2006年の調査によると、福岡県の療養病床を保有する医療機関の施設数は457施設であり、療養病床入院患者数は推計で約22,000人ほどであります。国は現在38万床ある療養病床を医療保険適用の15万床まで平成24年をめどに削減することをめざし、様々な法令の改正や診療報酬の改正を行っています。この動きを福岡県の現状に当てはめてみますと、約13,000床もの療養病床が廃止され、同数の入院患者が老人保健施設や在宅、居宅系サービスへ移行することになる見込みです。
 医療療養病床については、今回の診療報酬改定の流れを受けて、医療区分1に該当する入院患者の削減が加速化する可能性があり、すでに平成17年度には療養病床の53%を占めていた医療区分1の患者が、18年度の調査では29%に減少しており、今後もこの傾向は続くと考えられます。しかしながら、平成18年6月に福岡県下で行った、療養病床を持つ医療施設に対するアンケート調査によると、医療区分1の入院患者のうち約35%が「病状不安定により退院が不可能」な患者であるとの結果も出ており、該当する約4,000人の入院患者が、病状不安定のまま退院を迫られる可能性が高く、医療難民化する恐れがあります。
 次に介護療養病床についてですが、福岡県は2008年度まで介護施設の整備計画が示されておらず、2012年に向けて加速化していく介護療養病床廃止の流れを受け止めきれるのかが疑問視されています。と言うのも上記アンケート結果によると、事情が許せば退院可能と答えた患者のうち、約3600人の患者が他の介護施設の空きを待っている状況にあるからです。これも介護難民を発生させる温床となる可能性があります。
 このように、療養病床削減の影響は福岡県下に置いても顕著に現れてくる可能性が高く、医療機関の収入減少もさることながら、実質的に行き場の無い人々が医療・介護難民となってしまう現状がすぐ目の前に迫っています。しかしながら、この影響は新たなビジネスチャンスと捕らえることもできると思うのです。なぜなら、これから高齢者の数は爆発的に増加していくからです。難民化を強いられざるを得ない人々の受け皿をいかに構築するか。その構築の仕方によっては、さらに発展する医療機関も確実に出てくると思います。例えば今回の医療法人制度改革で認められた高齢者専用賃貸住宅や有料老人ホームを経営効率のいい形で医療機関と連携しながら運用して行けば、全体としての収入のアップはかなりの確率で見込まれるのではないでしょうか。
もちろん、大きな投資となりますので、綿密なスキーム作りと事業計画は欠かせない要件となるでしょう。金融機関の応援も必要かと思われます。しかし、それらの諸条件を満たすようなプランならば、やってみる価値は高いと思います。
文責:医業部

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