今年もプロ野球公式戦がスタートしました。福岡は、福岡ソフトバンクホークスの本拠地であることから、私たちのお客様の中にも、販売促進の一環としてシーズンチケットを購入し取引先を招待していらっしゃる方も多数おられます。
 さて、このシーズンチケットの購入費の税務上の取扱はどうなるのでしょうか。

 法人税の取扱いにおいて、シーズンチケットは「交際費」とすべきか「広告宣伝費」とすべきか悩ましいところですが、租税特別措置法には『不特定多数の者に対する宣伝効果を発揮するものは、交際費に含まれない』と規定されています。しかし、昭和46年に『野球のシーズン予約席料は、不特定多数の者に対する広告宣伝効果を意図するものではなく、取引先に贈答したものであるため交際費に該当する』との判例が示されたことから、実務上交際費として処理を行います。また、法人税上の「損金」に算入する時期ですが、措置法通達には『接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のあったとき』と規定されています。プロ野球のシーズンチケットにおいてはこれらの「行為のあったとき」っていつ?・・・また悩ましい問題です。シーズンチケットは、シーズンの途中に解約しても解約期間に応じた席料が返金されるものとは考えられませんから、特別な事情がなければ、その球場で開幕戦が行われた日の属する事業年度において「損金」に算入するものと考えられます。

 次に、消費税の取扱いです。このシーズンチケットの購入代金は、消費税における「仕入税額控除」の対象となるのでしょうか。シーズンチケットは、野球を観覧するための席料でこれと引き換えに野球を観戦できるものであるため、「仕入税額控除」の対象となります。また、いつ仕入税額控除の対象となるか?という点については、原則は『実際に観戦した日』となります。しかし、前述の通り、法人税において中途解約の出来ないものは、実際にその球場で開幕戦が行われる日において交際費として損金算入されることから、消費税の取扱いにおいてもシーズンチケットの支払いを行った日に課税仕入れがあったものとして取り扱って差し支えないようです。

 シーズン予約席に招待されて野球観戦されたことのある皆さん。招待した側には少々厄介な税務上の取扱いが実は存在する、ということもお忘れなく。
文責:資産税部


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