営業秘密「手土産」に競合他社へ
読売新聞 1月13日(火)15時22分配信

― 府警は昨年12月に笹沢容疑者宅を捜索。笹沢容疑者は任意の調べに容疑を認めたという。
― 大阪府警は13日、不正競争防止法違反(営業秘密の不正取得)容疑で逮捕した。

≪住宅リフォーム事業は家電量販業界で急成長しており、笹沢容疑者はその責任者だったが、退職後、競合他社に部長職で再就職。府警は、エディオンの販売促進情報などが競合他社に流出したとみて調べる。
 発表では、笹沢容疑者は在職中、社内で使用していたパソコンに遠隔操作を可能にするソフトをインストールするなどしたうえで、退職後の昨年1月下旬、エディオンが販売秘密として管理していた「販促スケジュール案」などを自身が使っているパソコンに転送し、不正取得した疑い。≫

転職は自由である。相当古い封建社会体制により築かれた無形文化遺跡級の世の中から職業選択の自由へと今日変遷を辿る。
転職先は普通、実績のある同業である。「未経験可」は互いによろしくない結果になることが多い。あまつさえ、人材育成計画通りに進んでいない組織が多いため、教育できる人材が不足している今日である。したがって、幹部や責任者の転職であっても、同業への転職を妨げる権利は認められにくい。我が社で培ったノウハウがライバルに行ってしまうのを防ぎたいだけでは対処できない。退職時に誓約書を書かせる組織も少なくないが、職業選択の権利を弱めるには相当の代償ペイが求められる。退職者にとってみれば、明日から無職無収入だからである。


この事例において決め手となるのは、組織が秘密として管理していたという点である。無論、他の任意のパソコンに転送するなど禁止していたはずである。

なお、営業職種などでは組織が貸し与えた(もしくは担当者私物の)情報機器による携帯使用がよくあるが、この取扱い規定の不備で紛争が生ずることがたまにある。組織はまず規定に先立ち、権利義務の前に、どのようなデータの持ち歩きを営業として必要であるか、その各々の機密レベル(何をもって機密とするかは客観的なものでないと認められにくい。争点の一つ。)はどれくらいか、データ移動の手順や禁止項目、情報機器管理の安全対策をどうするか等イメージしておく必要がある。無論、特殊なソフトの利用などでカバーできるのならそれに越したことはないが。