積み残しが多い年金制度に久しぶりの一石
年金法案、閣議決定 厚生年金基金見直し、主婦の救済も

《【見市紀世子】安倍内閣は12日、今国会での成立をめざす年金関連法案を閣議決定した。財政悪化が深刻な厚生年金基金の制度を大きく見直すほか、会社員の夫の退職時に年金の切り替え手続きをせず、保険料が未納になっている専業主婦らを救済する内容。放置されてきた二つの問題の決着をはかる。 》

この内容についてはどの紙もそれほど詳しく記載していないなか、この朝日デジタルが最も詳しい。

1つは、基金の決着。民主党政権晩期にこの問題が取上げられ、当初基金制度廃止とされていたところ、健全基金もあることから議論が進み、健全基金は残すことに固まりつつあったもの。
《解散に伴う基金側の負担を軽くするため、国に返済する額の計算方法を変更。複数の企業でつくる基金については、加入企業の一部が倒産すると残った企業が肩代わりをしなければならない今の仕組みを廃止する。》

朝日デジタルが拾い上げたここの部分が非常に重要である。基金地獄からの脱却に強くサポートするというところである。

次に、3号未納問題。これも民主党政権晩期に取上げられ、カラ期間にすることはほぼ固まりつつあったが、過剰給付の問題について返還を求める流れであったが、実現には相当困難なことが予想され、しかし現役との不公平感も見過ごすことの出来ぬ問題であり、さらに3号被保険者の設定問題が輪をかけるという話である。
この閣議決定では、誤給付はそのままに〈未来に向ってかどうかは不明〉返還せずともよい、現役世代は10年保険料を払うことで年金額に反映させる、という内容である。法体系ではかなりおかしい考え方であることはまちがいない〈民主党では似たことを長妻大臣がやろうとしたが潰された〉が、超法規的な政治的決断として決定された。アベノミクスはこのような超法規的措置のスタンスがある。これも今後新たな矛盾として課題を遺すもので、現状乗り切りスタイルのみならずアフターフォローまで組み込むことが必要である。

〔蛇足〕
日本近代史に関心を持つ者の端くれとして『満州裏史』〈太田尚樹・講談社〉に目が止まり、これにて満州での岸信介の行動を知りたいと思っていたことが叶えられそうである。