従業員が風邪を引いた場合、会社を休ませるかどうか。

体育会系の社長であれば、這ってでも出て来いという会社になる。尤も、今のスポーツ教育は合理的な内容に変わっており、そんな戦中の精神論を引きずったトレーナーはまずいない。
と言いたいところだが、先日運動中に「水を飲む飲まない」問題を取り上げた新聞記事があり、まぁ一流選手を育てるところ以外はまだまだ昔の風習が残っているわけである。
まして会社=社風となれば、やはり這ってでも出て来いが多いかも知れない。
或いは、戦力にならないから来なくていい=退職届を書けということになるかも知れない。高度経済成長時代はそれこそ会社に法律がまず入り込めない状態であって、戦力にならない者はとんどん左遷させて人事的に不利な取扱いを受けるのであったが、「離職」という発想は労使ともにまず無かった。それが当時の完全失業率2%程度=終身雇用制の意味なのである。軍隊と同じで、戦力にならない者でも、使えるところは使うのである。それに比べると、今は多少戦力になる者でも、マイナス要素があれば直ちに「離職」という結論を抱いている社長が多いようだ。昔は「縁」で入社したが、今はどうだろうか。契約でドライに割り切ることは、労使ともに困ることが多い。契約=法を持ち出せば、人間関係がコワレる程日本の労使関係はウエットである。
日本ではなかなかいい労務管理が定まらないものである。

さて、這ってでも出て来いに対し、休ませる=出勤は困るという会社もある。言うまでもなく、人にうつるからである。当人は頑張っているかも知れないが、その部署、会社ごと、お客さんに迷惑をかけることになるわけである。
風をうつされた経験は誰しもあるはず。頭ではわかっていても、さて、あなたは実際にどういう言動をとりますか。
その取った言動により、労務管理の視点は決まります。どこから手をつけなければならないかということです。労務管理が失敗する理由は、まずこの視点が最初からまちがっているからです。現実を正確に把握できていない状態ではじめられた労務管理は、ただカネをどぶに捨てるようなものです。言い換えれば、高額な費用を払っても、決して成功しないものなのです。