≪新規採用した者が雇用保険被保険者証なくしたと言っているけどのケース。≫

「なくしてしまった」場合、履歴書を職安に提示することにより過去の職歴にあたってもらいます。年金記録問題と同じく、これは被保険者記録を統合する意味があります。(なお、年金記録の統合によって、加給年金が取り消されたり、障害年金が減額されることがありますと社労士が注意を喚起しています。)
したがいまして、前職の記載が履歴書にないということがわかります。こういうことは何度か経験しています。

履歴書等は面接、採用時書類としてマニュアル化され、事務的なものと考えられがちですが、採用を決定するための基礎資料として重く扱うという考えもあり、要注意です。また、真実を報告しないという印象を与えますので、今後の指揮命令に支障が出るという判断になれば解雇もありえます。(ただし、これは裁判官に決めてもらうしかないので、社労士に判決を求めないで下さいね。)

実務的には、その隠した理由が取るに足らないものであれば、それほど問題にする必要はありません。しかし、やはり採用を左右する内容であるかも知れませんので、きちんと聞いておくことです。そのとき、会社が信頼されていなければよく聞きだすことはできません。この場合の信頼とは、懲戒手続きなどの運営面において公正な考えと方法が確保されているということです。つまり、やったこととその罰とがバランスがとれているかということです。ここらは刑事手続きと地続きといってよく、「罪刑法定主義」と言います。したがって、就業規則に書かれていない罰=懲戒処分は、私的制裁=リンチとして裁判所は否定するわけです。最終的には、均衡を逸した不合理な罰だということでしょうが。(自白強要があった事件で、どんな客観的事実が出て来ても、無罪にしなければならないのか?はずっと気になるところ。)

《結論》
労使間におけるある程度の信頼関係がなければ、会社は損をする。