持ち分の定めのある医療法人は定款上で、「社員資格を喪失したものは、その出資額に応じて払戻しを請求することができる」又「本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする」と規定されています。これは出資者の財産を認めるもので、つまり社員の退社・死亡等に伴う払戻請求権の行使を認めていることになります。
この問題は以前から医療法人の存続を脅かすものとされてきましたが、このたび(平成22年4月8日)最高裁判所は、医療法人の出資に関する定款の解釈について、「退社時の法人財産の評価額に出資割合を乗じた金額を請求できることを規定したものと解される」と判断を下し、現行の定款解釈の立場をとりました。
この裁判は、医療法人の出資金返還請求権を相続した上告人と医療法人である被上告人とで争われていた出資金の返還請求をめぐる事件ですが、原審の東京高裁が、医療法が剰余金の配当を禁止している趣旨を踏まえ、「出資した額を限度としてその返還を請求することができる」と判断したことから、上告されることになったわけです。
最高裁が、原審の判決を棄却差戻しとし、「出資持分を時価評価し、持分割合に応じて返還請求できる」という現行の定款解釈が支持したことで、今後の相続税・贈与税等の問題に大きく影響するでしょう。


文責 医業部

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