「平成25年度個別労働紛争解決制度」の施行状況

《平成25年度は、前年度に比べて、総合労働相談、助言・指導、あっせんのいずれも件数が減少しました。ただし、総合労働相談の件数は6年連続で100万件を超え、高止まりしています。
 また、総合労働相談のうち、民事上の個別労働紛争の相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が59,197件と、2年連続で最多となりました。》

≪*1 「総合労働相談」: 都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物などに、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応。
*2 「助言・指導」:民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことにより、紛争当事者の自主的な解決を促進する制度。
*3 「あっせん」:紛争当事者の間に、弁護士や大学教授など労働問題の専門家である紛争調整委員が入って 話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度。双方から求められた場合には、両者が採るべき具体的なあっせん案を提示する。≫


「総合労働相談」はあらゆる相談の入り口ともいえ、そこから各所各部署への案内が行われている。セクハラや育児介護休業問題なら労働局均等室へ、派遣問題ならば需給調整部へ、労基法違反なら労働基準監督署(つまり監督官)へ、審判等裁判所での解決ならば弁護士会へ、一人で難しいとか経営管理問題なら気に入ったユニオンへと、労働事務所も調整という制度がありますと。<社労士会への案内は滅多にない。紛争解決の実力がまだ社会的に認められるまでには至っていないということか。>
 無論、助言やあっせんは「総合労働相談」で受けるものである。あっせんは当事者による事前交渉が決め手であり、すなわち訴訟における和解勧告のタイミング寸前相当にまで当事者どうしでのやり取りが重要なのである。訴訟に至った場合の結果が両者にある程度見えていなければ解決に至り難いものである。したがって、手続きは比較的容易であるためにかえって、あっせん不参加の回答をもらいやすいという結果になっている。また、私法上での紛争解決というのも慣れないため、当事者としての自分が何とかしなければ何も生じないという理解に欠けがちである。ちなみに、弁護士も結構誤解されているのだろうと推定される。

「いじめ、嫌がらせ」については従前の世相分析であるならば、解雇が難しいため、過度な締め出し行為という意味合いというものであったが、近頃はどうもそうではない。明らかに職場秩序と教育・育成システムが乱れ、確立できていないことによるものという意味合いが強くなっている。つまり、決して2次的な行為ではなく、それ自体が目的なのであって組織と人間関係が崩壊しているとしか分析できない例が増えている。