昔の日産は、技術屋さんが威張っていた。会社のキャッチフレーズも、長い間、「技術の日産」だった。技術が勝負ポイントであることは、わざわざ言うまでもないこと。
 デザイン部門や販売部門は、技術屋さんより下だった。
 そこに登場したのが、日産の過去にシガラミのない、あのカルロス・ゴーンさん。
 このカルロスさんが来てから、技術屋さんと肩を並べて、デザイン部門などのスタッフ部門の人たちも、モノが言える体制になった。多くの人がご存知である。
 ところが会社によっては、技術系が上位意識に浸り、「技術のわからん者が、何を言うか」という社風の組織があるとすれば、いずれこんな組織はじり貧から、緩慢なる崩壊へと向かう。
 なぜなら、技術屋さんだけの集団意識が生まれるモノづくり発想は、「自分たちの技術で作れる物を作る」という意識に収斂されることが多い。本当は、「市場が求める物を作ろう」と考えるべきなのに。
 たとえ新製品を開発しても、身内だけの自己満足型商品になり、販売部門も「よし、これなら、どんどん売ってやろうじゃないか!」と、勇躍する物は生み出せないものだ。
 好況という春の季節だろうが、不況という厳冬の季節だろうが、環境にお構いなしに技術屋さんが上にいる組織。こんな組織の将来は、ほんとうに危ない。
 その上こんな組織が、○○商店型の企業だとすれば、(過去の不二家は藤井商店、過去のダイエーは中内商店だった)、組織が地獄の淵に沈みはじめるまで、自浄作用が働かない。
 交替不能のトップは、「だから、頭脳と発想の転換が欠かせない」と考える必要がある。
07年05月01日 | Category: profile
Posted by: mao
07年04月02日

経営の常識を疑え

◆“ISO”とっても、お守り程度のもの
 最近もあるISOの認証資格を持つ組織から、電話と印刷資料が舞い込んだ。用件は「ISOを導入したい企業を紹介してくれ、紹介料はいくら払う」というものだった。
 ISO(国際標準化機構)とは、「世界に通用する品質管理と環境管理のお墨付き」と、多くの経営者が思っている、認証のことである。(実は錯覚)
卑近な例では、あの“不二家”も二つのISOをオモテ看板にしていたのだ。
 「ISO9000」は品質管理の面でお墨付き、「ISO14001」は環境管理の面でお墨付き、しかも国際的にも通用する、というのが一般的な理解だ。
 しかし今回の、不二家の「甘い体質、腐った組織」(産経新聞)とISOとは、全く結びつかないどころか、水と油が同居しているようなものである。
 ISOは、本部がジュネーブにあるといい、国際化=科学的=先進的などの臭いがするが、実際は、認証資格を得るための国内講習を受け、パスした組織やコンサルタントが、OKを出して申請し、現場の審査に合格すれば、ISOという錦の御旗がもらえる、というもの。
 そういえば、ISOを検討したイトーヨーカ堂(当時)は「うちは、ちゃんとやってるから要りません。ISOとってもお守り程度のもの」という結論を出した。

◆“流行の経営手法”に飲み込まれるな
 ISOの考え方そのものに異論はない。
 またISOを、その名に恥じないよう実行している企業も少なくない。しかし、ISOの審査を受けるときだけ合格体裁を整え、終わるや再び、元の木阿弥という企業も少なくない。
 最近、運転していたら、前を汚れた車が走っていた。ところがリヤウインドゥには、「ISO9000=品質、ISO14001=環境」と印刷した、シールを張りつけ動く広告塔としていた。こんな会社で何が品質管理か、何が環境管理か、と思わないわけにはいかない。
 アメリカのコンサルタント会社、ベイン&カンパニーの会長、オリット・ガディッシュさん(女性)が来日したとき講演を聞いたら、こう語ったのが印象的だった。
 「QC活動(品質管理)を熱心にやり、賞までもらった会社が、QCにのめり込んだ結果、ほかの面を疎かにして倒産しました。流行の経営手法に飛びつくのは、おやめなさい・・」
 流行の経営手法がどんなものか、不二家が教えてくれました。そして、第2の不二家、第3の不二家も、いっぱい潜在しておりますぞ。ご用心、ご用心!
07年04月02日 | Category: profile
Posted by: mao
◆有能な中途採用社員を求める場合は、実績を尋ねよ
 腕のいい鰯の漁師は、水槽の中にナマズを入れておくそうである。ナマズに鰯が緊張して、港までぴんぴんしていて、取り引き値がいいというから、なかなかの知恵だ。
 有能な中途採用社員を、過去の習慣に惰性的に慣れている古い社員の中に加えるのも、組織にほどよい緊張感を与え、一種のナマズ効果が期待できる。
 さて、有能な社員を中途採用するときは面接で、ぜひ質問したいことがある。
 ?「過去の仕事で、これは自分の実績だ、と思うことを聞かせてください」
 ?「前の会社を辞めた主な理由は、何ですか?」
 ?「学生時代にやったアルバイトは、何をしましたか?」
 ?「最近読んだ本で、よかったと思う本は?」
 ?「何年間も長いこと続けていることが、何かありますか?」
 ?「いつも、ご両親に感謝していることは?」
 ものの30歳にもなれば、?の質問で少しはましな実績があるはず。うやむやな者は採用しないがいい。?で、転職の健康度や建設的な意識がわかる。?で、きびしいバイトを継続した者には、忍耐力のある者が多い。?で、知的な好奇心が大づかみでわかる。?で、関心の持ち方や持久力がわかる。?で、人間性を構成した生い立ちがわかる。
07年03月01日 | Category: profile
Posted by: mao
◆取締役に抜擢する条件は、他部門への関心度
 旭化成の実力トップとして、その実績ゆえに生涯を通して、社の内外から何の批判も受けずに職責を全うした人に、宮崎輝(かがやき)という人がいた。
 この人は、この部長は見どころがあると思うと、普段の会話の中で、企画部門の部長には、「うち(当社)の原価率が最近高いようだが、きみ何が原因と思うかね」と尋ねたり、経理部長には、「営業部門の問題点をきみはどう思う?」と、畑違いの分野への関心を尋ねた。
「何日間ほど時間をください。調べてご報告したいと思います」とか、「批判ではなく、日頃疑問に思っていますことは・・」などの、返事を期待したという。
 宮崎さんは生前、ダメ幹部の例を紹介していた。
ある部長に聞いたという。
「うちの損益分岐点は、少し高すぎると思うが、きみはどう思うかね」
「それでしたら、経理部長がくわしいと思いますが・・」
「こんな返事では取締役にはとてもとても」と判断し、抜擢対象から外した。
 “取締役は、特定部門の利益代表ではダメなんだ”、という宮崎さんの意見を聞くまでもなく、当たり前のことだが現実には、担当部門以外には何の関心も示さない取締役が多過ぎる。

◆部課長への抜擢法は、課題を与えレポートを出させる
 部課長に抜擢しようという場合は、ある課題を示して、「自分ならこうやって解決をします」というような、提案レポートを提出させるがいい。問題意識や能力が、モロに表れるからだ。
 普段から、気持ちがスーッとするくらい従順な者に限って、抜擢すると半年もたたずに後悔する。
 そんな人間に限って、指示待ち人間が多い。トップと社員との間にいて、決して品質のいい接着剤にはなりえない。イエスマンの幹部抜擢は、ブレーンを増やすのでなく、取り巻きを増やすだけになる。
07年02月01日 | Category: profile
Posted by: mao
サービスに対する考え方、この石コロ発想  
 あるホテルが業績不振で、外資系資本の傘下に入る前の話しである。
 客室で急激な寒気に襲われた宿泊客が、「風邪ぐすりを欲しい」と頼んだら、「厚生省(当時)の指導により、薬品は提供できないことになっています」と言って断ったそうである。
 多くのホテルは、市販の風邪ぐすり程度は在庫し、「どうぞお大事に・・」といって、白湯とともに届けてくれるというのに、この石コロのような発想はでどうしようもない。
 「市販薬品を転売してはいけない」という常識を、歪曲しているこの異常な発想。
 ついでにいえば、この石コロ発想のホテルは、ある銀行の子会社だったそうである。
 そのため歴代の支配人は、必ず銀行からやってきた。
 この一件をみてもわかるが、このホテルのサービス精神は、顧客志向ではなくなっていたのであろう。
バナナ一本でも、場所を選べば売れる商品になる
 KIOSKで、バナナを売り始めた。「1本70円」である。
 小腹が空いたときはちょうどいいらしい。売れゆきは予想以上だそうである。
 ウィンブルドンでの、テニス選手たちが、わずかな休憩時間に、バナナを食べるのを見た人は多いと思う。一体なぜ、ウィンブルドンでもバナナなのか。
 バナナは果実の中では、きわだってハイカロリーでありカロチンの含有量も豊富だ。
 小腹が空いたときの、最高のファストフードである。
 利益率などを店頭で尋ねても仕方ないが、推察では、70%程度の利益率は稼げると思われる。なかなか儲かる商品になっている。
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 たかがバナナ、しかし場所を選べば、高利益商品に変貌する。「これ以上考えても、いい知恵は生まれない」と考える人のことを、「知恵のない人」と言うのもわかる。
 コロッケの具に、リンゴを詰めて人気を得ている店もある。
 業績の優劣差は、まさに「発想の質の違い」根差すものかもしれない。
07年01月05日 | Category: profile
Posted by: mao
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