「会社が給料払ってくれません。」


この相談は多い。そして、
「監督署に相談に行ったが、まともに相手してくれません」と来る。そして途方に暮れる。


労働基準監督署は、労働警察署でもあり、警察に捜査をうながすのと同様、それなりの準備が必要である。さもなくば、通りすがりの行政相談にしかならない。しかも労働保険関係で会社との関わりをもつ行政機関でもあるから、その顔の使い分けはなかなかに複雑である。
尤も、相談者が何を求めているかを汲み取れないわけでもないが、踏み外した場合が厄介なことになる。あくまでも慎重に。

期限を決めて内容証明を送って不払い確定後、24条違反として監督署の調査をうながす。普通の会社*はこの段階で支払うが、しぶとい会社は送検まで行く。しかしこれは刑事事件としてであり、会社が罰せられるだけで支払いはまだ無い。監督署は債権取立人ではないわけだ。
*(なお、ごく一般的な会社は、24条違反と関係なく、担当者を徹夜させてでも給料の遅配等だけは避けるものである。これは立派!)
民事裁判で勝ち、さらに追い銭で執行費用を出しても判決書が紙切れになる場合もある。

こうみてくると、やはりこうした問題は、会社対労働組合での解決が適当なのだろうと思えてくる。国家権力ではなかなか埒が明かない。早期に、現実的に解決できる個別労使紛争解決あっせん**ができればいうことないが、和解の余地がないならば、活路は労働組合での交渉にあると思う。
**(労基法違反については監督行政優先。監督官と連携してあつせんする。)
言わずもがなですが、給料に限らず、払う気のないところから払わせるのは大変です。