平成19年12月13日に与党税制改正大綱が発表されました。
新聞等で報道されていた通り、消費税の税率改正が行われなかったことから法人税の税率改正等も行われませんでした。全体的に、サプライズに乏しい大綱となりました。

 そんな中でも、中小企業のオーナーには気になる改正が。

平成20年に「取引相場のない株式等の相続税の納税猶予制度」の創設が明示されました。

 『事業承継相続人(後継者)が非上場会社を経営していた被相続人(先代)から、相続等によりその株式等を取得し、その会社を経営していく場合には、後継者が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(発行済議決権株式等の総数の2/3に達するまでの部分)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する』という内容です。

 では、納税猶予とはいったい何なのでしょうか。
 その80%に対応する部分については、相続税額が減額されたわけではなく、あくまでも『今のところは相続税を納めなくても結構です。ただし、一定の事由が生じたときには、納めていない分の相続税に利子をつけて払って下さい。』というものです。

 では、一定の事由とはどんなものなのでしょうか。
  ・5年以内に事業が廃業した
  ・従業員の大幅なリストラを慣行してしまった
などが想定されています。しかし、企業経営は生もの。実際にどうなるかは、誰にも想像がつきません。経営が悪化すればリストラもやむを得ない場合も存在します。経営は悪化するわ、自社株式は他社には売れない、しかも、相続税も納めなければならない・・・、このような三重苦も最悪考えておかなければならないかもしれません。

 この制度が創設されれば、相続税の負担は軽くなるでしょう。しかし、制度に万全なものはありません。この制度が使用できないことも想定しなければなりません。そういった意味では、業界の状況を見据え、どんな相続対策を立てるか、オーダーメイドで考えることが非常に重要になってくる時代になったといえるでしょう。

 「取引相場のない株式等の相続税の納税猶予制度」は平成21年において創設予定ですが、「中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律」(仮称)が創設された場合には、施行日以後の相続に遡って適用されます。なお、この法律は、遺留分等の相続税法上の問題点に対応して遺留分放棄手続の簡素化や、減殺請求権行使への法的整備として新規立法される予定です。

 しかし、気になる一文が・・・。
【個人資産の管理等を行う法人の利用等による租税回避行為を防止する措置を講ずる。】
不動産管理会社や持株会社が適用除外になることが予想されます。今後、この適用除外法人の詳細には注目です。

 当社のブログでも来週は2回シリーズで税制改正の内容をアップいたします。ぜひ、そちらもご覧になって下さい。
文責:事業承継コンサルティング部

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