事情があって、すっきりとはいかない。国が、国民をもてあましている。

私も幾度か講師をしたことがあるが、半分は成功、半分は失敗である。成功については話さないことにして、失敗例は
・生徒といってもある部分詳しい人もいるわけで、その部分についてその生徒に解説してもらうことを考えた。そうすると他の生徒が、先生は何もしてない、といってのクレームである。その人は何をしに来ているのか、より詳しく聞くことよりもそっちの方が重要?
・職業訓練であるから、自分で色々と情報を得る工夫をしていくことが重要であるし、また明確な判断がない項目であったのだが、「すぐ答えを求める」生徒が2割ほどいた。前の会社でどういう経験をしたかは知らないが、これも今、何をしに来ているかがわかっていないといえる。
会社の慣用句で「結論を先に言え」というのがあるが、言い訳のようなことをぐだぐた言っている場合に使うが、説明者がちゃんとした理由を述べているにもかかわらず、結論から言えと使ってしまう人も多い。理由を後にして結論だけ聞いてもわかるわけがないのだが、これは命令を待てという姿勢である。
昔は「支持待ち」と言ってどうしようもない社員という意味であったが、最近はさらに上意下達を求める傾向に振れているように見受けられる。所謂メイド社員である。
一方、企業側としては、自分で企画し、実行し、責任も取れる万能社員(どう見ても代表取締役)を求める傾向に振れている。
このように、両者の思惑に相当な開きがある。そこを踏まえず、雇用保険事業を展開しても上手くいかないわけである。ただ、うまく使えば価値があるわけであり、それができる人は何をしたって成功するのである。